【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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26.ラピスラズリの誓いの事実②

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"ラピスラズリノ紋章ハ伴侶ナル者ガ死スレバ変異ス。ソレガ非業ノ死トナラバ伴侶ナル者ノ怒リデ身ヲ焼ク。"

その文字を何度も何度も読む。
それはフィアに非業の死が訪れれば私が復讐の鬼神と化すと言う事。

「フィアは生きている。」

私は安堵したが、宰相の顔色は優れない。

「そうだな。私に希望は与えてくれる一文だ。だがそれだけだ。」

「それだけ?」

「あぁ。リアは貞操は護られている。リアは生きてはいる。でもリアの心は?連れ去られる時殴られたと言う事は少なからず暴力を振るわれる可能性があるという事だろう?」

私は教えられた事実に息を呑むしかなかった。

「それでも生きている。それはジークのおかげだ。ラピスラズリの誓いの…本当にありがとう。」

「私はフィアを迎えに行くと約束したんだ。絶対にフィアを探し出す。必ず…必ずだ…必ず…」

「分かったから少しは陛下もその御身を大切にしてくれ。」

「善処する。」

「善処じゃ困る。これは臣下としの忠言でもあるしリアの父親としてのエゴでもある。」

「父親としてのエゴ?」

「ジークにもしもの事があれば私達家族はリアの安否を知る事は出来ないし、リアの腕の紋章が変異すればリアの命が危なくなる。」

「それは…一大事だな。分かったよ。フィアのために私自身を大切にする。」

「それではこれで…紅茶美味しかったですよ。あとこの本は差し上げますのでよくお読み下さい。」

「分かった助かる。」

「それから…。あと4・5日が限界です。」

「それだけ捜しても見つからなければ侯爵領にはいない可能性が高いな。今も叔父に王国内の捜索を頼んでいるが王国内となると時間がかかる。指揮を王都に集めた方が効率がいいだろ。それまでに見つけたいところだが…分かった。」

「やっぱり似てるな。」

「ん?」

「いえ。それでは陛下失礼致します。」

そう言い部屋を出る宰相の背を見送る。
私は本を手に取り最初のページを捲った…



その後、懸命の捜索にもフィアは見つからず私と宰相それからルドとウィルは王都に戻った。
ウィルは体調が回復してないため私達は反対したが、頑に付いて行くと言って譲らなかったため仕方なく連れて行く事となった。

王都に戻った私は国王として正式に公表し政務を行う様になった。
叔父は大公となり宰相と共に私に力を貸してくれた。

ルドとウィルは私の側近候補として側に控える様になり、ダニーも私の側に仕える様になった。
私達は15歳になると王立学園に入学した。
学園入学を機に私に今の5名が側近として仕える事になったが、学園には殆ど足を運ぶ事はなかった。

私に婚約者がいる事は公表されたが、フィアの名とラピスラズリの誓いについては非公表とした。
姿を見せない婚約者はそれだけで皆の想像を膨らませるらしく巷では色々な噂が語られている。

◆◆◆◆◆◆◆

あれから私の生活目はめまぐるしく変わったが、フィアがいない事だけがこの7年変わらなかった。

自室に戻った私は読み古されて少しくたびれた一冊の本を手に取りページを捲った。

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