【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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62.雷雲立ち込める

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午後になり宰相があの女、リズベット・サンノ・マホーティスと会う時間が迫る。
今は私の執務室に側近と宰相そして私の7名でその時を待っている。
宰相はこの国の重鎮らしく落ち着いている様に見えているが、纏う空気はピリピリと張り詰め重苦しい。

「陛下、申し訳ありません…と先に謝っておきます。私は冷静に話せないでしょう。陛下もお怒りと存じますが私も愛する娘を傷つけられたのです。それも傍迷惑な思い込みのせいでリアは傷つけられたかと思うと怒りが抑えられません。」

「私が抑えろと言って抑えられるものではないのだろう?今日は宰相の思うことを話せば良い。今日の面談は私の責任下で行うのだから気にするな。ただし…殺すなよ。」

「…陛下のご配慮に感謝いたいします。」

「その代わりフィアが特別な子だという意味を教えてもらえるか?」

「陛下どこでそれを…。」

「すみません父さん。私があの女と対面した時怒りに任せてリアを特別な子だと言ってしまったんです。」

「ネイト侯爵よオフィーリアが"特別な子"とはどういう意味か教えてもらえないか?」

「陛下…かしこまりました。本日の政務が終わりましたら話させていただきます。その時はリアも同席のもと話させて頂きたい。」

「ではフィアの体調を見て時間を設けよう。」

「御意に。」

「でわ宰相。行くか。」

そう言い席を立った私に皆が続く。
今回の面談のために広めの部屋を用意している。
あの女は今はまだ貴族であるため王国議会でその処遇が決まるまで罪人として牢獄に入れられない。
その事があの女を更に勘違いさせているとしても、それも今日までのことだ。

扉を開け部屋に入る。
瞳を輝かせているがネイト宰相にかルドに対してか…
あの女の前の席に宰相と私が座り後ろに側近達が控える。

「あぁネイト。助けに来てくれたのね。ネイトが来てくれるのを待っていたわ。」

宰相か…。
今日は本人がいるからかルドには目も向けない。

「リズベット・サンノ・マホーティス侯爵夫人…」

「やだネイト…いつもの様にリズと呼んで。」

「リズベット・サンノ・マホーティス侯爵夫人。」

「ネイト?どうしたの?何を怒っているの?もしかして私が他の男と結婚したのがそんなにイヤだった?貴方以外の子供を産んだのがすごく嫌で嫉妬しているの?でもネイトだってアリシアと結婚して子供まで…ぐすっ」

「泣くな鬱陶しい。お前が傷つけたのは私の愛する娘だ。それを分かっているのか?謝罪の言葉もなく意味のわからない事を言うな!私の娘を何故傷つけた‼︎」

「あぁ優しいネイトはアリシアに裏切られても辛いと言えないのよね。でも私は分かっているわ!ネイトが辛いということを…大丈夫よ私がいるわ。私が慰めてあげる。」

「私の妻アリシアを愚弄するな‼︎私にはアリシアだけだ。アリシアが裏切らない事は私が1番知っている。」

「強がらなくていいのよネイト。アリシアの…あの女の不義の証である穢れたお嬢ちゃんは私が躾けてあげたから大丈夫よ。もう素直になっていいのよ。」

そう言うとネイト宰相に触れようと伸ばした腕を宰相は思い切り払い除ける。

「どうして…ネイト?」

「巫山戯るな‼︎リアはオフィーリアは俺の娘だ‼︎オフィーリアは俺とアリシアがラピスラズリの誓いをしてから産まれた子だ。俺とアリシアの子だ‼︎それを不義の証?穢れてるだと?だから躾けたと?巫山戯るのも大概にしろ‼︎」
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