88 / 127
88.夫人達の茶会③
しおりを挟む
「陛下に…ひいては前国王夫妻にリアは守られたのですわ。そして、リアは拐われてから7年後陛下によって助け出されたのです。もちろんリアは助け出された時には衰弱していました。でも、そんなあの子を陛下が献身的なまでの愛で支えて下さいましたの。」
涙ながらに話すアリシア夫人の背をマレリア夫人が撫で慰める。
「もうすぐ皆様の所に王国から婚約式の招待状が届くと思います。体調の良くなったオフィーリア様と陛下が漸く婚約式を執り行う事ができるのです。お2人は前国王夫妻を敬った式にする予定と夫より聞いていますわ。私はお2人のその気持ちが嬉しいのですわ。」
「そうだったのですね。」「お伽話のようね。」「ぜひ婚約式には参加したいわ。」と夫人達は口々に話す。
「是非民様にもお祝いしていただけると若い2人も心強いでしょう。特にリアは7年という時を奪われたために…社交の場で頼れる人があまりに少なくのです。同年代ではフロリス嬢だけが唯一の友人です。ですから皆様のお力を是非お貸しください。」
そう言い礼をするアリシア夫人。
「もちろんですからお顔をお上げください。」
「ありがとう。」
そう言いまた涙を流す夫人。この瞬間お茶会に参加した者達の気持ちをそして僕の気持ちを掌握したのです。
「つきましては陛下もオフィーリア様も前国王夫妻の話を聞く機会があまりに少なかったので婚約式とその後の夜会では是非とも話を聞きたいと申しておりますわ。私もそうする事で夫妻が大きくなられた陛下のお姿を見て下さる気がしてますの。皆様も重ねてのお願いになりますが協力して下さいませ。」
今度は大公夫人が頭を下げる。それに合わせてアリシア夫人もまた頭を下げる。高位貴族の2人がそうする程に陛下とオフィーリア様を思っている事がとてもよく伝わるんです。そしてそれは大公と宰相がそう思っていると、ひいては中枢にて陛下を支える貴族の思いだと感じられます。そして運良く…本当に運良くこのお茶会にはその中枢で仕事をする貴族の夫人方が多く集まっていました。この時の僕はアリシア夫人がお可哀想で陛下とオフィーリア様を何としてでもお守りしなければと熱く思っておりました。詳細を知っている僕もです。そしてお茶会後に僕は思い知るのです。
「お疲れ様です。」
「あらレオン君。お疲れ様。」
「お疲れ様です。大丈夫ですか?」
「問題ないわ。今日のご夫人方には理解を頂けたから。次も頑張るわ。」
「いえ…そうではなく…」
「もうシアったら!レオンちゃんは貴方の気持ちを心配しているのよ。」
「あぁ。大丈夫よレオン君。だってこういう事は私達の領分ですもの。夫達には任せていられないですわ。」
「でわあれは…」
「あれも本心よ。ねぇレオン君、貴方もこれから伯爵家を継ぐ者として妻を娶る身なんですから女の機微にも敏感にならなきゃ大変よ!」
「そうねシアの言う通りね!頑張ってねレオンちゃん。でもレオンちゃんなら大丈夫な気がするわ!」
そんな話をしながら遠去かる夫人達の背を茫然と見つめながらこの国で1番敵にしてはいけない人達だと思いました…
◇◇◇◇◇◇◇◇
これが私が受けたレオンからの報告の一つだ。
かなり詳細に私達のことを話しているなとは思ったが知られて困る話ではないので良いだろう。
というか夫人達には逆らってはいけない。
涙ながらに話すアリシア夫人の背をマレリア夫人が撫で慰める。
「もうすぐ皆様の所に王国から婚約式の招待状が届くと思います。体調の良くなったオフィーリア様と陛下が漸く婚約式を執り行う事ができるのです。お2人は前国王夫妻を敬った式にする予定と夫より聞いていますわ。私はお2人のその気持ちが嬉しいのですわ。」
「そうだったのですね。」「お伽話のようね。」「ぜひ婚約式には参加したいわ。」と夫人達は口々に話す。
「是非民様にもお祝いしていただけると若い2人も心強いでしょう。特にリアは7年という時を奪われたために…社交の場で頼れる人があまりに少なくのです。同年代ではフロリス嬢だけが唯一の友人です。ですから皆様のお力を是非お貸しください。」
そう言い礼をするアリシア夫人。
「もちろんですからお顔をお上げください。」
「ありがとう。」
そう言いまた涙を流す夫人。この瞬間お茶会に参加した者達の気持ちをそして僕の気持ちを掌握したのです。
「つきましては陛下もオフィーリア様も前国王夫妻の話を聞く機会があまりに少なかったので婚約式とその後の夜会では是非とも話を聞きたいと申しておりますわ。私もそうする事で夫妻が大きくなられた陛下のお姿を見て下さる気がしてますの。皆様も重ねてのお願いになりますが協力して下さいませ。」
今度は大公夫人が頭を下げる。それに合わせてアリシア夫人もまた頭を下げる。高位貴族の2人がそうする程に陛下とオフィーリア様を思っている事がとてもよく伝わるんです。そしてそれは大公と宰相がそう思っていると、ひいては中枢にて陛下を支える貴族の思いだと感じられます。そして運良く…本当に運良くこのお茶会にはその中枢で仕事をする貴族の夫人方が多く集まっていました。この時の僕はアリシア夫人がお可哀想で陛下とオフィーリア様を何としてでもお守りしなければと熱く思っておりました。詳細を知っている僕もです。そしてお茶会後に僕は思い知るのです。
「お疲れ様です。」
「あらレオン君。お疲れ様。」
「お疲れ様です。大丈夫ですか?」
「問題ないわ。今日のご夫人方には理解を頂けたから。次も頑張るわ。」
「いえ…そうではなく…」
「もうシアったら!レオンちゃんは貴方の気持ちを心配しているのよ。」
「あぁ。大丈夫よレオン君。だってこういう事は私達の領分ですもの。夫達には任せていられないですわ。」
「でわあれは…」
「あれも本心よ。ねぇレオン君、貴方もこれから伯爵家を継ぐ者として妻を娶る身なんですから女の機微にも敏感にならなきゃ大変よ!」
「そうねシアの言う通りね!頑張ってねレオンちゃん。でもレオンちゃんなら大丈夫な気がするわ!」
そんな話をしながら遠去かる夫人達の背を茫然と見つめながらこの国で1番敵にしてはいけない人達だと思いました…
◇◇◇◇◇◇◇◇
これが私が受けたレオンからの報告の一つだ。
かなり詳細に私達のことを話しているなとは思ったが知られて困る話ではないので良いだろう。
というか夫人達には逆らってはいけない。
0
お気に入りに追加
122
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

【完結】お姉様の婚約者
七瀬菜々
恋愛
姉が失踪した。それは結婚式当日の朝のことだった。
残された私は家族のため、ひいては祖国のため、姉の婚約者と結婚した。
サイズの合わない純白のドレスを身に纏い、すまないと啜り泣く父に手を引かれ、困惑と同情と侮蔑の視線が交差するバージンロードを歩き、彼の手を取る。
誰が見ても哀れで、惨めで、不幸な結婚。
けれど私の心は晴れやかだった。
だって、ずっと片思いを続けていた人の隣に立てるのだから。
ーーーーーそう、だから私は、誰がなんと言おうと、シアワセだ。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる