【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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20.王の玉座と資格

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臣下達が傅く中、私は玉座に着く。
叔父も玉座の下、臣下達の先頭で私に頭を下げている。
あの日、王都ルベリオンに戻ってからもうすぐ7年が経つが、日毎に自分の無力さを感じる。

ーあの日なぜ……

あれからずっと後悔している事を思い出し僅かに息を吐く。

◆◆◆◆◆◆◆

マーキス公爵領から王都ルベリオンに戻った私は直ぐに叔父と話をしていた。
(既にこの判断が間違っていたのだ。)

「あぁジークよく戻った。元気になった様で良かった。」

「叔父上、急な事だったのにすいません。それに叔父上にはご心配とご苦労をおかけし申し訳ありません。叔父上も辛かったでしょうに…。」

「ジーク…私は可愛い甥のために出来る事をしたまでだ。気にするな。」

「ありがとうございます。」

朗らかな笑顔で迎えてくれていた叔父が襟を正す。

「それで陛下。早速ですがこの後謁見の間にて臣下に会っていただきたい。」

「分かっている。………だが叔父上、こんな子供が玉座に座っても良いのですか?」

「ジーク…」

「分かってます。大丈夫ですよ。謁見の間ではきちんとしますよ。ただ疑問に思っただけです。」

「兄さん…先代国王であるジークの父も同じ事を言っていたな。」

「父もですか?」

「あぁ、今のジークよりも大人だったが、臣下には兄さんよりも経験豊かな者がたくさんいたからね。私は初めそんな兄さんを情けないと思っていた。」

「叔父上がですか?」

「そうだよ。私だって王位に就く事を考えた事くらいあるさ。でも兄さんがどんなに奔放で自由な人だったとしても、兄さんはラディウスを継いだ。ラディウスは王の器を持つ者に与えられる称号だ。」

「前から言おうと思っていましたが、私には兄弟がいないのですからラディウスの名を継ぐことになりますよね?それに叔父上には玉座に就く資格がありますよね?ラディウス王族が賜る光の妖精ルクスの加護を受けてるのですから。」

「本当にそう思うか?私の子はルクスの加護を受けなかったのに。」

「叔父上は私にその器があると?」

「だからジークフリート陛下は生かされた。それがラディウスの意思だと私は思っている。」

ー叔父は両親の事故の事を言っているのだよな。あの日私も両親に同行していたが2人が守ってくれたから私はかすり傷だけですんだのだ。それがラディウスの意思などと私は思いたくない

「この話は一旦終わりだ。」

私は話を切り上げる。

「マーキス公爵、皆への挨拶の後に非公式の会談の場を設けてくれ。」

「会談ですか?」

「あぁ、その席にネイト宰相にも同席してもらいたい。」

叔父の左眉がピクリと上に上がる。
これは警戒している時にする叔父の癖だと父に教わっていた。

「ネイト宰相もですか?」

「そうだ。必ず呼ぶように。」

「畏まりました。陛下の御心のままに。」

一度眼を閉じ、小さく息を吸い込む。
玉座からこの後の会談のことを考える。
この後の会談がどうなるか分からないが、私は王としての責任を許される限り果たそうと決めていた。
両親が愛したこの国を護りたいから。
フィアを守りたいから。
それが…ラディウスの名を持つ私の責任なら。
(だが私はフィアを守れなかった。この時でも間に合ったはずなのだ。なのに私は…。)
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