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本編
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しおりを挟むノヴァは体を洗い終わると、バシャン、と勢いよく湯の張られたバスタブに深く沈んだ。
冷えた体にじんわりと熱が伝わってくる。やはり疲れていたのか、お湯に浸かった途端体の力が抜けて体が重くなった。
今日は色々収穫あってよかったな。
ノヴァは今日のことを思い出した。そして、ふと思った。
「飴の報告ってどうやって行けばいいんだ?」
魔塔には普通の手紙では届けられない。
ノヴァは契約のときのことを思い出したが、その辺りの話をしていなかったことに今更気づいた。
てか、血もいつ採るのか聞いてなくない?
一ヶ月に一回とは言ってたけど、契約してから一ヶ月はもう過ぎそうだ。もし一ヶ月以上音沙汰なければ、契約違反にならないのだろうかと思う。
けれど、シゼルに連絡する術はないのでどうしたものかとノヴァは悩んだ。
「まあいいか。あいつのことはあとで考えよう」
ぶくぶくとお湯に沈みノヴァは目を閉じた。
湯に浸かること5分ほど、リラックスを十分にしたせいか、体にぞわぞわとた感覚がして無意識に膝を擦り合わせた。
そして、自分の腰にゾクリと甘い痺れが走り、反射的に膝を強く閉じた。
あつい。
ノヴァはゆっくりと立ち上がり、バスタブから這い出てバスタブの縁に手をついて床に尻をつけて座った。
自然と手は自分の中心へ伸びる。そうすれば期待していたかのように下腹部がピクリと反応した。そう、やることは決まっていた。
「…っ、…、はぁ…、…。」
ノヴァは自分のモノを掬い上げるように持つと、先端を何度も親指で撫でた。そうすれば、敏感なそこからは少しずつ透明な液が溢れてきた。
それを見ながら、ノヴァは自分の手で全体に塗りながら優しく上下に動かし始めた。
ノヴァは精通はしているが、自慰行為の頻度は一ヶ月に一、二回と自分でもあまりしない方だと思っていた。それなのに元気な自分に戸惑っていた。
…一昨日、出したのに。
そう考えて思い出すのは、リヒトの顔、そして手つき。いつもの優しい笑みを浮かべるリヒトではなく、獲物を狙う鋭く頬の上気した、優しいが少し意地悪なリヒト。
ボンっとノヴァの顔は真っ赤になった。
けれど、それと同時に中心に一気に熱が集まり、さらに硬さを持った。
「ッ!…さい、あく。」
そう思ったが、それよりも目の前の欲を選んだノヴァは、無我夢中で自分を高めることに集中した。
「…ック、…は、」
静かな風呂場には、粘り気のある水音と荒い息づかいだけが響いた。そろそろだと思いノヴァの手は早くなり、乱暴になる。
「ぁ、…」
出るッ。
一瞬、頭がスッと白くなる。目を開ければ手には暖かい白濁が付いていた。
「あれ、なん…で」
しかし、自分のモノを見てノヴァはそんな言葉が出る。
なぜなら、今さっき出したばかりだというのにノヴァは元気を取り戻していたからだ。
もっと、と思う気持ちに、ノヴァは抗えなかった。
ノヴァは、出した液を再び自分の中心に付けて、もう一度手を動かした。
クチャクチャ、と先ほどよりも響く音にノヴァはお構いなしに強く擦る。
「…ッ、、…ック、…は、…は、…ッ」
早く出そうとノヴァは自然と手の動きに合わせて腰が動いていた。イッたばかりだからか、ノヴァの下腹部はときどき、ピクピクと小さく痙攣した。
ノヴァは擦っている間、何も考えられなくなるほど頭がぼんやりとしていた。
は、、気持ちい。
「ぁ、…ッで、そ」
「私を呼んだ理由はそれか?」
1人のはずの場所に静かな言葉が発せられた。その言葉は風呂場ということもあって若干響いていたが、ノヴァの耳にはスッと入ってきた。
「ぇ」
ノヴァの背筋は音が聞こえるのではと思うほど、言葉通りに固まった。
乱れていた息も、出ようとしていたものも寸前で飲み込まれた。
顔面蒼白のノヴァが恐る恐る顔を後ろに向けると、そこにはローブを着た無表情のシゼルが立っていた。
「なん、で」
どうにか口を動かして出した言葉はそれだった。
「お前が私の名前を呼んだだろう?危険ではなさそうだったので、用事を済ませてから来た」
遅れた理由を言いながら、何を言ってるんだと言わんばかりのシゼルの態度にノヴァはどう返すべきかわからなかった。
いやいや、何も思わないの?
