【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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112.夜会⑤

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貴族達の挨拶が再開される。
令息・令嬢を私に売り込もうと必死になる者達もいる。
親達は私とフィアがラピスラズリの誓いをしているから自分達の息子がいかに有能か伝えようとしてくる。

だが子達は違った。
令息達はその身をドレスで覆い隠したフィアを凝視してくる。
プラチナピンクの髪に綺麗なオッドアイ。
可愛く笑うその笑顔に魅せられ、肉付きが良くなった体のラインは美しく抱き心地も良…とにかくその全てを舐めまわしている。
もちろんその度に牽制するが気分が良いものではない。
まぁ見てくるだけで害は…ない。
だが令嬢達は違った。
明らかに私に色目を使ってくる。
私達がラピスラズリの誓いをしていることもその誓いが何たるかも知らないのだから仕方ないのかもしれないが、フィアに次いで私の夫人の座を狙っているのが見え見えだった。
何よりフィアを蔑ろにするその態度に苛立つ。
ある者は豊満な胸を誇示し、ある者はそのスタイルを誇示する。
またある者はフィアを貶める様な発言をして自分の価値を高く見せようとする。
彼女達の両親はその度に青ざめていた。
両親がその無礼な態度に何度も謝罪の言葉を述べながら去っていく…の繰り返しだった。
まぁそもそも婚約式の夜会で婚約者が側にいるのに色目を使ってくるなんてそれだけでマナー違反だ。

嫌な思いをしていないか聞いたら当のフィアが言った言葉がこれだ。

(やはり世の女性の皆様は男性を虜にする武器をお持ちなのだわ。ジークも見ました?先程の方のお胸は女の私から見ても迫力でしたわ。でももう少しお淑やかな振る舞わないとその…見えてしまいますわよね?愛する人以外に見られるなんて恥ずかしくないのかしら?)

(私はフィア以外の女性に興味がないからよく分からなかったよ。)

そう言うとまた顔を赤くするフィア。

(私もジークになら全て見られても恥ずかしくありませんわ。もちろん照れてしまうと思いますが…)

と夜会中に言われこの場が夜会の会場で良かったと苦笑いしてしまう。


貴族の挨拶も大体落ち着きファーストダンスの時間になる。
私とフィアのダンスを皮切りに参加者もダンスをすることができる。
令息・令嬢が私達とダンスしようと画策しても私達は今宵もこの先も他の相手とは踊らない。
それを理解できる日が来るのはもう少し先かな?

「私の愛しいフィア。私と踊っていただけますか?」

「はい。もちろんです。」

ホールの中央に立ちフィアの手を取りダンスを始める。
会場にいる人達から注目される。
堂々とフィアの手を取り踊る事ができる至福の時間。
だが令息達への牽制も忘れない。
フィアは私のものだと見せつけるようにその身体をピタリと抱き寄せる。
フィアもまたその体を私に委ねてくれる。
私達は互いに寄り添いダンスを続けた。

レオンが叫ぶまでは…
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