【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

文字の大きさ
上 下
117 / 127

117.フィアの光に包まれて

しおりを挟む
「ジークフリート陛下お久しぶりです。」

「オフィーリア様がお怪我をされたと聞いてお見舞いに来てしまいました。」

「…………」

「ジーク兄、何か言えよ。2人はオフィーリア様のために来てくれたんだぞ。」

「………フィ…アの…ため?」

「……そうだよ。2人は光の羽と光のベールが見えるんだよ?オフィーリア様が今も守られているか分かると良いと思ったんだ…」

「フィアを?」

「そうだよ。もう話が進まないな。セシー、アルどう?」

「僕には羽が今も見えていますが…オフィーリア様ではなく陛下を守っています。」

「私を?」

「私にもそう見えます。オフィーリア様からベールが伸びてジークフリート陛下を覆っています。」

思わずフィアを見る。

「フィア?」

「ねぇジーク兄、オフィーリア様は今のジーク兄が心配で守ってるから目を覚まさないんじゃない?」

「私が心配って何で…」

「覇気がない。生気がない。」

「……………」

「また、だんまり?言っとくけどジーク兄がしっかりすればオフィーリア様…もうリア姉でも良い?良いよね?リア姉は目覚めると思うんだよね。だってリア姉の光の羽とベールはジーク兄を守っているんだよ?それを自分に使ったら目覚めるのに‼︎刺されたのはリア姉なんだよ?何で元気なジーク兄が心配かけているんだよ‼︎』

「そんなつもりは…」

「無いって言い切れる?言えないよね?3日間リア姉の側を離れず、碌にご飯も食べず、何も話さずそれで心配かけていないって?ジーク兄って思っていたよりも馬鹿なの?っていううか側近の俺の事忘れていたよね?ずっとセシーとアルの話を聞いたり2人の領地について行ったりしてたんだよ?おかげで随分仲良くなったよ。」

「そうだったのか…」

「あのジークフリート陛下?オフィーリア様は間違いなく目覚めます。だから一度お休みなってはどうですか?」

「もしお側を離れたくなかったら横にベットを並べてお休みなられてはどうでしょうか?お近くで顔を見るくらいは…って陛下?」

アルバートとセシリア嬢の話を聞いた私はフィアの隣で眠ることにした。
それが私達の日常だったから。

「ジーク兄?ちょっと何しているの?休んだ方が良いとは言ったけど何で同じベッドで寝るんだよ。」

「何でっていつも一緒に寝ているからだよ。」

『えっ⁉︎⁉︎⁉︎⁈⁉︎』

セシリア嬢もアルバートも顔を真っ赤にしていたので正しく説明しておく。

「手は出していない。」

「いやいやいや。そういう問題じゃなくて。」

「フィアの両親公認だ。大公…叔父上も知っている。」

「はぁ?」

「ゼノス煩い。休むから静かにしろ。」

『あっ‼︎光が…』

「セシー、アル光がどうしたの?」

『2人を…包んでいます。』

「あっ…そう…。ジーク兄もう寝てるよ…。今回は本当に心配したんだぞ。だからマホーティス領から急いで戻ってきたのに…でも良かった。何とかなりそうで。2人とも無理言って着いてきてもらって助かったよ。ありがとう。」

『いえ良かったです。』

私は3人がそんな風に話しているのも気にならないほど久々にゆっくり眠った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】お姉様の婚約者

七瀬菜々
恋愛
 姉が失踪した。それは結婚式当日の朝のことだった。  残された私は家族のため、ひいては祖国のため、姉の婚約者と結婚した。    サイズの合わない純白のドレスを身に纏い、すまないと啜り泣く父に手を引かれ、困惑と同情と侮蔑の視線が交差するバージンロードを歩き、彼の手を取る。  誰が見ても哀れで、惨めで、不幸な結婚。  けれど私の心は晴れやかだった。  だって、ずっと片思いを続けていた人の隣に立てるのだから。  ーーーーーそう、だから私は、誰がなんと言おうと、シアワセだ。

捨てられた王妃は情熱王子に攫われて

きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。 貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?  猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。  疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り―― ざまあ系の物語です。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

身代わりの私は退場します

ピコっぴ
恋愛
本物のお嬢様が帰って来た   身代わりの、偽者の私は退場します ⋯⋯さようなら、婚約者殿

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

旦那様には愛人がいますが気にしません。

りつ
恋愛
 イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。 ※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。

112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。 エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。 庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──

処理中です...