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110.夜会❼
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国王陛下夫妻が王都へ帰る日。
彼女が本当に偽者じゃないか確認した。
彼女の肩を抱くジェイドを無視して聞いてみた。
「グロリア妃は陛下の事を愛しているのですか?」
「はい。出会った日からずっとジェイドだけを想っています。ジェイド以外の男性に心を奪われたことはありません。」
「そうですか…末永くお幸せに…」
「ありがとうございます、キラデル侯爵。侯爵もサラエン夫人と末永くお幸せに。」
ー会話をして分かった。やっぱり彼女はグロリアじゃない。偽者だ。ジェイド以外に心を奪われた事はないなんて…そんな直ぐにバレるような嘘を吐くなんて…
ジェイドが私を牽制しているがその女に興味はない。
偽者のグロリアじゃなく本物のグロリアにしか私は興味がないんだ。
馬車がゆっくりと進みだす中、私は穏やかな笑顔を浮かべ見送る。
手を振るグロリアの偽者に“さようなら”と心の中で呟きながら会釈する。
遠ざかる馬車は半日は穏やかに進むだろう。
半日後、予期せぬ崩落事故に巻き込まれ悔やまれながら国王陛下夫妻は亡くなる。
痛ましい事故だ。
私に協力する不成者は沢山いるんだ。
さて私は国王陛下夫妻の忘れ物をこの後発見し追いかけると事故を発見してしまう。
臣下として悲しい傷を負ってしまった私を本物のグロリアが癒してくれる。
王族の血は私にも流れている。
私がジェイドに代わりこの国を治めていったとしても問題ない。
新国王夫妻として私とグロリアが並ぶんだ。
「さて、忘れ物を届けに行こうか。」
天候は快晴。
順調に馬車は進む。
突如、岩盤が崩落する。
けたたましい音が轟く。
馬のいななきが響く。
私が陛下達を追ってたどり着いた時には酷い惨状で
馬車の中から私とグロリアの子供の泣き声が聞こえる。
岩盤で潰れた馬車の中を覗くと血だらけの陛下と偽者のグロリアが子供に覆い被さり守っていた。
2人の腕には紋章が刻まれている。
子供は泣いているが、かすり傷だけで無事なようだ。
ジークフリートと目が合う。
ーあぁ私の子供をやっと取り戻せる。忌々しいジェイドを亡き者に出来た。
思わず笑みが浮かぶ。
「これでグロリアは私のモノだ…」
嬉しさからそう呟いていた。
私達の子供を助けようと腕を伸ばすも事故が怖かったのか怯えている。
動かなくなった2人にすり寄る姿が痛ましい。
暫く眺めていると誰かが叫ぶ声が聞こえる。
「陛下~」
徐々にその姿がはっきりと見えてくる。
「ガウェイン公爵が率いる騎士団?何故ここに?」
「陛下!陛下~‼︎…貴殿はキラデル侯爵か?何があった‼︎」
「ガウェイン公爵…良かった。我が邸を出られた陛下に届ける物があり追いかけたのですが…こんな事故に出くわしまして途方に暮れていたんです。公爵様は?」
「そうか。私の事は今はいい。それよりも陛下!陛下‼︎……そんな…ジェイド陛下!グロリア様!」
ーグロリア?その女は偽者だよ?
「ジークフリート殿下‼︎御無事でしたか‼︎」
「ガウェイン…父様と母様が動かないんだ…」
ー父様と母様?ジークフリートも何を言っているんだ?
