【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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27.新入生

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王立学園に今年も未来を担う若者達が入学してくる。
流石にこの日は私も学園に足を運ぶ。
学園に在籍して約3年の間に実際に来たのは半分にも満たない。

学園で学べる事は勿論、習わないことも既に履修済みな私はそもそも学園に通う必要がない。
オーウェン侯爵領から戻り必死で身につけてきたのだから。
それは私の側近も同じだった。

またこの学園で最も重要なラピスラズリの誓いについてはこの国の宰相から学び、貰った本を毎日読んでいた。
フィアと誓いを行なって既に7年が経ち知識だけは完璧だった。

それに政務もあるからそれ程学園に来る時間を割いていられない。

そんな状況でなぜ学園に在籍し続けているのかというと、情報が集まってくるからだ。
それも夜会などで聞く話とは別の情報が聞ける。
情報集収は専らレオンの仕事だ。
私は在籍しているだけで皆の想像力を掻き立てるため噂のネタになっている。
不穏な噂を聞けば領地に行き、フィアの姿を探すついでに取り締る。

最近では妖精の加護を蔑ろにする貴族も出てきておりラディウス王国の立て直しの重要性を私自身感じている。
勿論私自身フィアが拐われた時も今も妖精は何もしてくれないう気持ちはある。
でも少なからず加護を受けているからこそ領地が潤い国が潤っているのだ。

学園内に設けられた私専用の部屋から新入生を観察する。

「令嬢に笑顔で挨拶するなよ。」

「分かっているよダニー。」

「学園内をウロウロするなよ。」

「善処しているよルド。」

「ハハッ2人は心配性だな。近づかせなければ良いんだから。」

「レオンの言う通りだ。近衛の俺が近づかせない。」

「ウィルは頼もしいな。ん?どうしたゼノス。」

「婚約者が今日入学するんです。」

「後で時間をやるから会いに行ってやれ。」

「ありがとうございます。」

明るく会話しているが学園に来る時には側近達の雰囲気がいつも以上に物々しくなる。
それは“私に邪な考えで近寄ってくる令嬢がいればその花を枯らすことになってしまう”からだ。

それは学園に入学する時に私達が叔父と宰相から注意する様にしつこく言われた事だ。
両親が結婚前に誓いを行なった結果、臣下が怒った理由は世継ぎ問題の他にもこの事があったらしい。
誓いの事は未学習の生徒もいるため大々的に公表できず、下手に異性を近づかせる事も出来ない。
その中で護衛するのは至難の業と言えよう。
私自身に好意を持っていなくても、私の肩書きに惹かれる者はいるだろうからな。
両親は2人共人気があったため大変だったと宰相が愚痴をこぼしていた。

期待と不安が入り混じる顔で歩く新入生達も講堂に集まる時間になり少なくなってくる。
私達も講堂に移動しようかと言う時、1人の男子生徒に目が止まる。
もう集まる時間だというのに何かを探しているようだ。
記憶を探るも覚えがない。

「ダニーあの生徒どこの家の者か分かるか?」

「覚えがないな…レオン。」

「至急確認します。」

そういうとレオンの気配が消えた。
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