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かくれんぼ

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私は今1人でジェダイナ公爵家の図書館に隠れております。
何故そのような場所にいるかと言いますと、決して逃げているわけではなくこれは…これは…戦略的……かくれんぼなのです。
えっと…公爵様に1人になってはいけないと言われているのに何故このようなことをしているかと言いますと話はサミュエル公爵様が戻られた後の話に遡ります。
私に公爵様が1人になってはいけないと伝えて下さいました。
この事には皆さん賛成だったのですがヴィッキーお義母様が…

「でもそれじゃあイオはずっと狙われ続けるわけでしょう?守りに徹するのも良いけれど相手を油断させる一手は打つべきじゃない?」

へ?何かこちらから仕掛けるのですか?

「と言ってもねヴィッキー今は相手の土俵なわけだしイオを危険な目に合わせるわけにはいかない。攻撃に転ずるには少々こちらの分が悪いんだよ。」

そうですよね!そうですよね!私には相手に何か出来る程の特別な能力はありませんもの!

「別に攻撃する必要はないじゃない。あちらの手に乗ったフリをするだけでも良いじゃない。」

そんな高度な技を?

「それが出来るなら良いけれど相手の次の作戦がどんなものかなんて分からないだろう?それなのに手に乗ったフリをするなんて危険じゃないか。」

はいそうです!公爵様の意見に賛同です。

「そう?簡単じゃない。」

か、簡単なんですか?

「ヴィッキーには分かるの?」

「予想はできるわ。」

それはどんな?

「聞いても?」

「相手はイオを排除したいと考えているのよ。イオはキャサリン夫人にとってもシャーロット嬢にとっても厄介な存在でしょ?だからイオに攻撃することに躊躇いはないと思うの。ただそれだけだったら私も守りに徹して良いと思ったんだけどロビンがアイザック・ジョセフは危険って言ったから…」

アイザック・ジョセフさんが危険だとどうして守りに徹してはいけないんでしょうか?

「言ったから?」

「そのアイザック・ジョセフはキャサリン夫人に傾倒しているなら彼女のためになる事は積極的に実行していくと思うのよ。例えその結果、彼女の子供に危険が及ぶのだとしてもね。」

お義母様の子供…シャーロットとヴィンセントに危険が?

「つまり?」

「シャーロットがイオに危害を加えられたと騒ぎ立てかねないかなって。」

「そんなことをしても…」

「あら!実際に彼女は妊娠しているのでしょう?そんな彼女が危険な目に遭わされるなんて事があったら、彼女自身も危険な目に遭うけれどそれ以上にイオがとんだ悪女に仕立てあげられるわけよ。」

私がシャーロットに加害を加える?

「そんな事まで?」

「あぁ見えてキャサリン夫人は子供を危険な目に合わせるような人じゃないけれど、ロビンの言うようにアイザック・ジョセフが危険な人物であれば考えるかなって…それにシャーロット嬢もハルに対して異常な執着を持ってしまったように見えるから話を聞いて実行しかねないと思ったのよ。」

そんな…赤ちゃんを危険な目に遭わせてまで?自分の身も危険になるのに…

「なるほどな…」

「だからこちらも戦略的防御に作戦を切り替えるのよ!」

と言ったのがきっかけで私は今、戦略的かくれんぼをしているわけです!
私が出て行った方がいい時間になったらクラレンスさんが迎えに来て下さいます。
それまで見つからないように頑張ります!
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