え?…え?
頭の中でぐるぐるといろいろなことが回り、名前を呼んだといったシゼルの言葉から必死に記憶を辿る。
…あ!
も、もしかして、『シゼルのことはあとで考えよう』って呟いたからか?!
ノヴァの心当たりは、湯に浸かりながら呟いたそれだけだ。
「まあいい。手伝おう」
ノヴァが必死に考えていることは興味なさげに、シゼルは長い足で近づいてくると、裸のままのノヴァを後ろから抱き込んだ。足を折って膝をつくノヴァに、シゼルの一回り大きい体がノヴァを包み込む。
「は、?え、待ッ」
ノヴァは困惑を通り越して頭の整理が追いつかず混乱状態だ。
いや待て、あれは呼んだとは言わないだろ。
そんなことを思ったが、それよりも密着するシゼルの服の感触で今の状況を思い出し、恥ずかしさでノヴァは顔を真っ赤にして抵抗した。
「おい、待ってって!こんなことッ」
「心配するな。周囲に防音魔法とこちらを隠す幻影魔法をかけてある」
心配はしてねえよ!
的外れなシゼルにしっかりホールドされ、のぼせたせいでうまく入らないノヴァの抵抗は弱々しい。
「おい、…ッさわんな…て!ッぁ」
「出したほうがいい」
いつも通りのトーンでそれだけ伝えてくるシゼルは、ノヴァの動きを封じて右手でノヴァの半分硬くなった中心を握った。
てか、なんで俺の萎えてねぇんだよ。
「触るなッ、っ!…ん、…ぁッ」
言葉でどうにか抵抗するが、シゼルは聞く耳を持たなかった。
シゼルは、ノヴァよりも大きく冷たい手で包むように握ると、強弱をつけながら上下に動かし始めた。
自分の意思ではなく、他人に触られると、どう動くか予測できないからか、さらに感じてしまう。
やばい、やめろッ。
「、ら、、…は、…ッ、、…でそうッ手、どかせっ」
ノヴァの都合のいい言葉だけを聞きとったシゼルは、ノヴァの敏感な先端に強く力を入れた。
「出せ」
「…ぁッ、はぁッ…」
シゼルのその言葉を合図にノヴァは今日、2度目の精を吐き出した。浮いた腰は痙攣し、体からは力が抜ける。ノヴァは脱力感に仕方なくシゼルに寄りかかった。
息を整えるまで。そう思って目を瞑りかけた。
しかし、またも敏感な物に感じる人の感触にノヴァの背中は反射的に反った。
「ッまだ、っちょッと…まって」
シゼルはイッたばかりのノヴァのモノを触っていた。
焦るノヴァだったが、震えているその場所はシゼルに触られると、また硬さを取り戻そうとしていた。
それだけではなく、シゼルはノヴァの中心だけではなく、腹や下腹部に近い部分をわざと触って、他からも快感を与え始めた。
もう、無理だって、これ以上はイけない。
「くすぐっ、た、、あッ…あ、…ん、…ッ」
そう思うのに、敏感な体は愛撫されると喘ぎが出てしまい、抵抗の言葉はかき消されて出てこない。
「ここは狭い。もう少し移動するぞ」
シゼルは言うと、軽々とノヴァを後ろから持ち上げて風呂場の洗い場の方へと数歩移動した。
そして、壁近くに降ろされる。
「壁に手をついておけ」
ノヴァは考えることを放棄して、シゼルの言う通りに膝立ちのまま、だるくなった体を動かして壁に手をついた。
そして、先ほどのようにシゼルがノヴァの体を後ろから触れた。
ノヴァは頭の片隅で思った。全て溶けてしまいそうだ、と。
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