「……っ。お労しや殿下。」
混乱する頭では何も考えられない。
ガウェイン公爵に助け出されたジークフリートに睨まれる。
ー我が子に睨まれるなんて…でも仕方ないかこんな事故が起きたのに助けてあげられなかったのだ…落ち着くまで待ってあげよう。
ガウェイン公爵率いる騎士団に突き飛ばされ尻餅をついた私は馬車から運ばれる2人の遺体をただ見ていた。
ーあの女は偽者なんだ…グロリアじゃない…
◆◆◆◆◆
あの後、私に協力した不成者者達は全員始末した。
それなのに言いようのない不安に襲われる。
ふと浮上した意識に今自分がどこにいるのか思い出し慌てて質問に答えた。
彼女が本当に偽者じゃないか確認した。
彼女の肩を抱くジェイドを無視して聞いてみた。
「グロリア妃は陛下の事を愛しているのですか?」
「はい。出会った日からずっとジェイドだけを想っています。ジェイド以外の男性に心を奪われたことはありません。」
「そうですか…末永くお幸せに…」
「ありがとうございます、キラデル侯爵。侯爵もサラエン夫人と末永くお幸せに。」
ー会話をして分かった。やっぱり彼女はグロリアじゃない。偽者だ。ジェイド以外に心を奪われた事はないなんて…そんな直ぐにバレるような嘘を吐くなんて…
ジェイドが私を牽制しているがその女に興味はない。
偽者のグロリアじゃなく本物のグロリアにしか私は興味がないんだ。
馬車がゆっくりと進みだす中、私は穏やかな笑顔を浮かべ見送る。
手を振るグロリアの偽者に“さようなら”と心の中で呟きながら会釈する。
遠ざかる馬車は半日は穏やかに進むだろう。
半日後、予期せぬ崩落事故に巻き込まれ悔やまれながら国王陛下夫妻は亡くなる。
痛ましい事故だ。
私に協力する不成者は沢山いるんだ。
さて私は国王陛下夫妻の忘れ物をこの後発見し追いかけると事故を発見してしまう。
臣下として悲しい傷を負ってしまった私を本物のグロリアが癒してくれる。
王族の血は私にも流れている。
私がジェイドに代わりこの国を治めていったとしても問題ない。
新国王夫妻として私とグロリアが並ぶんだ。
「さて、忘れ物を届けに行こうか。」
天候は快晴。
順調に馬車は進む。
突如、岩盤が崩落する。
けたたましい音が轟く。
馬のいななきが響く。
私が陛下達を追ってたどり着いた時には酷い惨状で
馬車の中から私とグロリアの子供の泣き声が聞こえる。
岩盤で潰れた馬車の中を覗くと血だらけの陛下と偽者のグロリアが子供に覆い被さり守っていた。
2人の腕には紋章が刻まれている。
子供は泣いているが、かすり傷だけで無事なようだ。
ジークフリートと目が合う。
ーあぁ私の子供をやっと取り戻せる。忌々しいジェイドを亡き者に出来た。
思わず笑みが浮かぶ。
「これでグロリアは私のモノだ…」
嬉しさからそう呟いていた。
私達の子供を助けようと腕を伸ばすも事故が怖かったのか怯えている。
動かなくなった2人にすり寄る姿が痛ましい。
暫く眺めていると誰かが叫ぶ声が聞こえる。
「陛下~」
徐々にその姿がはっきりと見えてくる。
「ガウェイン公爵が率いる騎士団?何故ここに?」
「陛下!陛下~‼︎…貴殿はキラデル侯爵か?何があった‼︎」
「ガウェイン公爵…良かった。我が邸を出られた陛下に届ける物があり追いかけたのですが…こんな事故に出くわしまして途方に暮れていたんです。公爵様は?」
「そうか。私の事は今はいい。それよりも陛下!陛下‼︎……そんな…ジェイド陛下!グロリア様!」
ーグロリア?その女は偽者だよ?
「ジークフリート殿下‼︎御無事でしたか‼︎」
「ガウェイン…父様と母様が動かないんだ…」
ー父様と母様?ジークフリートも何を言っているんだ?
「……っ。お労しや殿下。」
混乱する頭では何も考えられない。
ガウェイン公爵に助け出されたジークフリートに睨まれる。
ー我が子に睨まれるなんて…でも仕方ないかこんな事故が起きたのに助けてあげられなかったのだ…落ち着くまで待ってあげよう。
ガウェイン公爵率いる騎士団に突き飛ばされ尻餅をついた私は馬車から運ばれる2人の遺体をただ見ていた。
ーあの女は偽者なんだ…グロリアじゃない…
◆◆◆◆◆
あの後、私に協力した不成者者達は全員始末した。
それなのに言いようのない不安に襲われる。
ふと浮上した意識に今自分がどこにいるのか思い出し慌てて質問に答えた。
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