【R18】隠れビッチの私とキマジメ彼氏君〜お別れエッチなのに彼に啼かされてバイバイできません〜

梗子

文字の大きさ
上 下
2 / 13

2.馴れ初め

しおりを挟む

 だから、正宗君のことは「こんなイケメンと一回だけでもやりたいなぁ」なんて思ったりもしたけれど、彼は自他共に認める真面目君なので、自分みたいな貞操観念がバグっている女とは無縁の人間だと思っていた。

 それなのになぜあんなことが起こったんだろう。

「彩さんは……彼氏とか、いるだろうか」
「はえ?」

 講義が終わり教室から人がまばらになった頃、突然正宗君に話しかけられる。
 
「いや、その、急にすまない」

 正宗君はいつものポーカーフェイスを崩し、顔を真っ赤にしている。

「君は男性が苦手だと聞いたから……俺が友達として一緒に過ごすのも嫌なんじゃないかとずっと悩んでいたんだ」
「私は嫌いな人と友達にならないよ」
「……でも、これから俺が言うことはきっと君を困らせることになると思う……それでも言わせてほしい」

 そう言うと正宗君は私をまっすぐ見据えてこうはっきりと告げた。

「俺は彩さんのことが好きだ。付き合ってください」

 私は思いもよらない出来事にしばらくぽかんとしてしまった。
 だってあの正宗君が私のことを好きだなんて思いもしなかったから。

「え……どうして、正宗君?」
「やっぱり困らせてしまったな……ごめん、いきなりこんなことを」
「ぎゃ、逆に聞いてもいい?正宗君。なんで私のことを好きになったの?」

 純粋な疑問で私は正宗君に逆に聞き返してしまった。

 はじめての出会いから半年。
 正宗君とはたまに他愛ない話をするようになり、私たちはゼミ仲間としてそれなりに仲が良いとは思っていたけれど。
 これまでのやり取りを辿っていっても正宗君が私と付き合いたいと思うようになった決定的なものが何か私には思い当たらなかったからだ。

「す、すきな、と、ところ…」

 また正宗君は耳まで真っ赤にして言い淀んだものの、こう答えた。

「か、かわいい……から……だ」
「……そっか」

(ああ、そうか)
 
 学科でもイケメンで誠実と名高い正宗君に可愛いと言われて喜ばない女子はいないだろう。
 けど私は手放しに喜ぶことはできなかった。

(結局正宗君も私の上っ面に騙されているだけ)

 これまでも何人かに好意を寄せられたことはあったけど、私の本性を知ると皆逃げしてしまった。

 真面目な正宗君だもの。大学では猫かぶって純粋ぶっている私に騙されてしまったんだ。

「ごめんなさい」

 そんな私は、な正宗君には相応しくない。
 
 


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

独身皇帝は秘書を独占して溺愛したい

狭山雪菜
恋愛
ナンシー・ヤンは、ヤン侯爵家の令嬢で、行き遅れとして皇帝の専属秘書官として働いていた。 ある時、秘書長に独身の皇帝の花嫁候補を作るようにと言われ、直接令嬢と話すために舞踏会へと出ると、何故か皇帝の怒りを買ってしまい…? この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

溺愛社長の欲求からは逃れられない

鳴宮鶉子
恋愛
溺愛社長の欲求からは逃れられない

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~

雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」 夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。 そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。 全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載

処理中です...