62 / 127
62.雷雲立ち込める
しおりを挟む
午後になり宰相があの女、リズベット・サンノ・マホーティスと会う時間が迫る。
今は私の執務室に側近と宰相そして私の7名でその時を待っている。
宰相はこの国の重鎮らしく落ち着いている様に見えているが、纏う空気はピリピリと張り詰め重苦しい。
「陛下、申し訳ありません…と先に謝っておきます。私は冷静に話せないでしょう。陛下もお怒りと存じますが私も愛する娘を傷つけられたのです。それも傍迷惑な思い込みのせいでリアは傷つけられたかと思うと怒りが抑えられません。」
「私が抑えろと言って抑えられるものではないのだろう?今日は宰相の思うことを話せば良い。今日の面談は私の責任下で行うのだから気にするな。ただし…殺すなよ。」
「…陛下のご配慮に感謝いたいします。」
「その代わりフィアが特別な子だという意味を教えてもらえるか?」
「陛下どこでそれを…。」
「すみません父さん。私があの女と対面した時怒りに任せてリアを特別な子だと言ってしまったんです。」
「ネイト侯爵よオフィーリアが"特別な子"とはどういう意味か教えてもらえないか?」
「陛下…かしこまりました。本日の政務が終わりましたら話させていただきます。その時はリアも同席のもと話させて頂きたい。」
「ではフィアの体調を見て時間を設けよう。」
「御意に。」
「でわ宰相。行くか。」
そう言い席を立った私に皆が続く。
今回の面談のために広めの部屋を用意している。
あの女は今はまだ貴族であるため王国議会でその処遇が決まるまで罪人として牢獄に入れられない。
その事があの女を更に勘違いさせているとしても、それも今日までのことだ。
扉を開け部屋に入る。
瞳を輝かせているがネイト宰相にかルドに対してか…
あの女の前の席に宰相と私が座り後ろに側近達が控える。
「あぁネイト。助けに来てくれたのね。ネイトが来てくれるのを待っていたわ。」
宰相か…。
今日は本人がいるからかルドには目も向けない。
「リズベット・サンノ・マホーティス侯爵夫人…」
「やだネイト…いつもの様にリズと呼んで。」
「リズベット・サンノ・マホーティス侯爵夫人。」
「ネイト?どうしたの?何を怒っているの?もしかして私が他の男と結婚したのがそんなにイヤだった?貴方以外の子供を産んだのがすごく嫌で嫉妬しているの?でもネイトだってアリシアと結婚して子供まで…ぐすっ」
「泣くな鬱陶しい。お前が傷つけたのは私の愛する娘だ。それを分かっているのか?謝罪の言葉もなく意味のわからない事を言うな!私の娘を何故傷つけた‼︎」
「あぁ優しいネイトはアリシアに裏切られても辛いと言えないのよね。でも私は分かっているわ!ネイトが辛いということを…大丈夫よ私がいるわ。私が慰めてあげる。」
「私の妻アリシアを愚弄するな‼︎私にはアリシアだけだ。アリシアが裏切らない事は私が1番知っている。」
「強がらなくていいのよネイト。アリシアの…あの女の不義の証である穢れたお嬢ちゃんは私が躾けてあげたから大丈夫よ。もう素直になっていいのよ。」
そう言うとネイト宰相に触れようと伸ばした腕を宰相は思い切り払い除ける。
「どうして…ネイト?」
「巫山戯るな‼︎リアはオフィーリアは俺の娘だ‼︎オフィーリアは俺とアリシアがラピスラズリの誓いをしてから産まれた子だ。俺とアリシアの子だ‼︎それを不義の証?穢れてるだと?だから躾けたと?巫山戯るのも大概にしろ‼︎」
今は私の執務室に側近と宰相そして私の7名でその時を待っている。
宰相はこの国の重鎮らしく落ち着いている様に見えているが、纏う空気はピリピリと張り詰め重苦しい。
「陛下、申し訳ありません…と先に謝っておきます。私は冷静に話せないでしょう。陛下もお怒りと存じますが私も愛する娘を傷つけられたのです。それも傍迷惑な思い込みのせいでリアは傷つけられたかと思うと怒りが抑えられません。」
「私が抑えろと言って抑えられるものではないのだろう?今日は宰相の思うことを話せば良い。今日の面談は私の責任下で行うのだから気にするな。ただし…殺すなよ。」
「…陛下のご配慮に感謝いたいします。」
「その代わりフィアが特別な子だという意味を教えてもらえるか?」
「陛下どこでそれを…。」
「すみません父さん。私があの女と対面した時怒りに任せてリアを特別な子だと言ってしまったんです。」
「ネイト侯爵よオフィーリアが"特別な子"とはどういう意味か教えてもらえないか?」
「陛下…かしこまりました。本日の政務が終わりましたら話させていただきます。その時はリアも同席のもと話させて頂きたい。」
「ではフィアの体調を見て時間を設けよう。」
「御意に。」
「でわ宰相。行くか。」
そう言い席を立った私に皆が続く。
今回の面談のために広めの部屋を用意している。
あの女は今はまだ貴族であるため王国議会でその処遇が決まるまで罪人として牢獄に入れられない。
その事があの女を更に勘違いさせているとしても、それも今日までのことだ。
扉を開け部屋に入る。
瞳を輝かせているがネイト宰相にかルドに対してか…
あの女の前の席に宰相と私が座り後ろに側近達が控える。
「あぁネイト。助けに来てくれたのね。ネイトが来てくれるのを待っていたわ。」
宰相か…。
今日は本人がいるからかルドには目も向けない。
「リズベット・サンノ・マホーティス侯爵夫人…」
「やだネイト…いつもの様にリズと呼んで。」
「リズベット・サンノ・マホーティス侯爵夫人。」
「ネイト?どうしたの?何を怒っているの?もしかして私が他の男と結婚したのがそんなにイヤだった?貴方以外の子供を産んだのがすごく嫌で嫉妬しているの?でもネイトだってアリシアと結婚して子供まで…ぐすっ」
「泣くな鬱陶しい。お前が傷つけたのは私の愛する娘だ。それを分かっているのか?謝罪の言葉もなく意味のわからない事を言うな!私の娘を何故傷つけた‼︎」
「あぁ優しいネイトはアリシアに裏切られても辛いと言えないのよね。でも私は分かっているわ!ネイトが辛いということを…大丈夫よ私がいるわ。私が慰めてあげる。」
「私の妻アリシアを愚弄するな‼︎私にはアリシアだけだ。アリシアが裏切らない事は私が1番知っている。」
「強がらなくていいのよネイト。アリシアの…あの女の不義の証である穢れたお嬢ちゃんは私が躾けてあげたから大丈夫よ。もう素直になっていいのよ。」
そう言うとネイト宰相に触れようと伸ばした腕を宰相は思い切り払い除ける。
「どうして…ネイト?」
「巫山戯るな‼︎リアはオフィーリアは俺の娘だ‼︎オフィーリアは俺とアリシアがラピスラズリの誓いをしてから産まれた子だ。俺とアリシアの子だ‼︎それを不義の証?穢れてるだと?だから躾けたと?巫山戯るのも大概にしろ‼︎」
0
お気に入りに追加
122
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

【完結】お姉様の婚約者
七瀬菜々
恋愛
姉が失踪した。それは結婚式当日の朝のことだった。
残された私は家族のため、ひいては祖国のため、姉の婚約者と結婚した。
サイズの合わない純白のドレスを身に纏い、すまないと啜り泣く父に手を引かれ、困惑と同情と侮蔑の視線が交差するバージンロードを歩き、彼の手を取る。
誰が見ても哀れで、惨めで、不幸な結婚。
けれど私の心は晴れやかだった。
だって、ずっと片思いを続けていた人の隣に立てるのだから。
ーーーーーそう、だから私は、誰がなんと言おうと、シアワセだ。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。

【完結】婚約破棄されたので隠居しようとしたら、冷徹宰相の寵愛から逃げられません
21時完結
恋愛
「君との婚約は破棄する。新しい婚約者を迎えることにした」
社交界では目立たない公爵令嬢・エレノアは、王太子から突然の婚約破棄を告げられた。
しかもその理由は、「本当に愛する女性を見つけたから」――つまり、私ではなく別の令嬢を選んだということ。
(まあ、王太子妃になる気なんてなかったし、これで自由ね)
厄介な宮廷生活ともおさらば!
私は静かな領地で、のんびりと隠居生活を送るつもりだった。
……しかし、そんな私の前に現れたのは、王国宰相・ヴィンセント。
冷酷無慈悲と恐れられ、王宮で最も権力を持つ彼が、なぜか私のもとを訪ねてきた。
「エレノア、君を手に入れるために長く待った。……これでようやく、俺のものになるな」
――は? ちょっと待ってください。
「待ってました」とばかりに冷酷な宰相閣下に執着されてしまった!?
「君が消えてしまう前に、婚約破棄は阻止しておくべきだったな」
「王太子に渡すつもりは最初からなかった。これからは、俺の妻として生きてもらう」
「逃げる? ……君は俺から逃げられないよ」
私はただ田舎で静かに暮らしたいだけなのに、なぜか冷徹宰相の執着から逃げられません――!?

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる