【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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97.ドレス

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フィアのドレスが仕上がる。
1着はフェアリーピンクのプリンセスラインのドレス。
このドレスは婚約式の時に着るもののため控えめな装飾になっている。
2着目はに私の髪色に合わせた濃紺に私の瞳の色に近いイエローやシェリーカラーのレースをあしらったAラインのドレスだ。
どちらも肌の露出を最大限なくした作りにしている。

我国の婚約式は王家・公爵家は必ず行うのだが、侯爵家以下は自由となっている。
婚約式は各々の色を身につけて出る事が決まりだ。
だからフィアは髪色に合わせたフェアリーピンクに私は濃紺の正装服になっている。
フィアに比べ私は国王である事もあり装飾が多い。
夜会は互いの色を纏う。
私はフィアの瞳のアクアマリンを纏ったスーツを着る。
そして結婚式では白いドレスとスーツを着る。

つまり"私を貴方の色にして欲しい"と婚約式で身に纏った色が夜会で"互いの色に染まり"、そして結婚式では"2人で新しい色を作っていきましょう"となるのがこの国の結婚までの作法の様なものだ。

そしてフィアの結婚式に着るドレスも仕上がっている。
マーメイドラインの純白ドレス。
結婚式のドレスが何故出来ているのかというと、先日の一件で私の我慢はいつ決壊してても崩壊してもおかしくないと判断したため婚約式後1年…いや半年以内に結婚式をしようと画策中だからだ。
この計画にはフィアも賛同してくれている。
別にそういう事をしたいから結婚するわけでは決してない。
ただ私達にとっては今の状態でも結婚しても同じなのだ。
互いを唯一の伴侶として将来を共にしていくのだ。
それなら早く結婚しても同じだと考えたのだ。

出来上がったドレスはフィアにはまだ見せていない。
絶対に似合うだろう。
ネイト宰相と話合い書類上の婚約者になって7年…
その7年間フィアが私の婚約者だと明かす事は出来なかった。
やっとフィアを私の婚約者だと堂々と言える事がこんなに嬉しいなんて。
いつ見せようか?どんな顔するかな?なんて楽しみまである。

その思いとは反対にキラデル侯爵を捕らえられるかな?と不安にも思う。
今回の計画は少し修正する事にした。
婚約式で両親の話をする事に変更はない。
ただこの時の私の衣装が母から受け継いだ濃紺色を纏うためキラデル侯爵から言質を取る事は難しいと判断した。
だから夜会だ。
夜会では父の色をフィアのドレスに取り入れている。
デザインが母(濃紺)を父(トパーズ)が抱きしめている様に感じる作りになっている。
キラデル侯爵は深緑の髪と瞳だ。
婚約式では散々2人の話を聞かされ夜会でそのドレスを着て仕上げに私が両親への想いを語る。

ー準備出来る事はしてきた。絶対に夜会で証言させる。そのために大切な婚約式を計画に入れているのだ。フィアとの幸せな結婚生活のためにも…両親の仇を討つためにも…


あと1週間後にその日は迫っていた。
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