31 / 41
第31話 夢の霧
しおりを挟む
悠希は不意に目を開けた。
まだ焦点が合っておらず、目の前は少しくすんでいるようだが、それでも瞬きを繰り返して何とか視界を確保する。
ゆっくりと身を起こし、辺りを見回す。
「___」
どこにも痛いところがない。
あれだけ強い爆風に吹き飛ばされたのだから、生きていること自体が奇跡に等しいと思っていた。
身体を動かしたらきっと痛いだろうな、と思いながら身体を起こしたのに、身体の痛みが全くないのだ。
まるで何事もなかったかのような状態に、悠希は戸惑ってしまう。
自分の身に何が起こったのか、すごくすごく気になった。
「ていうか……ここどこなんだよ」
爆風で吹き飛ばされたはずなのに、どこか学校とは別の場所に居る気がする。
辺り一面に灰色の霧がかかっている。
ここがどこなのか確認したくても、周りが霧だらけで確認は困難に近い。
何とも言えない、不思議な空間に悠希は居た。
「もしかして、夢……とかか?」
悠希は自分で言って納得した。
夢ならば、こんな霧だらけの場所に居てもおかしくない。
悠希の頭が勝手に作り出した妄想の世界だとすればつじつまが合う。
「いててててて……!」
夢から覚めるために自分の頰を思いっきりつねってみたが、全く効果がなかった。
ただ悠希が痛い思いをしただけ。骨折り損だった。
「え!? 何でだよ! 覚めないのか?」
確かに、悠希は信じられないほど寝起きが悪い。
いつも毎朝怒りながら起こしてくれる母親の気持ちが痛いほどわかった。
最低な息子だった。母親に申し訳ない。
「よし、もっと早く起きよう」
心の中で母親に謝罪の言葉を述べ、早起きを決意した悠希。
だが決意は固まっても、ここがどこか一向に分かるはずもない。
「夢だったら早く覚めてくれ! 夢じゃないんだったら……終わりだな。ていうか、誰か居ないのか?」
ずっと同じ場所に居ても埒があかないと思い、悠希はおそるおそる一歩を踏み出した。
足の裏に感じる硬い感覚。いつも地面を歩いている時と同じである。これなら、何も心配せずに歩くことができる。
悠希はそのまま適当な方向に歩いていった。
どれだけ方向音痴でも、霧がかかっていたら音痴も何もない。
とにかく自分の勘を頼りに進んでいく。
すると、遠くの方に何やら影がうっすらと見えた。
「誰か居る!」
悠希は思わず叫ぶ。
影の方は悠希の声が聞こえていないのか、ピクリとも反応しない。
だが、悠希にはそんなことなどどうでもよかった。
こんな所に迷い込んだのは自分だけじゃなかった、という喜びで胸がいっぱいになる。
その影に向かって必死に足を進めている頃には、悠希はすっかり忘れてしまっていた。
ついさっきまでこれは夢だと確信を持ち、この夢が早く覚めるようにと願っていたことを。
その影はだんだんと鮮明に見えてきた。
悠希の胸はさらに高鳴った。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「おい! ……おい! 悠希!」
学校のグラウンドで龍斗は力の限り叫んで、意識がない悠希を起こそうと試みていた。
実は龍斗と茜が学校に向かっている途中、それもあと数キロで到着すると思われる頃に、爆発音が聞こえてきたのだ。
急いで走ってきた二人が見たのは、粉々に散らばった窓ガラスの破片と校舎の壁の残骸。
そして、それらが散らばった校庭に横たわっている悠希の姿だった。
だが、悠希は一向に目を覚まさない。
爆風で吹き飛ばされた影響なのか、身体の至る所に怪我をしていた。
「くそっ! 全然起きねぇ!」
「ていうか、まず病院に運ばなきゃでしょ! もしくは先生呼んでくるか……」
先程から悠希を起こし続けてばかりの龍斗に、茜が冷静に注意をする。
「あ、そっか!」
龍斗は今気付いたと言わんばかりにハッとすると、茜の言葉に頷く。
それは良いのだが、龍斗はしなければいけない対処の順番に迷っているのか、急にもたもたし始めた。
茜はそんな龍斗を横目で見ながらため息をつき、とりあえず救急車を呼ぼうとスカートのポケットからスマホを取り出した。
「西尾! 岸!」
二人が声のした方を見ると、長い黒髪をなびかせた月影が走ってこちらに来ていた。
彼女から遅れて、ドタドタと校長も走ってくる。
校長はやっとの事で月影に追いつくと、息を荒らしながら彼女に文句を言う。
「こ、こら……! 先生は……ハァ、校長の……私を……置いてけぼり……に……して……ハァ、ハァ……全く……」
何か続きを言おうとしているのは分かるのだが、荒い息遣いのせいでうまく話せていない。
だが月影の方は無我夢中で走っていたようで、校長先生を置いていってしまったことに全く気付かなかったらしい。
