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4.けじめ
しおりを挟む正宗君は宣言通り私を大切にしてくれた。いつも紳士的に私に接してくれる。
正宗君と付き合い始めてから3ヶ月が経つけれど清いお付き合いを続けている。
正宗君は恋人だからといって私の許可なく無闇に体に触らない。
愛情確認は言葉だけで、体の繋がりは持っていない。キスもしていない。
それは正宗君が私が男を知らないと思っているからで、正宗君は私を怖がらせないように精一杯私の心に寄り添おうとしてくれている。
そんな正宗君と接している内に私は次第に正宗君に惹かれていって、私は正宗君のことを本当に好きになってしまった。
私も正宗君の誠意に応えるため、正宗君と付き合うと決めた時にセフレとは全員縁を切った。定期的に通ってはいたけれど、病院で改めてしっかり性病の検査もした。
ああ、私は正宗君が好きだ。どうしようもなく好きで好きでしょうがない。
……けれど、正宗君の誠意を感じれば感じるほど、私は正宗君を裏切っているという後ろめたさが募っていった。
正宗君は、純粋な私が好きで、今も純粋な女の子の皮を被っている私のことが好き。
けど、実際の私は自分の性欲をコントロールすることができないはしたない女。ついこの間までセフレとのセックスに溺れる爛れた毎日を送っていた。
今もそう。正宗君と手を繋いでいるだけで体が疼いて仕方がない。最近では隣に並んでいるだけでアソコが勝手に潤んでしまう。
正宗君とセックスしたい。
正宗君にめちゃくちゃにされたい。
「……どうした、彩。冷や汗をかいて。顔色が悪いぞ?」
「う、ううん。なんでもない、最近寝不足だからかな?」
「そうか……この頃課題も多いしな。でもあまり無理をしたら体を壊す。大変な時は俺を頼ってくれ」
正宗君の顔を見て欲情してしまった私を、体調不良だと心配してくれる正宗君。
実際、ここのところ毎晩体が疼いてしまって、夜通し自分を慰める日々が続いていた。
でも、自分の手やおもちゃだけではなかなかイけない。私の短い指じゃ奥の気持ちいいところに届かない。冷たいおもちゃは逆に空しさを覚えさせるだけ。
私の体の疼きを癒してくれるのは血が通った人間のものだけなんだと気づいた。
そして、正宗君に犯される妄想が止まらなくなっていた。
(でもこんなこと正宗君に知られたらきっと嫌われてしまう)
自分の彼女が夜通しオナニーをしていると知ったら?
自分の彼女がこの間まで他の男に股を開いていた淫乱でビッチな女だと知ったら?
……きっと幻滅されてしまう。
私が正宗君のことを好きになればなるほど、彼に嫌われたくないという気持ちと、これ以上彼を騙し続けたくないという気持ちで板挟みになる。
だから私は決意した。
正宗君が大好きだからこそ、正宗君と別れると。
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