40 / 127
40.アルバート・ラグ・マホーティスの告白③
しおりを挟む
「すまない。」
それしか言葉を絞り出せなかった。
「いえ。恐れながら私達の知る天使様は陛下の…」
「婚約者だ。」
『えっ⁉︎』
「7年前拐われた私の婚約者だ。私は婚約者の詳細を公表していない。セシリア嬢が言った彼女の特徴は私の婚約者の特徴と一致する。」
それを聞き2人がガタガタと震え出す。
自分達の家族が知らなかったとはいえ国王の婚約者に非道な行いをしていたのだから。
だからと言って話をやめてもらう訳にはいかなかった。
「アルバート。話せるか?」
「……………」
沈黙が続きこれ以上は無理かと思った時…
「お話しします。出来るわよねアル?」
そうセシリア嬢がはっきりと言ったその言葉にアルバートも何度も頷く。
「私は母と姉に理由は分かりませんが疎まれています。だからか天使様を…すいませんあの御方を何とお呼びすれば良いでしょうか?」
「彼女はオフィーリアと言います。ですがセシリア嬢の呼びたいように呼んで良いですよ。」
「でわ……オフィーリア様と呼ばせて頂きます。私はオフィーリア様を助けたいのです。例えそれが我が侯爵家の不利益になろうとも母も姉も人としてしてはいけない事をしたのですから。ただ陛下に願っても宜しければ父は無関係です。それだけ知って頂ければ…」
「全く咎めが無いと約束する事は出来ないがセシリア嬢の話は心に留めておく。」
「感謝いたします。アルバート話の続きを…」
「はい。僕達は彼女を…あっ!オフィーリア様を隙を見て助けられないか話をしました。普段家にいる僕がその役目を担う事になったのですが…母達がいない時も見張りが付いていて助け出す事は出来ませんでした。それにオフィーリア様は普段…その…逃げ出さないように…鎖に…繋がれているみたいで…その…食事もあまり食べる事が…オフィーリア様に出されていませんでした…僕が行く時は鞭で打たれ罵られている事が多かったです…」
「何を言われていた?」
アルバートがビクリとする。
それくらい感情のない冷めた声色だった。
「その…"裏切の不義の子がお前のせいで皆が不幸になった"とか"お前の浅はかな行動のせいで未来を奪った"それは必ず言われてました。後はその…"出来損ない"とか"気味が悪い"とか"呪われた者"などです。意味がわからなかったのが"正当な血筋"という言葉ですかね。」
「不義の子ってどう言う事だ?リアは間違いなく両親の子だ。証明も出来る。」
「どう言う事だ?」
そう尋ねるとルドが小声で私に伝えてきた。
「私達が産まれた後に両親は例の誓いをしています。」
「成程。それは疑いようがないな。」
「恐れながら…オフィーリア様はオーウェン侯爵家の御令嬢なのですか?」
「セシリア嬢の言う通りだ。オフィーリア・ロサ・オーウェンがフィアの名だ。それにしても【不義の子】【未来を奪う】【正当な血筋】か………フィアがどういう扱いを受けていたかよく分かった。アルバート・ラグ・マホーティスとセシリア・バム・マホーティス。両名とも勇気を持って話をしてくれた事感謝する。ダニー直ぐに大公と宰相を私の執務室に呼べ。ルドとウィルはいつでも出発できるよう準備を進めろ。馬車は不要だ。馬で駆ける。レオンは騎士団から口が固く信頼に厚いものを数名選び説明と同行の準備を任せる。ゼノスは2人の保護と今の話の詳細を聞き取る様に。2人はゼノスの指示に従ってくれ。」
『御意に。』
私が出す命令に慌ただしく皆が動き出す。
フィアを救い出すために。
それしか言葉を絞り出せなかった。
「いえ。恐れながら私達の知る天使様は陛下の…」
「婚約者だ。」
『えっ⁉︎』
「7年前拐われた私の婚約者だ。私は婚約者の詳細を公表していない。セシリア嬢が言った彼女の特徴は私の婚約者の特徴と一致する。」
それを聞き2人がガタガタと震え出す。
自分達の家族が知らなかったとはいえ国王の婚約者に非道な行いをしていたのだから。
だからと言って話をやめてもらう訳にはいかなかった。
「アルバート。話せるか?」
「……………」
沈黙が続きこれ以上は無理かと思った時…
「お話しします。出来るわよねアル?」
そうセシリア嬢がはっきりと言ったその言葉にアルバートも何度も頷く。
「私は母と姉に理由は分かりませんが疎まれています。だからか天使様を…すいませんあの御方を何とお呼びすれば良いでしょうか?」
「彼女はオフィーリアと言います。ですがセシリア嬢の呼びたいように呼んで良いですよ。」
「でわ……オフィーリア様と呼ばせて頂きます。私はオフィーリア様を助けたいのです。例えそれが我が侯爵家の不利益になろうとも母も姉も人としてしてはいけない事をしたのですから。ただ陛下に願っても宜しければ父は無関係です。それだけ知って頂ければ…」
「全く咎めが無いと約束する事は出来ないがセシリア嬢の話は心に留めておく。」
「感謝いたします。アルバート話の続きを…」
「はい。僕達は彼女を…あっ!オフィーリア様を隙を見て助けられないか話をしました。普段家にいる僕がその役目を担う事になったのですが…母達がいない時も見張りが付いていて助け出す事は出来ませんでした。それにオフィーリア様は普段…その…逃げ出さないように…鎖に…繋がれているみたいで…その…食事もあまり食べる事が…オフィーリア様に出されていませんでした…僕が行く時は鞭で打たれ罵られている事が多かったです…」
「何を言われていた?」
アルバートがビクリとする。
それくらい感情のない冷めた声色だった。
「その…"裏切の不義の子がお前のせいで皆が不幸になった"とか"お前の浅はかな行動のせいで未来を奪った"それは必ず言われてました。後はその…"出来損ない"とか"気味が悪い"とか"呪われた者"などです。意味がわからなかったのが"正当な血筋"という言葉ですかね。」
「不義の子ってどう言う事だ?リアは間違いなく両親の子だ。証明も出来る。」
「どう言う事だ?」
そう尋ねるとルドが小声で私に伝えてきた。
「私達が産まれた後に両親は例の誓いをしています。」
「成程。それは疑いようがないな。」
「恐れながら…オフィーリア様はオーウェン侯爵家の御令嬢なのですか?」
「セシリア嬢の言う通りだ。オフィーリア・ロサ・オーウェンがフィアの名だ。それにしても【不義の子】【未来を奪う】【正当な血筋】か………フィアがどういう扱いを受けていたかよく分かった。アルバート・ラグ・マホーティスとセシリア・バム・マホーティス。両名とも勇気を持って話をしてくれた事感謝する。ダニー直ぐに大公と宰相を私の執務室に呼べ。ルドとウィルはいつでも出発できるよう準備を進めろ。馬車は不要だ。馬で駆ける。レオンは騎士団から口が固く信頼に厚いものを数名選び説明と同行の準備を任せる。ゼノスは2人の保護と今の話の詳細を聞き取る様に。2人はゼノスの指示に従ってくれ。」
『御意に。』
私が出す命令に慌ただしく皆が動き出す。
フィアを救い出すために。
0
お気に入りに追加
122
あなたにおすすめの小説

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

【完結】お飾りではなかった王妃の実力
鏑木 うりこ
恋愛
王妃アイリーンは国王エルファードに離婚を告げられる。
「お前のような醜い女はいらん!今すぐに出て行け!」
しかしアイリーンは追い出していい人物ではなかった。アイリーンが去った国と迎え入れた国の明暗。
完結致しました(2022/06/28完結表記)
GWだから見切り発車した作品ですが、完結まで辿り着きました。
★お礼★
たくさんのご感想、お気に入り登録、しおり等ありがとうございます!
中々、感想にお返事を書くことが出来なくてとても心苦しく思っています(;´Д`)全部読ませていただいており、とても嬉しいです!!内容に反映したりしなかったりあると思います。ありがとうございます~!

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる