【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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101.夜会①

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私達は婚約式の衣装から着替え夜会に出る準備をする。
私の色を纏うフィアが愛しくて仕方ない。

「フィア大丈夫?婚約式でも緊張していたし疲れていない?」

「大丈夫よ。皆様とお話し出来て嬉しかったわ。それにこれでジークの婚約者だって堂々と言えるもの。」

「私も嬉しいよ。こんなに可愛人が私の婚約者だってやっと言えるからね」

そう言い頬に触れる。
にこりと笑うフィアに口付ける。

「私の婚約者様、夜会のエスコートもよろしくね。」

そう言うフィアが可愛くてもう一度口付けた。


夜会の会場では既に私と両親の話で盛り上がっているとレオンから報告を受ける。
先程の挨拶でフィアと話をした夫人達が盛り上がっているようだ。
その中にサラエン夫人もいるらしい。
フィアはさっき話をした感じからサラエン夫人の事をこう言った。

「思っていた感じの人とは違うと思うわ。ジークの両親の事も良く思っている様だし、何より少女のような雰囲気があるというか…運命の愛を信じているというか憧れているような感じがしたの。私、サラエン夫人ともっとお話ししてみたいわ。」

フィアは7年間拐われていたため当然だが警戒心が強い。
実際ものすごく人を見ている。
そのフィアが話してみたいって言うなら警戒する必要は無いのかもしれないと思う。
キラデル侯爵は予定通り苛立っていると報告を受けている。
表面上は平静を装っている様だが良く観察すると分かる程に感情が抑えられなくなっている事が分かるとレオンは話した。
そして準備が整い夜会の会場に入る段となる。

「ジークフリート国王陛下、並びにオフィーリア様の入場です。」

盛大な音楽と共に扉が開き入場を促される。
私はフィアをエスコートしながら、素早くキラデル侯爵の存在を確認する。

ー先程よりも苛立っているのは間違いないな。

そう思った時だった。
フィアを見るとニタリと笑う。
明らかにフィアを見る目がおかしい。
瞬時に側近を見れば彼らも同じ事を思ったのか戸惑いの表情を浮かべている。
珍しくレオンまでもが動揺している。
すぐに小声でフィアに注意するよう伝える。

(フィア落ち着いて聞いて。キラデル侯爵の反応がおかしい。苛立ってはいるがフィアに明らかに興味を持っているように感じる。私達も気をつけるがフィアも気をつけて欲しい。)

(私もそう思いました。まさかとは思いますが…)

(気になることが?)

(実は先程思った事なのですが…あっ!)

そうフィアが話し始めた時に席に着いてしまい曲が止まり、それ以上フィアに聞くのが難しくなる。
会場入りしたばかりでは退席すことも難しい。
この夜会には先程の婚約式に参加した貴族の他に子息・令嬢が参加している。
今宵は常に注目の的である私達はおそらくこの後たくさんの挨拶を受ける事になる。
両親の話をする計画は無意識の協力者もいるため継続するとして、フィアを守れるように側近を予定より近くに配置する様に目配せする。

ー何故キラデル侯爵はフィアを見て笑った?母の色に父の色を纏ったフィアを見て何故笑う?フィアの何に興味を持った?

開始の挨拶等が粛々と進む中どこか不穏な雰囲気が私達を襲っていた。
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