【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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59.娘のために…

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「それで宰相、家族は王城に来ているのか?」

「はい!」

「会うのはフィアの私室で良いか?」

「私室?恐れながらジークフリート陛下はこのまま王城に娘を住まわせるおつもりですか?」

「そのつもりだが何か問題か?」

「婚姻前の男女です。問題あるでしょう‼︎それに私達は娘を連れ帰るつもりでいたんです。認められないに決まっているでしょう?」

「そうだぞジーク。宰相の言う通りだ。7年ぶりに会えて共にいたい気持ちも分かるが節度ある対応が必要だ。」

「レオンいるな?ウィルを連れてこい。」

丁度良くレオンの気配がしたためウィルを呼んで来るよう指示する。

「御意に。」

「なぜウィルを呼ぶ?」

「ウィルにも聞けば理解できる。」

暫くするとやってきたウィルに宰相は詰め寄る。

「陛下がリアを王城に住まわせると言っているがウィルも反対だろう?」

「あ~俺も最初は反対だったんだが、今はリアのために認めてほしいと思っている。」

「何⁉︎」

「フィアと陛下が一緒に寝ていることは聞きました?」

「何だと⁉︎」

「心配するな手は出していない。」

「当たり前だ‼︎いや手を出していないから良いという訳ではない‼︎」

「俺も最初は陛下とリアが一緒に寝るのを反対してたよ。だからルドが王都に帰った日、俺がリアを守ろうとフィアと陛下を一緒に寝させなかった。オリヴィア医師には反対されたが俺は聞かなかった。」

「それで?」

「代わりに俺が側にいた。でもその日リアは叫び声をあげて起きたんだ。ジークが来るまで怯えて俺のことも分からないくらい錯乱してた。日中は誰といても問題ないんだ。でも眠る時はジークが側にいないとリアは眠ることが出来ない。昼寝も出来ない程だ。ジークがいないと眠れても、ふとした瞬間に囚われていた時を思い出し恐怖に支配されてしまうんだ。ジークはリアを傷つける様なことはしない。絶対にだ。だから俺からも頼むよ父さん。リアの為に認めてほしい。」

「ウィル…」

「ネイト侯爵…私はフィアの家族であるあなた達を裏切る様な真似もフィアを傷つける様な真似もする気はない。ましてフィアが私を求めることがないなら結婚しても手を出すことはない。誓ってもいい。フィアと過ごしたい侯爵達には辛いことと分かっている。だが認めてくれ。」

「リアの…あの子のためなんだな?アリシアと下の子達を日中は王城に通わせても良いか?少しでも共に過ごさせたい。」

「もちろんです。何なら泊まれるよう客室も準備させる。」

「結婚するまではリアが求めても手は出すなよ。」

「善処する。」

「絶対だ‼︎それ位は我慢しろ‼︎」

「ははっ。ジークよ、その位は待てるだろう?父親の気持ちも分かってやれ。」

「…分かった。ウィルもフロリスに求められても我慢しろよ‼︎」

「なっ⁉︎ジーク‼︎」

慌てたウィルが私の元に来て小声で文句を言ってくる。

(まだ本人にも父さん達にも何も言ってないんだぞ。2人の事を思って浴室にフィアを連れて行くのをジークがしていることは黙ってやったのに何で今それを言うんだよ。)

(すまん。私だけ我慢するのは辛いからついな。仲間が欲しかったんだ。)

(俺だってフロリスを大事にしたいから結婚するまで手は出さないよ。)

『お前達‼︎何をこそこそと話してる?』

『何でもないよ‼︎』

「さぁ、宰相フィアの元に案内するよ。」

「まずは家族にも説明してくる。少し待っていてくれ。」

そう言い部屋を出る宰相の背を黙って見ていた。
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