【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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55.負の輪廻

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「リズ‼︎」

「セ…セシー‼︎助けに来てくれたのね‼︎」

「リズ…私の子供を産むのはそんなに嫌だったの?そんなに私のこと嫌いだったの?カルディナを大切にしていたのはあの男の子供だったから?ねぇそうなの?答えてリズ‼︎」

セシル侯爵も気が昂っているのだろう、何をするか分からないと思いレオンに彼を止めるよう視線で伝える。
自分の妻に近づくことも許されず侯爵は苛立つ。

「セシーの事は政略結婚だもの…お互い割り切ってきたでしよ?貴方も言ってたじゃない。私が貴方を愛さなくても構わないって。それよもカルディナの事を知っていたのに黙っていたなんて酷い男ね。でも私はあの男を愛している訳ではないわ。あれは過ちよ。互いに慰めあっただけよ。私はネイトに抱かれたと思っているわ。あの人も想っている人を抱いたと思っている。でも私よりも彼の方が重症よ。ねぇ陛下?」

ーこの女…私が何も知らないと思っているのか?

「リズ…リズどうして?君のしたい様にさせてあげただろう?一緒に過ごした時間は何だったの?私に何も…何の感情も抱かなかったのか?どうして…どうして…」

泣き崩れるセシル侯爵をレオンが部屋から出す。
アルバートとセシリア嬢のために、セシル侯爵が自害しないよう見張りをつけさせる。

「なぁ私が何も知らないお飾りの王だとでも思っているようだな?」

「どうかしら…でもあのお嬢さんを見つけるまでに7年かかったわ。彼の方が力が上よ。でも彼は陛下を傷つけないと思うわ。」

7年間見つけられなかったのは事実だが、彼については興味は無い。

「興味ないからいいよ。お前が何をしたかをネイト宰相には伝えてあげる。彼がどんな判断をするか自分の目で確かめな。それからお前の処分は王国議会で決めるから覚悟しておけ。」

ネイト宰相に伝えると言うと目を輝かせて喜び私にお礼まで言う。
その姿は滑稽でもあり狂ってもいた。

「もう用はないから王都まで連れて行け。」

『御意に』

「陛下、リアを必ず王都まで連れてきてくださいますか?」

「ルド?もちろん必ず連れて行くが?」

「あの女の移送に私、ルドルフ・フォンス・オーウェンをご指名下さい。王城に到着次第ネイト宰相に判明した件について説明します。陛下が戻りましたら宰相と面談させます。」

「ルドに任せるよ。私は王国議会で処分を決める。それでいいか?」

「お任せ下さい陛下。」

「ダニーは残れ。レオンはルドと王都に戻れ。キラデル侯爵を徹底的に調べろ。」

『御意に。』

「それとカルディナ嬢にも話を聞け。カルディナ嬢が自身の出自と立場をどの程度知っているかは知っておく必要がある。場合によってはサラエン夫人が取引したいと言ってくる可能性が高い。」

「サラエン・カム・キラデル夫人ですか?それは血を繋ぐためですか?」

「ルド…もっと恐ろしい事のためだ。サラエン夫人は全て知っている。あの女を憎んでいるんだ。サラエン夫人に子供はいない。カルディナ嬢はサラエン夫人にとってどんな存在か分かるだろう?」

「ゾッとしますね。」

「だからカルディナ嬢がどの程度知っているかは彼女自身の今後を決める上でも大切な事なんだよ。」

「御意に。」

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