【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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38.アルバート・ラグ・マホーティスの告白①

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午後になりアルバートが登城したと聞き側近達を連れ応接室に移動する。
大公と宰相には後程説明するとし同席は控えてもらった。
アルバートの隣に女性が立っていた。

事前にゼノンからセシリア嬢も来る事を聞いていたため驚きはなかった。

「陛下、事前に何も告げず姉を連れてきた事申し訳ありません。ですが姉も僕と同じ思いを持っていました。本日は僕の僕達の犯した罪の告白に参りました。僕達の見た真実のみをお話しすることを約束致します。」

「あぁ。辿々しくても時間がかかっても良い。其方達の言葉で話してみよ。」

『御意に。』

そう言うとアルバートは話し始めた。

「僕が彼女を見たのは11歳の時でした。その日は母の使用人に部屋から決して出ないよう強く言われました。だから僕は隠れる様にして窓の外の様子を伺っていました。一台の馬車が到着して、馬車から壮年の男性とその男性に引きずられる様に少女が降りてきました。嫌がる少女の頬を男性は叩きました。その時見たんです。少女の背中に羽が生え少女を護っているのを見たんです。」

「待て!羽が生えているとは?」

「あっはい。本物の羽ではなく光の羽でした。陛下の瞳の色のような綺麗な光の羽でした。その羽が少女を護っていました。」

「……………」

「あの…話を続けても?」

「あっ!あぁ、続けろ。」

「僕は気になって誰が来たのか尋ねたら新しい侍女だと言われました。でも、邸の中で彼女を見る事はありませんでした。母に聞くと母とカルディナ姉さんの専属の侍女だと言われました。私はそれを信じ疑いませんでした。2度目に彼女を見たのは僕が13歳の時でした。王城で開かれるデビュタントの招待状を偶然見つけました。セシリア姉さんも参加させてもらえなかったので僕も同じだろうと思いつつ母に確認しようと思いました。邸中探しても使用人に聞いても誰も知らないと言いました。母にいつも付いている侍女もいませんでした。王都から休暇を利用して姉さん達は戻ってきていました。そのカルディナ姉さんもいなくて、セシリア姉さんに聞いても知らないと言われました。僕は母の部屋に行きました…。」

そこで一度アルバートは話を止めぎゅっと目を瞑り、深呼吸すると目を開き話を続けた。彼も話すのに勇気を出しているのがよく分かった。だから誰も話の続きを急かさなかった。

「すいません。続けます。母の部屋に入ると違和感を覚えました。僕は好奇心から部屋を探索しました。でもおかしな所は見つけられず自室に帰ろうと思った時、本棚が動きました。僕は驚いてベットの下に潜り込んで見てました。侍女が本棚の後ろから出てきました。部屋から侍女が出て行ったのを確認してその部屋に入ってみました。そこに入ると石の階段があり階段を降りると長い廊下が続いてました。侍女が戻ってくる前に確認をしようと思い走りました。廊下は長く続き所々に階段と部屋がある様でした。僕は必死で走って奥の部屋にたどり着きました…。」

そう言うとまた話を止め深呼吸をする。手も震えていて、それでも自身を奮い立たせて話そうとしている。セシリア嬢がアルバートの震える手をそっと握った。アルバート息を吸い込むと話し始めた。

「奥の…奥の部屋から音がしました。中を見ようと思いましたが誰かの足音が聞こえて僕は隠れました。少しすると侍女が戻ってきて音のする部屋の扉を開きました。その時、開いた扉から見えたんです。………鞭を振るう母と側に控え笑っているカルディナ姉さんの姿が…」
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