【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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116.まろうど

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あの後レオンが私の下に来て報告した。
オフィーリア様が自ら陛下を守るために侯爵を止めに動かれましたと。
本当かは分からない。
侯爵は私にも…いや父に愛する者を奪われる苦しみを与えたかった様だから。
やはり私ではなく初めからフィアを狙っていたのかもしれない。
フィアは母じゃないのに…
なのに私は守られフィアが刺された。
たくさん血が流れグッタリとしていたフィア…
守ると…必ず守ると…なのに私は…

「………下!陛下!」

陛下と私を呼んだ者を目だけで見る。

「しっかりして下さい。」

私を呼んだのはウィルだった。

「オリヴィア医師が傷は浅いと言っていました。一命は取り留めました。聞いていましたか?今日のリアはドレスを着るのにコルセットをしていたから血の量よりも傷は酷くないそうです。だから陛下しっかりして下さい。私の妹は絶対に大丈夫です。陛下が信じないでどうするのですか?」

ウィルが言ってる事は分かる…分かるのに思考が定まらない。
血で赤く染まったフィアが鮮明に映し出されて目の前が真っ暗になる。

「いいかジーク!ルクスがダニーに加護を与えたか?もうフィアが助からないとジークは本気で思っているのか?こんな事でリアが死ぬと本気で思っているのか?」

ウィルは私の胸ぐらを掴み揺する。
私は自らの苦しい気持ちを吐露していた。

「私を守って両親は死んだんだ…その時も血で…染まっていた。怖くて2人を何度も何度も呼んだ。でも目覚めなかった…フィアも私を助けようとしたと…血が……フィアも血で…」

「…っ。大丈夫だ。リアは絶対に大丈夫だ。医師も大丈夫だと…一命は取り留めたと言ったんだ。だからジーク信じろ‼︎ジークだけはリアを信じ続けるんだ‼︎」



でもそれから3日経ってもフィアは目覚めなかった。
政務を放棄し眠る時でさえフィアの側に居続ける私を誰も咎めなかった。
ただフィアが生きている事を側にいて実感していたくて手を握る。
温かく生きているのだと実感すること、それだけが私を支えていた。
私が側にいるからだろうか?眠るフィアは涙を流す事はなかった。
1人で眠る時は涙を流していたフィアがすぅすぅと寝息をたて眠っている。
いつ目覚めてもおかしくない程穏やかに眠っている。
あの日以降、私は泣く事も声を上げることもなくただ静かにフィアの側にいる。

コンコンコン

ドアがノックされる音がしたが返事もせず視線を向ける事もしなかった。
ドアが開き誰かが入ってくると私の側に座る。
さすがにフィアがいる部屋に入ってきたから視線をやるとゼノスだった。

「ねぇジーク兄ご飯食べてる?」

「…………」

「ねぇジーク兄聞いてる?オフィーリア様が目覚めても心配するよ?良いの?」

「…………」

「はぁ。答えないならまぁ良いや。セシー、アル入ってきて良いよ。」

ゼノスが誰かを招き入れる。

『失礼します。』

入ってきたのはセシリア嬢とアルバートだった。


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