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103.夜会③
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「陛下、オフィーリア様おめでとうございます。」
「キラデル侯爵ありがとう。」
フィアは声を出さず会釈だけする。
キラデル侯爵が近づいてきたのと同時に側近達が最大限警戒する。
「陛下の婚約者様はお美しい方ですね。」
「あぁ愛らしく美しい私の大切な女性だ。」
「そうですか。」
「あぁ。」
その視線をフィアからはずさず私と会話を続ける侯爵。
「そうですね。その濃紺の美しいドレスはとても良くお似合いですよオフィーリア様。ただ装飾がない方が貴女の魅力が活かされると思いますがね。」
何も言わずキラデル侯爵を睨むフィア。
「おや。何か気に触ることを言いましたかね?」
「えぇ、そうですわね。私は陛下の髪の色に陛下の瞳の色を纏わせたこのドレスを気に入っております。まるでジークフリート陛下に常に抱き締められている様で安心しますもの。」
「……そうですか。」
はっきりと自分の気持ちを伝えたフィアに苦い顔をする侯爵。
「キラデル侯爵もサラエン夫人の青を纏っているんですね。」
「…っつ。」
すごく不快な顔になる。
本当は母の色なのだろうがサラエン夫人も瞳に青を持っている。
この様な場では伴侶の色を見に纏うことは当たり前だ。
キラデル侯爵の意思に関係なくそう思われるものだろう。
「サラエン夫人と仲睦まじいのですね。夫人は話しやすい方でしたから機会があれば後ほどまた話したいですわ。確か先程お見かけした時、夫人も侯爵様のお色を纏われていましたわね。本当にお互いを想いあった良い夫婦ですわね。」
「オフィーリア様、貴女にはそう見えているのですか?」
「はい。こういった社交の場で愛しい伴侶の色を纏うのは当然ですわ。」
「クリス。陛下達に挨拶に来るなら私にも声を掛けて欲しかったわ。」
「…君は他の夫人達と話をしていたから邪魔をしてはいけないと思ったんだよ。」
「陛下、オフィーリア様。本日は本当におめでとうございます。またオフィーリア様とお話しできて嬉しいですわ。」
「ありがとうございます。私もサラエン夫人とお話しできて嬉しいですわ。」
「ねぇクリス。陛下のご両親の事をお2人に話してあげて。」
「…そうですね…グロリア様は快活に見えて読書をするのがお好きな方でしたね。学園の図書館でよく読書をされいました。彼女の周りだけとても静かな空気が流れていましたね。」
「私も知っているわ。図書室でグロリア妃が読書をしているとジェイド陛下が必ず迎えに来られるのよね。ジェイド陛下が来ると美しいグロリア妃が花が咲くように綻ぶ笑顔が可愛らしかったわ。」
「…そうだね。」
父の名前を聞くまでは幸せそうな顔をしていたキラデル侯爵は父の名前を聞いた途端不機嫌になる。
思ったよりも顔に出る程に余裕がないのかもしれない。
「こういったパーティでもお2人は片時も離れず本当に仲良かったわ。」
ーそれはラピスラズリの誓いのせいだろうが…そういえばキラデル侯爵と母の接点はなんだろう?
「侯爵は両親とは王立学園で友人だったのですか?」
その質問に侯爵の顔が強張る。
「ん~クリスはグロリア妃とクラスが一緒だったのよね?」
「あぁそうだ。」
「仲は良かったんですか?」
その質問に私を睨んでくる。
侯爵の目には今、私を通して父の姿が見えているのかもしれない。
「キラデル侯爵ありがとう。」
フィアは声を出さず会釈だけする。
キラデル侯爵が近づいてきたのと同時に側近達が最大限警戒する。
「陛下の婚約者様はお美しい方ですね。」
「あぁ愛らしく美しい私の大切な女性だ。」
「そうですか。」
「あぁ。」
その視線をフィアからはずさず私と会話を続ける侯爵。
「そうですね。その濃紺の美しいドレスはとても良くお似合いですよオフィーリア様。ただ装飾がない方が貴女の魅力が活かされると思いますがね。」
何も言わずキラデル侯爵を睨むフィア。
「おや。何か気に触ることを言いましたかね?」
「えぇ、そうですわね。私は陛下の髪の色に陛下の瞳の色を纏わせたこのドレスを気に入っております。まるでジークフリート陛下に常に抱き締められている様で安心しますもの。」
「……そうですか。」
はっきりと自分の気持ちを伝えたフィアに苦い顔をする侯爵。
「キラデル侯爵もサラエン夫人の青を纏っているんですね。」
「…っつ。」
すごく不快な顔になる。
本当は母の色なのだろうがサラエン夫人も瞳に青を持っている。
この様な場では伴侶の色を見に纏うことは当たり前だ。
キラデル侯爵の意思に関係なくそう思われるものだろう。
「サラエン夫人と仲睦まじいのですね。夫人は話しやすい方でしたから機会があれば後ほどまた話したいですわ。確か先程お見かけした時、夫人も侯爵様のお色を纏われていましたわね。本当にお互いを想いあった良い夫婦ですわね。」
「オフィーリア様、貴女にはそう見えているのですか?」
「はい。こういった社交の場で愛しい伴侶の色を纏うのは当然ですわ。」
「クリス。陛下達に挨拶に来るなら私にも声を掛けて欲しかったわ。」
「…君は他の夫人達と話をしていたから邪魔をしてはいけないと思ったんだよ。」
「陛下、オフィーリア様。本日は本当におめでとうございます。またオフィーリア様とお話しできて嬉しいですわ。」
「ありがとうございます。私もサラエン夫人とお話しできて嬉しいですわ。」
「ねぇクリス。陛下のご両親の事をお2人に話してあげて。」
「…そうですね…グロリア様は快活に見えて読書をするのがお好きな方でしたね。学園の図書館でよく読書をされいました。彼女の周りだけとても静かな空気が流れていましたね。」
「私も知っているわ。図書室でグロリア妃が読書をしているとジェイド陛下が必ず迎えに来られるのよね。ジェイド陛下が来ると美しいグロリア妃が花が咲くように綻ぶ笑顔が可愛らしかったわ。」
「…そうだね。」
父の名前を聞くまでは幸せそうな顔をしていたキラデル侯爵は父の名前を聞いた途端不機嫌になる。
思ったよりも顔に出る程に余裕がないのかもしれない。
「こういったパーティでもお2人は片時も離れず本当に仲良かったわ。」
ーそれはラピスラズリの誓いのせいだろうが…そういえばキラデル侯爵と母の接点はなんだろう?
「侯爵は両親とは王立学園で友人だったのですか?」
その質問に侯爵の顔が強張る。
「ん~クリスはグロリア妃とクラスが一緒だったのよね?」
「あぁそうだ。」
「仲は良かったんですか?」
その質問に私を睨んでくる。
侯爵の目には今、私を通して父の姿が見えているのかもしれない。
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