【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

48．繋ぐ手

リズベット夫人が鞭を振る…

私を罵ってくる…詰ってくる…

私が苦しむ姿を笑いながら見てる…

やめて…やめて…やめて…やめて…やめて……やめて……やめて………

◆◆◆◆◆◆◆

ガチャ

扉が開く音がして夫人が来たと思い恐怖に体を硬くする…

コツッ　コツッ　

ー誰かが近づいてくるっ…やっぱり夢を見てたんだ…怖くて目を開けられないよ…

フワリ…と私の髪が撫でられる。

ーえっ？

恐る恐る目を開けるとトパーズの瞳と目が合う…
彼がフワリと笑うのを見て頭が真っ白になった。
大人になったジークが、また目の前に現れてくれた事に胸が熱くなる。
夢なら覚めないで欲しい…

「気分はどう？何かして欲しい事とかあったら言って。」

「…ジー…ク…なの？」

「そうだよフィア。」

ーこの呼び方はジークしかしない呼び方だ…本物だ…

「手…」

「手？あっ勝手に触れてごめん。」

「ちが…違うの…ジークがイヤじゃないなら…手をにぎってほしくて…」

「嫌じゃない、すごく嬉しいよ。フィアに触れたかったから怖がられなくて良かった。」

ジークの笑顔を見て顔が赤くなるのが分かる。
布団の縁に座るとジークは私の手を優しく握る。

ージークにイヤがられなくて良かった…

「ルドとウイルももうすぐ来るよ。」

「ル…ド兄様とウィ…ル兄様？」

「そうだよ。さっきも少しだけ会ったんだけど覚えてる？」

「さっき…ジークのそ…ばにいた人…たち？」

「うん。」

「あ…の人た…ちがやっ…ぱり…兄様たちだ…ったんだ…」

「そうだよ。」

「あの…ウィル兄…様のケ…ガは大丈…夫？あ…の時…たくさ…ん男の人にな…ぐられ…ていた…から心…配だっ…たの…」

「大丈夫だよ。」

「よ…かっ…た。」

「話すの辛くない？無理はしないでね。」

「大じょ…う夫…ジークがく…る前ゆ…めを見…てたの。ジ…クが…たす…けてくれ…たのが夢だっ…たかとおもっ…て…またリズ…ベット夫人が…私を鞭で打…ちにきたかと…思ってこわ…かったの。でも…あれ…が夢で…良かっ…た。……夢だよ…ね？ジーク本…物だ…よね？」

「あぁ本物だよ。もう大丈夫だよ。もう絶対に私はフィアを離さない。フィアが私の側にいてくれて嬉しい幸せだよ。」

「ほん…と？私も…ジークにまた…会え…てうれ…しい。」

「会いたかったよフィア。私の愛しいフィア。」

「ジー…クがイヤ…じゃ…ない…な…ら…手を…ずっと繋いで…て欲し…いの。それ…なら怖いゆ…め見な…いと思う…の。」

「うん。それなら今日からフィアの側で眠ろうかな。そうしたらずっと手を繋いでいられるでしょう？2人で幸せな夢を見よう。それで起きたら最初におはようの挨拶をしよう。」

「いっ…しょに…寝…るの？い…いの？」

「フィアが許してくれるなら。」

「うん。いっ…しょに…寝る。」

「それじゃあ…」

そう言いジークが私の隣に横になる。
一緒に寝ると言ったけど、あの頃より大人になった素敵なジークがすごく近くにいてに恥ずかしくなる。
きっと今の私は真っ赤だと思う。
それでもジークが側にいてくれることが嬉しくて手をギュッと握る。
ジークが握り返してくれて一緒に微笑む。ジークが私の体を優しく抱きしめてくれる。

ー何だか言い夢が見れる気がする…

私はジークの胸で眠った。