【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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50.安心できる場所

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フィアと眠った私はここ数日の強行移動の疲れとフィアが見つかった幸福感に包まれ朝までゆっくり眠ってしまう。
フィアも熟睡出来ない日々を送っていたため、今も私の腕の中ですぅすぅと寝息を立てて眠っている。

眠る愛しいフィアを見る。
フィアは痩せほそり顔色も良くない。
オリヴィア医師から聞いた話だが、体中にこの7年間にわたる虐待の後が無数に残っていると言う。
最善は尽くすが痕はたくさん残るだろうと言われた。
私は気にしないがフィアは気にするだろうなと思っている。

そんな事を考えているとふと刺さる様な視線に気づく。
フィアを起こさない様に顔を上げるとルドとウィルが隈のひどい目で私を睨んでいた。

「私達は許可してませんよ!」

「ジークとフィアが婚約者だからって一緒に寝るのはダメだ!」

とフィアを起こさない様に小声で抗議してくる。
…が、フィアはその話し声に目覚めてしまう。
2人は自分達が起こしてしまったことに焦っている。

「ジーク…おはよ…う。」

「おはようフィア。よく眠れた?」

「はい。こんなに…よく…眠れたのは…すごく久しぶり…だわ。ジークの…おかげで…怖い夢も見なかっ…たのよ。」

「それは良かった。」

「これから…も、一緒に寝て…くれる?」

『えっ‼︎リア⁉︎』

その声にフィアが驚き振り向く。

「…………ル…ド兄様?…と…ウィ…ル兄様?」

『そうだよリア‼︎』

「ウィル兄様…おけが…大丈…夫ですか?」

「…っ。大丈夫だよリア。」

「良かっ…た…」

「ところでリア?ジークと一緒に寝たいというのは…本気かな?」

「ルド兄様…ダメで…すか?」

「うっ………」

「ジークに触れ…ていると…安心でき…ます。よく眠れ…ます。」

「だから言ったじゃない。姫様の休養には陛下が必要だって!」

急に聞こえてきた女性の声にフィアの体が硬直し少し震えているのが分かった。

「大丈夫だよフィア。フィアの治療をしてくれるオリヴィア医師だよ。」

「オリヴィア医師?きの…うの先生?」

「そうだよ。だから安心して良い。大丈夫だからね。」

「はい。オリヴィア先…生あの…ありがとうご…ざいます。」

「良いのよ。姫様も昨日より話しやすそうね。本当にゆっくり寝れたのね。これからも寝る時は陛下に一緒に寝てもらいましょうね!」

「はい。」

そう言うと顔を赤らめ私に擦り寄るフィアが物凄く可愛い。

「ふふっ姫様は可愛いはねお兄ちゃん達と違って!それから少し診察させてもらっても良い?」

「はい。お願い…します。ジーク…あの…起こして…欲しいの。」

「良いよ。」

そうしてフィアの体を起こし背中にフッションを幾つかあてがう。

「オリヴィア先生…兄様達は…格好…いいんです。診察…お願い…します。」

『リア…。』

「えぇそうね…格好良いわね。それから姫様、私のことはヴィアとお呼びください。それじゃあ診察を始めますね。男の方は外に出ていて下さいね。」

「あの先生…ジークは…いたら…だめですか?」

涙目でそう話すフィアに全員が驚く。

「姫様と話して良いかしら?」

「あぁ。話を聞いてあげて欲しい。」

「任せて下さい。それからルドルフ様とウィルは少し寝ること!これは医者としての命令です!良いわね?」

そうして私達は退席した。
ルドとウイルにはもちろん仮眠させた。

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