【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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96.弱くて傲慢で情けない男の本気の葛藤

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いつもより長い口付けに我慢が出来なくなりそうだった。
分かっているのにもう少しと思う自分を止められない。
フィアが倒れそうになるのを支えたら体勢を崩してベッドに倒れ込んでしまう。
これはまずいと分かっているのに止める事が出来ない。

「はぁ…ジ…ィク…。」

艶かしいフィアの声に頭が焼き切れそうになる。
これ以上進んだら絶対に止められないとなけなしの理性で止まる。
瞳が潤んでいるフィアに引き寄せられそうになるのをグッと我慢する。

「ジ…クゥ…もっ…と…」

ー待って待って待って待って~ダメだこれ以上は本当にダメだ。私はフィアを大切にしたいんだ。こんな勢いでなんて…フィアも何でもっとなんて言うんだよ‼︎まずい本当にまずい‼︎

「待ってフィア‼︎これ以上はダメだ…」

「何で?ジーク…」

ー何でって…我慢できないからです。せめて、せめて婚約式までは…って婚約式したらいいのかって話で…

「やっぱり私の身体が傷だらけだから?」

「違うよ。もう本当にそれだけは絶対にない。というかフィアも分かってて煽ってるよね?結婚式までは絶対に手を出さないって決めてるんだ。」

「理由を聞いても?」

「ふぅ。私は11歳で王位を継いだ。その事をよく思わない者がいるのは間違いない。フィアは7年間拐われていた。フィアのせいじゃないし、誓いのお陰で純潔は守られている。私の両親も私が産まれる前に誓いをしている。臣下にそれは苦労をかけたらしい。そういういろんな事が私達にはあって、そのどれもが私達と私達を大切に思う人達を傷付けかねない弱点にもなっている。だから、私達の先へ進む為のそれは…結婚まで待ちたいんだ。」

「もう少し触れるのもダメ?」

ーフィアからそんな事言われたら良いよって言いたくなるんだけど…でも…

「そのままのフィアを見たいし抱きしめたいしそうじゃなくてもフィアにたくさん触れたいよ。けど…それをしたら絶対に止まれないから…フィアお願いだから我慢させて…」

「私はジークとそうなりたいよ?でもその気持ちの中に安心したいかって気持ちがないわけじゃないの…だから、安心したいからじゃなくジークと幸せになりたいからって気持ちの全部で言えるようになるから…だから結婚したら私の全部をジークのものにして下さい。」

ーもうやめて…本当にもう限界なんだから…フィアを私のものになんて…今すぐにだってしたいのに‼︎

「はい。その時はフィアを私に下さい。」 

「…何かジークだけ余裕な感じで寂しいわ。」

ー何で⁉︎私のどこに余裕を感じるの?フィアには私がどう見えてるの?

「本当に余裕なんてないんだけど…フィアは湯浴みした?」

「はい。…?」

「私は湯浴みをしてくるからフィアはお茶でも飲んで休んでて。」

「…?はい、いってらっしゃい。」

浴室でひたすらに冷水を浴びる。
落ち着きを取り戻し談話室に行くもフィアはおらず、私の部屋に行くとベッドに横になって眠っていた。
涙を拭い私もベッドに横にる。
フィアを抱きしめるとすり寄ってくる。
フィアを絶対に守る、私からもと決意を新たに眠りについた。
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