【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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29.アルバート・ラグ・マホーティスの相談①

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「ジー…ク…ク…フ…フリ…リート…へへ陛……陛下っ‼︎痛いっ…」

ー舌噛んだよね。今勢いで舌、噛んだよね。あれからここまで話せるようになるまでずっと待っていたけど、やっと私の名前を話せたかと思ったら勢いで舌噛むってさ…

「陛下どうします?」

「アルバート話せるか?」

涙目で頷き返すアルバートに期待する。

「ジー…ジー…」

ーまた始まった…期待したんだけどな…

「私がどうした?」

「う…あ…あの…の…し…」

ーよくよく考えればアルバートはデビュタントもしていない。。その上で急に王城に呼ばれて緊張するなと言うのが土台無理な話か…どうするかなぁ…

そう思っていると珍しくウィルが声を出した。

「恐れながら陛下、私がアルバート殿と話をしても?」

「あぁ任せる。」

「アルバート殿、貴殿は陛下に伝えたいことがあるのだな?だが急に呼ばれたため緊張しているという事で良いか?」

「はい。あと僕の事はアルバートとお呼びください。」

ーウィル相手には普通に話せるんだな。

「要件があるんなら早く話せ。陛下は政務を休まれてここに来て下さっている。これ以上手を煩わせるな‼︎」

ーウィルは脳筋だったな。ダニーもルドも頭を抱えているし、レオンとゼノスも呆れているな。

「は・はい!すいません。陛下は各地で色々な問題を解決されていらっしゃるので我が家の事も話を聞いていただけないかと思いご相談したく見ておりました次第です。はい。」

ーまともに話せるじゃないか。

「マホーティス領の問題?」

「あ…あ…は…あ…」

ー何故だ?

「ウィル‼︎」

「はっ。マホーティス領の問題とはなんだアル。陛下にきちんと説明しろ。」

ーウィルはアルバートの上官か?しかも愛称呼びはなくないか?そして何故に皆俯いてる。肩が震えているから笑っているのはバレてるぞ‼︎

「はい‼︎実は僕が11歳にになった年に我が家にある侍女が来ました。僕は遠くから見ていたので顔は分かりませんでしたが、その侍女の所作というか雰囲気が高位貴族のものに感じて気になってました。」

「アルバートが11歳というと5年前か…。」

「続けろ‼︎」

ーウィル…今は助かるが今後が心配になるのだが…

「はい‼︎その侍女ですが僕の母と上の姉カルディナ姉さんの侍女をしているのですが、僕は会ったことも見たこともありませんでした。」

ー同じ邸にいたのに見た事がない?

「彼女が来てから2年程経ったある日…母を探して屋敷中を探していたら、ある部屋で彼女が鞭で打たれているのを見てしまったんです。僕は怖くて母達に見つかる前に逃げてしまいました。…躾としてそういう事をする貴族がいる事は知っています。でも…」

ー私は視線だけでウィルに続きを促すよう伝える

「他にも気になることがあるのか?」

「彼女は僕達の…僕と父と下の姉セシリア姉さんの前には決して姿を見せません。でも僕はずっと気になっていました。1年経ったある日僕はまた見てしまったんです。彼女に食事を強要する母と姉の姿を……」
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