【R18】隠れビッチの私とキマジメ彼氏君〜お別れエッチなのに彼に啼かされてバイバイできません〜

梗子

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13.これからも

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 正宗君とのはじめてを終えた私は、正宗君の逞しい腕を枕にぐったりとベッドに体を横たえていた。

「彩。体は大丈夫か?」
「ん……ちょっとだるいかも」
「そ、そうか。すまないっ。無理をさせてしまったな……」
「ううん、平気。すごく気持ちいいだるさだから」

 少し熱が出ただけで大したことはないけれどやっぱり体はいつもより辛かったかもしれない。
 けれど体の昂りを放置していてもまたそれはそれで辛い。
 それに正宗君とやっと体を繋げられて今私はとても幸せな気分だった。

「それよりも正宗君が辛いんじゃない?」
「うっこれは……せ、生理現象だ……」

 あまり私にそれを気づかせないように距離を取ってはいるけど、正宗君のは先ほどにも増して元気になっていた。

「正宗君」
「今日は駄目だ!」

 正宗君は起きあがろうとする私を制すると、寝ていなさいと言って、私を無理矢理自分の腕の中に封じ込める。

「しょうがないだろう……こ、こんなにかわいい彼女を目の前にしたら勃つものも勃って……あっ」
「ふふっ。正宗君、私たちさっきまでまでしたのに今更赤くなって可愛い」
「か、可愛いって言うな!!」

 私に可愛いと言われた正宗君は子どものように膨れっ面をしていたが、しばらくすると、ふっと顔を緩めて私を抱きしめる。
 私は正宗君を抱きしめ返すと、ずっと気になっていたことを聞いてみた。

「正宗君は私のこといつから好きだったの?」
「……一目惚れ」
「え、嘘」
「嘘じゃない。あの飲み会の時、一目見て可愛い人だと思ったんだ。そのうちゼミで一緒に行動していく内に、外見だけじゃない。振る舞いから言葉遣いまで全てが可愛くて愛おしくて……いつのまにか俺は彩の虜になっていた」
「……でも、やっぱり後悔してない?本当の私を知っていたらきっと正宗君は私のこと……」
「いや、それは絶対にない」

 私の憂いに対して正宗君はきっぱりと断言した。

「どんな彩でも俺は彩のことを好きになっていた。……彩、俺はお前を離したくない。それだけ彩のことを愛してるんだ。ただそれだけは知っておいてほしい……」
「……ごめんなさい。正宗君の気持ちを考えずに突っ走ってしまって……」

 私たちはぴったりと抱き合った。
 下着越しに触れ合う熱と熱が溶け合って、まるで私たちは体も一緒になっていくような錯覚を覚えた。

 好きな人と抱き合うってこんなに幸せなことだなんて知らなかった。

「初めての彼氏が正宗君で本当に良かった」
「彩……」

 私たちの間にまたうっとりするような甘い空気が漂い始める。

 ……しかし、また、むくむくと大きくなるが、私たちを現実に引き戻す。

「「あっ」」

 正宗君はばっとベッドから飛び起きると、簡単に服を着てキッチンへと向かった。

「正宗君」
「今日はもう晩御飯を食べて帰る。今から作るからなっ。腕によりをかけて作るから楽しみにしていて」
「正宗君!」

 正宗君の背に声をかけると、正宗君は私に向かって振り向く。

「今日最後までしなかった理由、もう1つあるんだ。」
「う、うん?」
「本当はまだ言わないつもりだったが……来月の彩の誕生日、彩が行きたがっていたホテルの予約ができたんだ」
「……ええ!?」

 前のデートで何気なく口にしたことを正宗君が覚えていたなんて想像もしていなかった私は驚いて思わず口をぽかんと開けてしまう。
 しかも、あのハイクラスのホテルをぽんと予約できてしまう正宗君は一体何者……?

「……すけべだと思われるかもと不安だったし、彩の心の準備が整っていなければ部屋のことは話さないでおこうとも思っていた……。けど、もうその必要はないな」

 そうしてわざと私の耳元に吐息をかけながら小声で囁く。

「……その時にたくさん俺の腕の中で啼いてくれるな?」

 私の頬に軽くキスをして、またいつも通りの優しい微笑みをたたえながら向こうへと行ってしまう正宗君。

 ーー実は正宗君も真面目なフリを被った狼だったりして……

 そう思ったけれど、それはお互いさまだと気づいた時、私は1人で笑ってしまった。

 ーー人は何かの皮を被って生きている。
 これからの長い月日をかけて少しずつ本当の自分を相手に見せられたらいい。

 正宗君が料理をする姿を見ながら、私はそのはじめての相手が正宗君で良かったと心の底から思ったのだった。



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