「えっ!? そ、そうだったんですか!? それは申し訳ありませんでした!」
慌てて頭を深々と下げる月影。
「まぁ良い。……ふぅ、今はそれより早乙女の処置だ。急いで病院に運ぼう」
「はい!」
校長の指示を受けて、龍斗、茜、月影の声が重なる。
「早乙女には私が付き添うから、君たちは古橋と陰陽寺を探すんだ。きっとまだ、どこかで倒れているはずだからな」
「分かりました!」
三人は、勢いよく返事をして走って行った。
校長は三人を見送り、ポケットからスマホを取り出し、慣れた手つきで電話をかける。
「救急をお願いします。はい、そうです。よろしくお願いします」
校長はそれだけ言うと、通話を切り悠希の横にしゃがみ込んだ。
「辛かったよな……。ごめんな……」
校長は悠希の頭を撫でた。
撫でた拍子に前髪が持ち上がり、おでこから流れている血が校長の手につく。
それでも構わず撫で続ける。
この高校の校長である自分が、生徒を守れないなんてことがあってはならなかった。
何もできず、ただ眺めていることしかできなかった自分の不甲斐なさが情けない。
意識はなくても、悠希がなんとか無事で居てくれたことがせめてもの救いだった。
「ありがとう、早乙女」
涙が一粒、悠希の頰に落ちた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
悠希は、目の前の影に向かってひたすら走っていた。
予想以上に影との距離が遠く、未だに追いつけていない。
それでも、悠希は足に力を込めて懸命に走る。
一刻も早くここから出なければいけない。
悠希と同じように爆風で飛ばされたであろう、早絵や大雅のこともずっと気になっていた。
早く戻って二人の無事を確認したい。
「陰陽寺……?」
悠希は不意に足を止めた。
影の正体___俯いて座り込んでいたのは大雅だった。
「お前もここに居たのか。良かった! 一緒にここから出よう!」
声をかけるが大雅は振り向かない。
「どうしたんだよ、陰陽___」
大雅の前に回り込み、彼の顔を見ようと膝を折って腰を下ろした悠希は、言葉を失った。
大雅が泣いていたのだ。
「陰陽寺、どうした? 何で泣いてるんだ?」
心配になってもう一度声をかけてみるが、大雅の反応はない。
大雅は、まるで目の前の悠希が見えていないかのように泣きじゃくっていた。
「俺が……」
不意に、大雅が言葉を発した。
「俺が、あんなことしなきゃよかったのに」
短い言葉を次から次へと独りごちていく。
「素直になればよかったのに」
鼻をじゅるるっとすすって続ける。
「あいつがいなかったらどうなってたか」
「それって誰なんだ? 陰陽寺」
今度は聞こえるかもしれないと思い、悠希はもう一度だけ声をかけた。
だが、大雅は何も反応しなかった。
もしかしたらこれは、幻想なのかもしれない。
悠希はそう思った。
「ごめん」
また大雅が呟いた。
あとから溢れて止まらない涙をボロボロと流しながら、目をつぶってもう一度言った。
「ごめん……早乙女」
まだ焦点が合っておらず、目の前は少しくすんでいるようだが、それでも瞬きを繰り返して何とか視界を確保する。
ゆっくりと身を起こし、辺りを見回す。
「___」
どこにも痛いところがない。
あれだけ強い爆風に吹き飛ばされたのだから、生きていること自体が奇跡に等しいと思っていた。
身体を動かしたらきっと痛いだろうな、と思いながら身体を起こしたのに、身体の痛みが全くないのだ。
まるで何事もなかったかのような状態に、悠希は戸惑ってしまう。
自分の身に何が起こったのか、すごくすごく気になった。
「ていうか……ここどこなんだよ」
爆風で吹き飛ばされたはずなのに、どこか学校とは別の場所に居る気がする。
辺り一面に灰色の霧がかかっている。
ここがどこなのか確認したくても、周りが霧だらけで確認は困難に近い。
何とも言えない、不思議な空間に悠希は居た。
「もしかして、夢……とかか?」
悠希は自分で言って納得した。
夢ならば、こんな霧だらけの場所に居てもおかしくない。
悠希の頭が勝手に作り出した妄想の世界だとすればつじつまが合う。
「いててててて……!」
夢から覚めるために自分の頰を思いっきりつねってみたが、全く効果がなかった。
ただ悠希が痛い思いをしただけ。骨折り損だった。
「え!? 何でだよ! 覚めないのか?」
確かに、悠希は信じられないほど寝起きが悪い。
いつも毎朝怒りながら起こしてくれる母親の気持ちが痛いほどわかった。
最低な息子だった。母親に申し訳ない。
「よし、もっと早く起きよう」
心の中で母親に謝罪の言葉を述べ、早起きを決意した悠希。
だが決意は固まっても、ここがどこか一向に分かるはずもない。
「夢だったら早く覚めてくれ! 夢じゃないんだったら……終わりだな。ていうか、誰か居ないのか?」
ずっと同じ場所に居ても埒があかないと思い、悠希はおそるおそる一歩を踏み出した。
足の裏に感じる硬い感覚。いつも地面を歩いている時と同じである。これなら、何も心配せずに歩くことができる。
悠希はそのまま適当な方向に歩いていった。
どれだけ方向音痴でも、霧がかかっていたら音痴も何もない。
とにかく自分の勘を頼りに進んでいく。
すると、遠くの方に何やら影がうっすらと見えた。
「誰か居る!」
悠希は思わず叫ぶ。
影の方は悠希の声が聞こえていないのか、ピクリとも反応しない。
だが、悠希にはそんなことなどどうでもよかった。
こんな所に迷い込んだのは自分だけじゃなかった、という喜びで胸がいっぱいになる。
その影に向かって必死に足を進めている頃には、悠希はすっかり忘れてしまっていた。
ついさっきまでこれは夢だと確信を持ち、この夢が早く覚めるようにと願っていたことを。
その影はだんだんと鮮明に見えてきた。
悠希の胸はさらに高鳴った。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「おい! ……おい! 悠希!」
学校のグラウンドで龍斗は力の限り叫んで、意識がない悠希を起こそうと試みていた。
実は龍斗と茜が学校に向かっている途中、それもあと数キロで到着すると思われる頃に、爆発音が聞こえてきたのだ。
急いで走ってきた二人が見たのは、粉々に散らばった窓ガラスの破片と校舎の壁の残骸。
そして、それらが散らばった校庭に横たわっている悠希の姿だった。
だが、悠希は一向に目を覚まさない。
爆風で吹き飛ばされた影響なのか、身体の至る所に怪我をしていた。
「くそっ! 全然起きねぇ!」
「ていうか、まず病院に運ばなきゃでしょ! もしくは先生呼んでくるか……」
先程から悠希を起こし続けてばかりの龍斗に、茜が冷静に注意をする。
「あ、そっか!」
龍斗は今気付いたと言わんばかりにハッとすると、茜の言葉に頷く。
それは良いのだが、龍斗はしなければいけない対処の順番に迷っているのか、急にもたもたし始めた。
茜はそんな龍斗を横目で見ながらため息をつき、とりあえず救急車を呼ぼうとスカートのポケットからスマホを取り出した。
「西尾! 岸!」
二人が声のした方を見ると、長い黒髪をなびかせた月影が走ってこちらに来ていた。
彼女から遅れて、ドタドタと校長も走ってくる。
校長はやっとの事で月影に追いつくと、息を荒らしながら彼女に文句を言う。
「こ、こら……! 先生は……ハァ、校長の……私を……置いてけぼり……に……して……ハァ、ハァ……全く……」
何か続きを言おうとしているのは分かるのだが、荒い息遣いのせいでうまく話せていない。
だが月影の方は無我夢中で走っていたようで、校長先生を置いていってしまったことに全く気付かなかったらしい。
「えっ!? そ、そうだったんですか!? それは申し訳ありませんでした!」
慌てて頭を深々と下げる月影。
「まぁ良い。……ふぅ、今はそれより早乙女の処置だ。急いで病院に運ぼう」
「はい!」
校長の指示を受けて、龍斗、茜、月影の声が重なる。
「早乙女には私が付き添うから、君たちは古橋と陰陽寺を探すんだ。きっとまだ、どこかで倒れているはずだからな」
「分かりました!」
三人は、勢いよく返事をして走って行った。
校長は三人を見送り、ポケットからスマホを取り出し、慣れた手つきで電話をかける。
「救急をお願いします。はい、そうです。よろしくお願いします」
校長はそれだけ言うと、通話を切り悠希の横にしゃがみ込んだ。
「辛かったよな……。ごめんな……」
校長は悠希の頭を撫でた。
撫でた拍子に前髪が持ち上がり、おでこから流れている血が校長の手につく。
それでも構わず撫で続ける。
この高校の校長である自分が、生徒を守れないなんてことがあってはならなかった。
何もできず、ただ眺めていることしかできなかった自分の不甲斐なさが情けない。
意識はなくても、悠希がなんとか無事で居てくれたことがせめてもの救いだった。
「ありがとう、早乙女」
涙が一粒、悠希の頰に落ちた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
悠希は、目の前の影に向かってひたすら走っていた。
予想以上に影との距離が遠く、未だに追いつけていない。
それでも、悠希は足に力を込めて懸命に走る。
一刻も早くここから出なければいけない。
悠希と同じように爆風で飛ばされたであろう、早絵や大雅のこともずっと気になっていた。
早く戻って二人の無事を確認したい。
「陰陽寺……?」
悠希は不意に足を止めた。
影の正体___俯いて座り込んでいたのは大雅だった。
「お前もここに居たのか。良かった! 一緒にここから出よう!」
声をかけるが大雅は振り向かない。
「どうしたんだよ、陰陽___」
大雅の前に回り込み、彼の顔を見ようと膝を折って腰を下ろした悠希は、言葉を失った。
大雅が泣いていたのだ。
「陰陽寺、どうした? 何で泣いてるんだ?」
心配になってもう一度声をかけてみるが、大雅の反応はない。
大雅は、まるで目の前の悠希が見えていないかのように泣きじゃくっていた。
「俺が……」
不意に、大雅が言葉を発した。
「俺が、あんなことしなきゃよかったのに」
短い言葉を次から次へと独りごちていく。
「素直になればよかったのに」
鼻をじゅるるっとすすって続ける。
「あいつがいなかったらどうなってたか」
「それって誰なんだ? 陰陽寺」
今度は聞こえるかもしれないと思い、悠希はもう一度だけ声をかけた。
だが、大雅は何も反応しなかった。
もしかしたらこれは、幻想なのかもしれない。
悠希はそう思った。
「ごめん」
また大雅が呟いた。
あとから溢れて止まらない涙をボロボロと流しながら、目をつぶってもう一度言った。
「ごめん……早乙女」
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
【完結】Amnesia(アムネシア)~カフェ「時遊館」に現れた美しい青年は記憶を失っていた~
紫紺
ミステリー
郊外の人気カフェ、『時游館』のマスター航留は、ある日美しい青年と出会う。彼は自分が誰かも全て忘れてしまう記憶喪失を患っていた。
行きがかり上、面倒を見ることになったのが……。
※「Amnesia」は医学用語で、一般的には「記憶喪失」のことを指します。
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……

学園ミステリ~桐木純架
よなぷー
ミステリー
・絶世の美貌で探偵を自称する高校生、桐木純架。しかし彼は重度の奇行癖の持ち主だった! 相棒・朱雀楼路は彼に振り回されつつ毎日を過ごす。
そんな二人の前に立ち塞がる数々の謎。
血の涙を流す肖像画、何者かに折られるチョーク、喫茶店で奇怪な行動を示す老人……。
新感覚学園ミステリ風コメディ、ここに開幕。
『小説家になろう』でも公開されています――が、検索除外設定です。

ナガヤマをさがせ~生徒会のいちばん長い日~
彩条あきら
ミステリー
中学生徒会を主役に、行方不明の生徒会長を探し回るミステリー短編小説。
完全無欠の生徒会長ナガヤマ・ユウイチがある日、行方不明になった!彼が保管する文化祭実行のための重要書類を求め、スバルたち彩玉学園中学生徒会メンバーは学校中を探し始める。メンバーたちに焦りが募る中、完璧と思われていた生徒会長ナガヤマの、知られざる側面が明らかになっていく…。
※別サイトの企画に出していた作品を転載したものです※
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。

変な屋敷 ~悪役令嬢を育てた部屋~
aihara
ミステリー
侯爵家の変わり者次女・ヴィッツ・ロードンは博物館で建築物史の学術研究院をしている。
ある日彼女のもとに、婚約者とともに王都でタウンハウスを探している妹・ヤマカ・ロードンが「この屋敷とてもいいんだけど、変な部屋があるの…」と相談を持ち掛けてきた。
とある作品リスペクトの謎解きストーリー。
本編9話(プロローグ含む)、閑話1話の全10話です。
強制憑依アプリを使ってみた。
本田 壱好
ミステリー
十八年間モテた試しが無かった俺こと童定春はある日、幼馴染の藍良舞に告白される。
校内一の人気を誇る藍良が俺に告白⁈
これは何かのドッキリか?突然のことに俺は返事が出来なかった。
不幸は続くと言うが、その日は不幸の始まりとなるキッカケが多くあったのだと今となっては思う。
その日の夜、小学生の頃の友人、鴨居常叶から当然連絡が掛かってきたのも、そのキッカケの一つだ。
話の内容は、強制憑依アプリという怪しげなアプリの話であり、それをインストールして欲しいと言われる。
頼まれたら断れない性格の俺は、送られてきたサイトに飛んで、その強制憑依アプリをインストールした。
まさかそれが、運命を大きく変える出来事に発展するなんて‥。当時の俺は、まだ知る由もなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる