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プレゼントは頂きましたが?
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朝から私はハル様とエド様から頂いた本棚からハル様が選んで下さった本を取り出して読み始めました。
本棚にはダニー様から頂いたチェスボードもしまってあります。
本を手にソファに座りテーブルにはエド様から頂いたお義姉様とおそろいの栞を置いています。
アリーさんが紅茶を淹れて下さいます。
レナイト公爵家にいた時には全てのことを自分でしていましたし、本は図書館でしか読むことができず自分の本を部屋でゆっくり読めるなんて信じられません。
本を読み始めて暫くするとドアをノックする音が聞こえました。
トントン
今週は誰とも一緒に過ごす日にはなっていませんでした。
だからノックがした時に部屋にいらっしゃったのはお義母様だと思いました。
私は読んでいた本に栞を挟みお義母様と会う準備をします。
私が準備している間にアリーさんが確認に向かわれます。
ガチャ
「ハロルド様!」
「イオはいるかな?」
「お嬢様にご用でございますね。少々お待ちくださいませ。」
私はお義母様だと思っていたのですが、アリーさんの話し声を聞いて急に緊張感が高まってしまいます。
「お嬢様、ハロルド様がお越しでございます。」
「は、はい‼︎」
「お会いになりますよね?」
ニコリと微笑むアリーさんは私の気持ちを知っているのではないかと思ってしまいます。
「は、はい‼︎」
「ではご案内いたしますね。」
「お、お願いします‼︎」
「畏まりました。」
礼をしてハル様を呼びに行かれるアリーさんを見つめながらも、私の心臓はドキドキとしてしまいます。
どうにか平常心を保とうと思うのですが平常心って何でしたっけ?
どうしましょう?どうしましょう?
そう思っているとハル様の姿が見えました。
驚きで席を立ち上がってしまいます。
「おはよう、イオ。昨日はよく眠れた?今日は会う日ではなかったのに来てごめんね。」
「あっ、いえ。あの昨日はありがとうございました。それにこれも…選んでいただいた本、とても面白いです。ありがとうございます。」
頂いた本を手に取りペコリと頭を下げてお礼を伝えます。
平静に平静にと思えば思うほどドキドキとしてしまいます。
ガバッと頭を上げると思ったよりもハル様のお顔が近くにありました。
自分の顔が物凄く赤くなるのが分かりました。
「イオ大丈夫?」
「な、何がですか?」
「顔、赤くない?具合悪い?」
「い、いえ。元気です。本当に大丈夫です。」
ハル様は普通にしていらっしゃるのに私だけこんなに動揺してしまうなんて恥ずかしいです。
「そう?イオが大丈夫なら今日は外に出掛けないか?」
「えっ?外ですか?」
「うん。イオが良ければ街を見に行かないかと思っているんだけど。」
「街にですか?」
「そう。一緒に本を見に行かないか?」
「邸に持ってきてもらってもいいけど、イオなら自分で選びたいかなと思ってね。」
「本を…自分で選んで良いんですか?」
「そう。どうだろう?」
「ですが…」
「本は俺からのプレゼントだから気にしないで。」
「本でしたら頂いています。」
「本棚の本は…実は俺のなんだよね。」
「へ?」
「つまり俺が持っていた本。イオにあげたのは本当なんだけど、俺としてはイオだけの本を買ってあげたくて実は初めから今日は一緒に出かけようと思っていたんだよね。だから、これから一緒に買いに行かないか?」
ど、どういうことですか?
私が頂いた本はハル様ので…でも頂いた本で…でも本を買いに行くって…
ハル様どういう事ですか????
本棚にはダニー様から頂いたチェスボードもしまってあります。
本を手にソファに座りテーブルにはエド様から頂いたお義姉様とおそろいの栞を置いています。
アリーさんが紅茶を淹れて下さいます。
レナイト公爵家にいた時には全てのことを自分でしていましたし、本は図書館でしか読むことができず自分の本を部屋でゆっくり読めるなんて信じられません。
本を読み始めて暫くするとドアをノックする音が聞こえました。
トントン
今週は誰とも一緒に過ごす日にはなっていませんでした。
だからノックがした時に部屋にいらっしゃったのはお義母様だと思いました。
私は読んでいた本に栞を挟みお義母様と会う準備をします。
私が準備している間にアリーさんが確認に向かわれます。
ガチャ
「ハロルド様!」
「イオはいるかな?」
「お嬢様にご用でございますね。少々お待ちくださいませ。」
私はお義母様だと思っていたのですが、アリーさんの話し声を聞いて急に緊張感が高まってしまいます。
「お嬢様、ハロルド様がお越しでございます。」
「は、はい‼︎」
「お会いになりますよね?」
ニコリと微笑むアリーさんは私の気持ちを知っているのではないかと思ってしまいます。
「は、はい‼︎」
「ではご案内いたしますね。」
「お、お願いします‼︎」
「畏まりました。」
礼をしてハル様を呼びに行かれるアリーさんを見つめながらも、私の心臓はドキドキとしてしまいます。
どうにか平常心を保とうと思うのですが平常心って何でしたっけ?
どうしましょう?どうしましょう?
そう思っているとハル様の姿が見えました。
驚きで席を立ち上がってしまいます。
「おはよう、イオ。昨日はよく眠れた?今日は会う日ではなかったのに来てごめんね。」
「あっ、いえ。あの昨日はありがとうございました。それにこれも…選んでいただいた本、とても面白いです。ありがとうございます。」
頂いた本を手に取りペコリと頭を下げてお礼を伝えます。
平静に平静にと思えば思うほどドキドキとしてしまいます。
ガバッと頭を上げると思ったよりもハル様のお顔が近くにありました。
自分の顔が物凄く赤くなるのが分かりました。
「イオ大丈夫?」
「な、何がですか?」
「顔、赤くない?具合悪い?」
「い、いえ。元気です。本当に大丈夫です。」
ハル様は普通にしていらっしゃるのに私だけこんなに動揺してしまうなんて恥ずかしいです。
「そう?イオが大丈夫なら今日は外に出掛けないか?」
「えっ?外ですか?」
「うん。イオが良ければ街を見に行かないかと思っているんだけど。」
「街にですか?」
「そう。一緒に本を見に行かないか?」
「邸に持ってきてもらってもいいけど、イオなら自分で選びたいかなと思ってね。」
「本を…自分で選んで良いんですか?」
「そう。どうだろう?」
「ですが…」
「本は俺からのプレゼントだから気にしないで。」
「本でしたら頂いています。」
「本棚の本は…実は俺のなんだよね。」
「へ?」
「つまり俺が持っていた本。イオにあげたのは本当なんだけど、俺としてはイオだけの本を買ってあげたくて実は初めから今日は一緒に出かけようと思っていたんだよね。だから、これから一緒に買いに行かないか?」
ど、どういうことですか?
私が頂いた本はハル様ので…でも頂いた本で…でも本を買いに行くって…
ハル様どういう事ですか????
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