【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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46.続く悪夢

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馬車に押し込められ布をかけられ、押さえつけられる。
恐怖で体の震えが止まらなかった。
結構な距離を走ったと思うが、よく分からなかった。
馬車が止まりまた男の人に引きずられる。
邸の中からある部屋に入ると本棚が動き隠し階段が現れる。
そこを降りて長く続く石の廊下を進むと突き当たりの部屋に入れられた。
窓もなく薄暗い部屋に鎖で繋がれる。
夫人は私の目の前でその男の人と口づけを交わす。

「今日は貴方のおかげで最高の気分よ。」

「そう。良かったね。俺はもう帰るよ。君との関係を疑われたくないしね。君も彼に疑われたくないでしょ?おもちゃで遊ぶのは良いけど殺さないように気をつけてね。厄介な紋章があるんだから。俺まで巻き込まれたら困るしね。」

「彼に疑われたら困るわ。今日はありがとう。またね。」

男の人が出て行く。
リズベット夫人は歪んだ笑みを浮かべ私を鞭で打つ。
気が済んだのかいなくなる。部屋の外に誰か見張りが居るらしかった。
私はジークの事を考えていた。
そうすればジークが守ってくれている様な気がして温かい気持ちでいられたから。

次の日も夫人は来たが、私よりも年上の女の子を連れてくる。

「ルディこの子は貴方と違って穢れた生まれなのよ。だからお母様は躾をしてあげてるの。私が出来ない時のために貴方も躾け方を覚えなさい。」

ルディと呼ばれたその子は満面の笑みでうなずく。
リズベット夫人が鞭を打つと、真似てルディと呼ばれた子が私を鞭で打った。
ルディという子が打つ鞭の方が軽かったがそれでも痛みを伴う。
ルディが鞭を打つ間、夫人は私を詰った。

「穢れた子が。オフィーリア、お前は不義の子なのよ。アリシアが貴方のお父様を裏切って産まれたのが貴方なの。あぁ可哀想なネイト。私が妻ならそんな事しないのに。本当に悪い子ね。貴方と誓った人も可哀想。永遠に貴方みたいな醜い子しか相手に出来ないなんて。貴方のせいで未来を奪われるなんて。心から愛する人が出来ても結ばれないなんて。お可哀想…」

夫人が言うことを私は信じなかった。
でも毎日言われ続けると本当のことの様に思えてくる。
でもそんな時はジークの笑顔が言葉が温もりが甦ってくる。

その日も夫人はルディと私を鞭で打ち、いつも通り詰る。
いつもと違ったのは部屋の扉が開いていた事だ。
私の何が気に入らなかったのか無理やり口に何かを詰め込まれる。
何が起きたのか分からずにいたら次第に苦しくなってくる。
恐らく毒を飲まされたのだと気づいてもどうする事も出来ない。
床に倒れ苦しむ私の目に、隠れてこちらを見ている少女と目を瞑る男の子が見える。
少女が私に駆け寄ろうとするが私は止める。
助け様としてくれた事が嬉しかった。
辛い思いをその子にまでさせたくなかった。
だから首を振った。
扉が閉められ苦しむ私を夫人がまた鞭で打つ。
初めて死ぬかもしれないと思った。
2人が出ていっても私は1人苦しみ続けた。
目の前が白く染まる。
少しづつ体から毒が抜けていくのか楽になっていった。
こんな日がこれからも続く事に絶望していた。
少しするとルディが私の元に訪れなくなり夫人も毎日は来ないため休める日が出来た。
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