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忍び寄る影…

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私はハル様と街に行くことになりました。
アリーさんに支度を手伝って頂き準備を整えます。
平常心を保てるように心を落ち着かせハル様と出かけます。
馬車に乗って街に行くのは初めてでドキドキしてしまいます。
ハル様が目の前に座ってるのもありますが…

「イオは街にある図書館に行っていたんだよね?」

「は、はい。」

「クスッ。緊張してるの?」

「はい…。」

緊張してる事がハル様にも分かってしまったようです…

「疑問なんだけど、イオは邸を抜け出していたんだよね?」

「そう…ですね。」

「よく見つからなかったよね?」

何故に疑問系なのでしょう?

「誰も私に興味がなかったので…」

「誰かが助けてくれていたのかもね。そう考えた方が自然だね。」

ハル様は何やら話すと納得したという顔をされます。
誰かの協力があった…そう考えると嬉しいなと思いました。
あの時の私を助けてくれていた人が居たならお礼が言いたいです。

「そうだったら嬉しいです。」

そんな事を話していると馬車が到着します。
ハル様は乗る時も降りる時もエスコートしてくださって…正直ものすごく緊張しました。
お義姉様やシャーロットならスマートに出来るのでしょうに…
約束の他にも私にはハル様に相応しくないのだと感じてしまいます。
でも、決して顔に出してはいけないと強く念じます。
私がハル様を好きだと絶対に知られてはいけないのです。
そうなったらこの時間も無くなってしまう。
嫌な思い出にはしたくありませんから。

「それじゃあまずは本屋だね!」

ニコニコとしながら私を案内して下さるハル様。
実は本屋には行った事がありません。
本を買うお金が私にはなかったので…
だから本屋に行けるだけでも嬉しいのです。
ハル様に案内され本屋に着くと沢山の本が並んでいます。

「イオの好きそうな本はこの辺りだよ。」

「わぁ沢山あります。」

私は沢山の本に気持ちがウキウキしてしまいます。
だから、この時ハル様が何かを睨みつけている事に気付きませんでした。

「イオが読んだ事ない本が良いと思うんだけどどう?」

「読んだ事ない本が沢山あります!迷ってしまいます。」

本当に沢山の本に迷ってしまいます。

「新しいものが良いかもね!図書館にもまたないだろうから。」

「はっ!そうですね!」

「ふふっ。何冊選んでも良いよ!」

「いえ。これをというものにします。」

「そう?それじゃあ少し選んでいて!俺も見てきたいものがあるから。」

「分かりました。」

この時の私はハル様が本を選びに行こうとしていた訳じゃないことに気付いていませんでした。
この時からずっとハル様は私を守っていて下さっていたなんて…



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