85 / 127
85.作戦会議の日の夜
しおりを挟む
作戦会議をした日の夜。
侍女を下がらせソファで2人きりの穏やかな時間を過ごしていた。
「大丈夫かいフィア。今日は疲れたんじゃない?」
「そうですわね。緊張しましたわ。」
「フィアがあんな風に考えていたなんて思ってなかったな。」
「私もあのまま皆様が賛同して下さるとは思っていませんでしたわ。」
「自信があったんじゃないの?」
「もちろん考えたからには皆様に賛同頂けるようにしようと思ってましたわよ。」
「でも今日お話ししてすぐ決まるとは思っていませんでした。しかも2ヶ月後には決行するなんて…。こんなにすんなり決まると思っていなかったからお母様達に協力を仰いだのですもの。」
「そうそれ。アリシア夫人やマレリア夫人にまで協力を仰いでいたなんて驚いたよ。」
「本当はお姉様達も協力したいと言って下さったのですが出産して間もないですから遠慮しましたの。私達の婚約式には絶対に参加すると仰っていましたわ。」
「フィアのお姉さん達も知ってるの⁉︎」
「そうですの。この間、来てくださった時にお話ししましたの…話してなくてごめんなさい。」
「それは…今度から話してくれればいいよ。それにしてもダニーとマリーベル夫人の子供は小さくて可憐な可愛い女の子だったよね。あのダニーがあんなに顔を緩ませてるのには思わず笑ったな。それにエミーリア夫人の子供は既に凛々しい男の子の顔をしてて女の子とは違った可愛さがあったよね。無事に産まれて本当に良かった。」
「えぇ本当に…可愛かったわ。」
そう話しながら私の指にフィアが自分の指を絡ませる。
ふと昼間のフィアを思い出し口を開く。
「ねぇそういえばフィアは私が何に悩んでいると思っていたんだい?」
途端に顔を赤くするフィアに、私は自分自身の地雷を踏んでしまった事に気づく……
このままではフィアの身が危険だと思い慌ててフィアを止める。
「いや、やっぱり言わなくて良いよ。」
「いえ。お話しするわ。隠す事ではないのですから。」
ーえっ?言うの?
「私はジークが私との距離に悩んでいるのかと思ってましたの。」
ーフィアとの距離?確かにそれは…でも悩むというよりも迷うというか…察して欲しい時もあるというか…
「だってあの人…リズベット夫人も裁かれましたでしょう?それに、私の身体もあの頃と違って丈夫になりました。助けて頂いた時は私の精神状態も不安定でしたから、周りの人たちも理解してくれた事にして頂けましたが今は…だからジークは私との距離の取り方に悩んでいるのかと思ったの。」
ーそういう事か…そんな事考えてもいなかったな。確かに直接的ではなくとも似たような事を言ってくる宰相や側近は居るにはいるが…特に問題ない。
「黙ってるって事はそういう事なのよね。大丈夫よジーク。結婚するまでは普通にお互いの私室で休みましょう?」
ーん?
「何で?」
「何でって聞いてなかったの?私の話!」
「いや聞いてたよ。聞いていたけど…」
「何?」
「私がフィアと離れて眠るなんて出来ない。」
「えっ?」
「だって1日の大半を離れて過ごさなきゃいけないんだよ?それなのにこれ以上離れて過ごす時間を増やすなんて…ダメだ。何を言われようとこれは譲れないな。だからそんな事は気にしなくていい。いいねフィア。」
「………はい。」
こうして私の理性と欲望の闘いは喜ばしくも続くのだ。
侍女を下がらせソファで2人きりの穏やかな時間を過ごしていた。
「大丈夫かいフィア。今日は疲れたんじゃない?」
「そうですわね。緊張しましたわ。」
「フィアがあんな風に考えていたなんて思ってなかったな。」
「私もあのまま皆様が賛同して下さるとは思っていませんでしたわ。」
「自信があったんじゃないの?」
「もちろん考えたからには皆様に賛同頂けるようにしようと思ってましたわよ。」
「でも今日お話ししてすぐ決まるとは思っていませんでした。しかも2ヶ月後には決行するなんて…。こんなにすんなり決まると思っていなかったからお母様達に協力を仰いだのですもの。」
「そうそれ。アリシア夫人やマレリア夫人にまで協力を仰いでいたなんて驚いたよ。」
「本当はお姉様達も協力したいと言って下さったのですが出産して間もないですから遠慮しましたの。私達の婚約式には絶対に参加すると仰っていましたわ。」
「フィアのお姉さん達も知ってるの⁉︎」
「そうですの。この間、来てくださった時にお話ししましたの…話してなくてごめんなさい。」
「それは…今度から話してくれればいいよ。それにしてもダニーとマリーベル夫人の子供は小さくて可憐な可愛い女の子だったよね。あのダニーがあんなに顔を緩ませてるのには思わず笑ったな。それにエミーリア夫人の子供は既に凛々しい男の子の顔をしてて女の子とは違った可愛さがあったよね。無事に産まれて本当に良かった。」
「えぇ本当に…可愛かったわ。」
そう話しながら私の指にフィアが自分の指を絡ませる。
ふと昼間のフィアを思い出し口を開く。
「ねぇそういえばフィアは私が何に悩んでいると思っていたんだい?」
途端に顔を赤くするフィアに、私は自分自身の地雷を踏んでしまった事に気づく……
このままではフィアの身が危険だと思い慌ててフィアを止める。
「いや、やっぱり言わなくて良いよ。」
「いえ。お話しするわ。隠す事ではないのですから。」
ーえっ?言うの?
「私はジークが私との距離に悩んでいるのかと思ってましたの。」
ーフィアとの距離?確かにそれは…でも悩むというよりも迷うというか…察して欲しい時もあるというか…
「だってあの人…リズベット夫人も裁かれましたでしょう?それに、私の身体もあの頃と違って丈夫になりました。助けて頂いた時は私の精神状態も不安定でしたから、周りの人たちも理解してくれた事にして頂けましたが今は…だからジークは私との距離の取り方に悩んでいるのかと思ったの。」
ーそういう事か…そんな事考えてもいなかったな。確かに直接的ではなくとも似たような事を言ってくる宰相や側近は居るにはいるが…特に問題ない。
「黙ってるって事はそういう事なのよね。大丈夫よジーク。結婚するまでは普通にお互いの私室で休みましょう?」
ーん?
「何で?」
「何でって聞いてなかったの?私の話!」
「いや聞いてたよ。聞いていたけど…」
「何?」
「私がフィアと離れて眠るなんて出来ない。」
「えっ?」
「だって1日の大半を離れて過ごさなきゃいけないんだよ?それなのにこれ以上離れて過ごす時間を増やすなんて…ダメだ。何を言われようとこれは譲れないな。だからそんな事は気にしなくていい。いいねフィア。」
「………はい。」
こうして私の理性と欲望の闘いは喜ばしくも続くのだ。
0
お気に入りに追加
122
あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。

ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる