56 / 127
56.胸に刻む決意
しおりを挟む
フィアの休む部屋にルドと戻る。
ルドを王都に帰らせることを伝えると寂しそうにする。
「急な話でごめんねフィア。体調が良い様ならルドと暫く話しているかい?」
「い…いので…すか?」
「うん良いよ。ウィルが今度は私の手伝いをしてくれる?」
「御意に。」
ルドを残し部屋を出ると、少ししてからウィルが聞いてくる。
「陛下…何があったのですか?」
「ルドは宰相に似ているだろう?」
「?えぇ、そうですね。俺よりもルドの方が似ていると思います。」
「あの女はルドをネイト宰相だと思い込んで話した。前にアルバートが言っていた事もね。フィアはアリシア夫人の不貞の末に生まれた子だとか、ラピスラズリの誓いをした私の未来を奪ったとかな。」
「リアは間違いなく両親の子なのに。」
「ルドもそう言って怒っていたがあの女には理解できなかった様だ。そう言えば、ルドが言っていたがリアはオーウェン家でも特別な子だというのはどう言う意味だ?」
「ルド……。まさか怒りに任せてそこまで話したのですか?陛下あの…それは…」
「詳しくは話していないが言いにくいことか?」
「はい。…そのことについてはオーウェン侯爵当主の許可がなければ話せないんです。俺とルドは父から聞いて知っていますが、このことを知っているのはあとは母のみです。秘匿事項なんです。ですので陛下…父ネイト侯爵に聞いて下さい。」
「秘匿事項か…分かったネイト侯爵に確認しよう。それから、あの女が移送されたらフィアが囚われていた地下の部屋を見にに行こうと思っている。ウィルも行くか?」
「そう…ですね。リアがどんな場所にいたかよく見ておきたい。リアのことを少しでも理解したいですから。」
「あぁ。」
そして…その日のうちにルドとレオンがあの女の移送のため王都に向かった。
ダニーはセシル侯爵と話している。
アルバートとセシリア嬢の話を伝えると言っていた。
オリヴィア夫人は治療をしながらフィアの話し相手になってくれている。
そして私はウィルと一緒にフィアが監禁れていた地下の部屋に来ていた。
「ここにリアは閉じ込められていたんですね。」
「そうだな…」
「リアは光にも当たることなく食事もまともに取れなかったからか、成長が止まっている可能性はありますよね…これから普通の生活をしていたら少しは…。」
「それはオリヴィア医師にも分からないそうだ。もしかしたら、今回のことが原因で子供を産む事も出来ない可能性もあると言われた。」
「そんな…」
「それでも見つけられた。私はそれだけで良かったと思っている。もしも私達に子供が出来なければダニーの子を立太子する心づもりだ。だが恐らく問題ないと思っているがな。どちらにしてもフィアの体調が良くならないとそんな話にもならないさ。」
「はい…複雑な…心境になる話ですが…」
「それから…すまないウィル。」
「何に対してですか?」
「ははっ。フィアは私の妻として迎える。家族として過ごす時間をあまり与えてやれないだろう。」
「いえ…それは分かっていたことですし…両親は寂しがるかもしれませんが、会おうと思えば会えるのですから。」
「そうだな。ウィルもフロリスとの事で忙しくなるだろうしな。」
「ジーク‼︎」
ウィルの顔からは硬さが取れていた。
長年の重荷がなくなったのか穏やかな表情に見える。
「もう決してフィアに辛い思いはさせない。ウィルも力を貸してくれ。」
「御意に。」
「さてフィアの所に戻ろうか。」
もうフィアには辛い思いをさせないと私達は心に強く刻み暗く歪んだ地下の部屋を出た。
ルドを王都に帰らせることを伝えると寂しそうにする。
「急な話でごめんねフィア。体調が良い様ならルドと暫く話しているかい?」
「い…いので…すか?」
「うん良いよ。ウィルが今度は私の手伝いをしてくれる?」
「御意に。」
ルドを残し部屋を出ると、少ししてからウィルが聞いてくる。
「陛下…何があったのですか?」
「ルドは宰相に似ているだろう?」
「?えぇ、そうですね。俺よりもルドの方が似ていると思います。」
「あの女はルドをネイト宰相だと思い込んで話した。前にアルバートが言っていた事もね。フィアはアリシア夫人の不貞の末に生まれた子だとか、ラピスラズリの誓いをした私の未来を奪ったとかな。」
「リアは間違いなく両親の子なのに。」
「ルドもそう言って怒っていたがあの女には理解できなかった様だ。そう言えば、ルドが言っていたがリアはオーウェン家でも特別な子だというのはどう言う意味だ?」
「ルド……。まさか怒りに任せてそこまで話したのですか?陛下あの…それは…」
「詳しくは話していないが言いにくいことか?」
「はい。…そのことについてはオーウェン侯爵当主の許可がなければ話せないんです。俺とルドは父から聞いて知っていますが、このことを知っているのはあとは母のみです。秘匿事項なんです。ですので陛下…父ネイト侯爵に聞いて下さい。」
「秘匿事項か…分かったネイト侯爵に確認しよう。それから、あの女が移送されたらフィアが囚われていた地下の部屋を見にに行こうと思っている。ウィルも行くか?」
「そう…ですね。リアがどんな場所にいたかよく見ておきたい。リアのことを少しでも理解したいですから。」
「あぁ。」
そして…その日のうちにルドとレオンがあの女の移送のため王都に向かった。
ダニーはセシル侯爵と話している。
アルバートとセシリア嬢の話を伝えると言っていた。
オリヴィア夫人は治療をしながらフィアの話し相手になってくれている。
そして私はウィルと一緒にフィアが監禁れていた地下の部屋に来ていた。
「ここにリアは閉じ込められていたんですね。」
「そうだな…」
「リアは光にも当たることなく食事もまともに取れなかったからか、成長が止まっている可能性はありますよね…これから普通の生活をしていたら少しは…。」
「それはオリヴィア医師にも分からないそうだ。もしかしたら、今回のことが原因で子供を産む事も出来ない可能性もあると言われた。」
「そんな…」
「それでも見つけられた。私はそれだけで良かったと思っている。もしも私達に子供が出来なければダニーの子を立太子する心づもりだ。だが恐らく問題ないと思っているがな。どちらにしてもフィアの体調が良くならないとそんな話にもならないさ。」
「はい…複雑な…心境になる話ですが…」
「それから…すまないウィル。」
「何に対してですか?」
「ははっ。フィアは私の妻として迎える。家族として過ごす時間をあまり与えてやれないだろう。」
「いえ…それは分かっていたことですし…両親は寂しがるかもしれませんが、会おうと思えば会えるのですから。」
「そうだな。ウィルもフロリスとの事で忙しくなるだろうしな。」
「ジーク‼︎」
ウィルの顔からは硬さが取れていた。
長年の重荷がなくなったのか穏やかな表情に見える。
「もう決してフィアに辛い思いはさせない。ウィルも力を貸してくれ。」
「御意に。」
「さてフィアの所に戻ろうか。」
もうフィアには辛い思いをさせないと私達は心に強く刻み暗く歪んだ地下の部屋を出た。
0
お気に入りに追加
122
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

【完結】お姉様の婚約者
七瀬菜々
恋愛
姉が失踪した。それは結婚式当日の朝のことだった。
残された私は家族のため、ひいては祖国のため、姉の婚約者と結婚した。
サイズの合わない純白のドレスを身に纏い、すまないと啜り泣く父に手を引かれ、困惑と同情と侮蔑の視線が交差するバージンロードを歩き、彼の手を取る。
誰が見ても哀れで、惨めで、不幸な結婚。
けれど私の心は晴れやかだった。
だって、ずっと片思いを続けていた人の隣に立てるのだから。
ーーーーーそう、だから私は、誰がなんと言おうと、シアワセだ。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

【完結】「君を手に入れるためなら、何でもするよ?」――冷徹公爵の執着愛から逃げられません」
21時完結
恋愛
「君との婚約はなかったことにしよう」
そう言い放ったのは、幼い頃から婚約者だった第一王子アレクシス。
理由は簡単――新たな愛を見つけたから。
(まあ、よくある話よね)
私は王子の愛を信じていたわけでもないし、泣き喚くつもりもない。
むしろ、自由になれてラッキー! これで平穏な人生を――
そう思っていたのに。
「お前が王子との婚約を解消したと聞いた時、心が震えたよ」
「これで、ようやく君を手に入れられる」
王都一の冷徹貴族と恐れられる公爵・レオンハルトが、なぜか私に異常な執着を見せ始めた。
それどころか、王子が私に未練がましく接しようとすると――
「君を奪う者は、例外なく排除する」
と、不穏な笑みを浮かべながら告げてきて――!?
(ちょっと待って、これって普通の求愛じゃない!)
冷酷無慈悲と噂される公爵様は、どうやら私のためなら何でもするらしい。
……って、私の周りから次々と邪魔者が消えていくのは気のせいですか!?
自由を手に入れるはずが、今度は公爵様の異常な愛から逃げられなくなってしまいました――。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる