59 / 127
59.娘のために…
しおりを挟む
「それで宰相、家族は王城に来ているのか?」
「はい!」
「会うのはフィアの私室で良いか?」
「私室?恐れながらジークフリート陛下はこのまま王城に娘を住まわせるおつもりですか?」
「そのつもりだが何か問題か?」
「婚姻前の男女です。問題あるでしょう‼︎それに私達は娘を連れ帰るつもりでいたんです。認められないに決まっているでしょう?」
「そうだぞジーク。宰相の言う通りだ。7年ぶりに会えて共にいたい気持ちも分かるが節度ある対応が必要だ。」
「レオンいるな?ウィルを連れてこい。」
丁度良くレオンの気配がしたためウィルを呼んで来るよう指示する。
「御意に。」
「なぜウィルを呼ぶ?」
「ウィルにも聞けば理解できる。」
暫くするとやってきたウィルに宰相は詰め寄る。
「陛下がリアを王城に住まわせると言っているがウィルも反対だろう?」
「あ~俺も最初は反対だったんだが、今はリアのために認めてほしいと思っている。」
「何⁉︎」
「フィアと陛下が一緒に寝ていることは聞きました?」
「何だと⁉︎」
「心配するな手は出していない。」
「当たり前だ‼︎いや手を出していないから良いという訳ではない‼︎」
「俺も最初は陛下とリアが一緒に寝るのを反対してたよ。だからルドが王都に帰った日、俺がリアを守ろうとフィアと陛下を一緒に寝させなかった。オリヴィア医師には反対されたが俺は聞かなかった。」
「それで?」
「代わりに俺が側にいた。でもその日リアは叫び声をあげて起きたんだ。ジークが来るまで怯えて俺のことも分からないくらい錯乱してた。日中は誰といても問題ないんだ。でも眠る時はジークが側にいないとリアは眠ることが出来ない。昼寝も出来ない程だ。ジークがいないと眠れても、ふとした瞬間に囚われていた時を思い出し恐怖に支配されてしまうんだ。ジークはリアを傷つける様なことはしない。絶対にだ。だから俺からも頼むよ父さん。リアの為に認めてほしい。」
「ウィル…」
「ネイト侯爵…私はフィアの家族であるあなた達を裏切る様な真似もフィアを傷つける様な真似もする気はない。ましてフィアが私を求めることがないなら結婚しても手を出すことはない。誓ってもいい。フィアと過ごしたい侯爵達には辛いことと分かっている。だが認めてくれ。」
「リアの…あの子のためなんだな?アリシアと下の子達を日中は王城に通わせても良いか?少しでも共に過ごさせたい。」
「もちろんです。何なら泊まれるよう客室も準備させる。」
「結婚するまではリアが求めても手は出すなよ。」
「善処する。」
「絶対だ‼︎それ位は我慢しろ‼︎」
「ははっ。ジークよ、その位は待てるだろう?父親の気持ちも分かってやれ。」
「…分かった。ウィルもフロリスに求められても我慢しろよ‼︎」
「なっ⁉︎ジーク‼︎」
慌てたウィルが私の元に来て小声で文句を言ってくる。
(まだ本人にも父さん達にも何も言ってないんだぞ。2人の事を思って浴室にフィアを連れて行くのをジークがしていることは黙ってやったのに何で今それを言うんだよ。)
(すまん。私だけ我慢するのは辛いからついな。仲間が欲しかったんだ。)
(俺だってフロリスを大事にしたいから結婚するまで手は出さないよ。)
『お前達‼︎何をこそこそと話してる?』
『何でもないよ‼︎』
「さぁ、宰相フィアの元に案内するよ。」
「まずは家族にも説明してくる。少し待っていてくれ。」
そう言い部屋を出る宰相の背を黙って見ていた。
「はい!」
「会うのはフィアの私室で良いか?」
「私室?恐れながらジークフリート陛下はこのまま王城に娘を住まわせるおつもりですか?」
「そのつもりだが何か問題か?」
「婚姻前の男女です。問題あるでしょう‼︎それに私達は娘を連れ帰るつもりでいたんです。認められないに決まっているでしょう?」
「そうだぞジーク。宰相の言う通りだ。7年ぶりに会えて共にいたい気持ちも分かるが節度ある対応が必要だ。」
「レオンいるな?ウィルを連れてこい。」
丁度良くレオンの気配がしたためウィルを呼んで来るよう指示する。
「御意に。」
「なぜウィルを呼ぶ?」
「ウィルにも聞けば理解できる。」
暫くするとやってきたウィルに宰相は詰め寄る。
「陛下がリアを王城に住まわせると言っているがウィルも反対だろう?」
「あ~俺も最初は反対だったんだが、今はリアのために認めてほしいと思っている。」
「何⁉︎」
「フィアと陛下が一緒に寝ていることは聞きました?」
「何だと⁉︎」
「心配するな手は出していない。」
「当たり前だ‼︎いや手を出していないから良いという訳ではない‼︎」
「俺も最初は陛下とリアが一緒に寝るのを反対してたよ。だからルドが王都に帰った日、俺がリアを守ろうとフィアと陛下を一緒に寝させなかった。オリヴィア医師には反対されたが俺は聞かなかった。」
「それで?」
「代わりに俺が側にいた。でもその日リアは叫び声をあげて起きたんだ。ジークが来るまで怯えて俺のことも分からないくらい錯乱してた。日中は誰といても問題ないんだ。でも眠る時はジークが側にいないとリアは眠ることが出来ない。昼寝も出来ない程だ。ジークがいないと眠れても、ふとした瞬間に囚われていた時を思い出し恐怖に支配されてしまうんだ。ジークはリアを傷つける様なことはしない。絶対にだ。だから俺からも頼むよ父さん。リアの為に認めてほしい。」
「ウィル…」
「ネイト侯爵…私はフィアの家族であるあなた達を裏切る様な真似もフィアを傷つける様な真似もする気はない。ましてフィアが私を求めることがないなら結婚しても手を出すことはない。誓ってもいい。フィアと過ごしたい侯爵達には辛いことと分かっている。だが認めてくれ。」
「リアの…あの子のためなんだな?アリシアと下の子達を日中は王城に通わせても良いか?少しでも共に過ごさせたい。」
「もちろんです。何なら泊まれるよう客室も準備させる。」
「結婚するまではリアが求めても手は出すなよ。」
「善処する。」
「絶対だ‼︎それ位は我慢しろ‼︎」
「ははっ。ジークよ、その位は待てるだろう?父親の気持ちも分かってやれ。」
「…分かった。ウィルもフロリスに求められても我慢しろよ‼︎」
「なっ⁉︎ジーク‼︎」
慌てたウィルが私の元に来て小声で文句を言ってくる。
(まだ本人にも父さん達にも何も言ってないんだぞ。2人の事を思って浴室にフィアを連れて行くのをジークがしていることは黙ってやったのに何で今それを言うんだよ。)
(すまん。私だけ我慢するのは辛いからついな。仲間が欲しかったんだ。)
(俺だってフロリスを大事にしたいから結婚するまで手は出さないよ。)
『お前達‼︎何をこそこそと話してる?』
『何でもないよ‼︎』
「さぁ、宰相フィアの元に案内するよ。」
「まずは家族にも説明してくる。少し待っていてくれ。」
そう言い部屋を出る宰相の背を黙って見ていた。
0
お気に入りに追加
122
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

【完結】お姉様の婚約者
七瀬菜々
恋愛
姉が失踪した。それは結婚式当日の朝のことだった。
残された私は家族のため、ひいては祖国のため、姉の婚約者と結婚した。
サイズの合わない純白のドレスを身に纏い、すまないと啜り泣く父に手を引かれ、困惑と同情と侮蔑の視線が交差するバージンロードを歩き、彼の手を取る。
誰が見ても哀れで、惨めで、不幸な結婚。
けれど私の心は晴れやかだった。
だって、ずっと片思いを続けていた人の隣に立てるのだから。
ーーーーーそう、だから私は、誰がなんと言おうと、シアワセだ。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる