【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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8.彼の笑顔

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別れ間際に泣いていたギルの事が気になって眠れず、星の瞬きを数えていた。

ー早くギルに会いたい!会えるかな?元気になったかな?

次の日、私は一日中そわそわしていた。
楽しみな事があると時間になるのが長く感じる。
今は昼食をとっている。
本当ならこの後のティータイムは母といつも過ごしているのだが、今日は母の友人のリズベット・サンノ・マホーティス侯爵夫人が来ていたので私は弟妹達と過ごした。
今日は邸に父がいないと知ると肩を落としていた。
私はリズベット夫人は父とも仲が良いんだなと思った。
母に聞いたら父とリズベット夫人は幼馴染だと教えてもらった。

ーだから夫人は肩を落とされたのね。

そんな事がありつつも、ギルと約束した時間になり私は四阿に向かう。
ギルに会えなかったらどうしようと不安が過ぎるも目の前にギルが現れる。
いや、実際は私がギルの前に現れたのだけど。
ギルの表情にも辛そうな様子はなく安心した。
ギルにまた会えた事も嬉しくて自然と笑顔になる。
その時、ギルも微笑んだ。

ーわぁ、ギルが笑った。す…すっ…ごく、かっこいい…………

私は目を奪われてしまい、何も言えず立ち尽くしてしまう。

「フィア。今日も来る事が出来たんだね。良かった。それに昨日は本当にありがとう。すごく感謝している。あぁ、こっちに来て一緒にお茶を飲もう。今日はフィアと約束していたからね。準備しておいたんだよ。」

ギルの誘いに胸は高鳴り指先が震える。

ーど…どうしよう…緊張してきた…。

ギルはいつまでたっても席につかない私を不思議そうに見た後、徐に席を立ち近くに来る。
そして私の手を取り…

「お嬢様こちらへどうぞ。」

そう優しく微笑みながら私を席に案内してくれる。

「あ…ありがとうございます、ギル。」

そう言うだけで精一杯だった。
ギルが私の目の前の席につき紅茶を淹れてくれる。
申し訳ない気持ちになるも何も出来ずに私はあたふたしてしまう。

「ふっ…気にしなくて大丈夫だよ。フィアはお客様なんだからね。それから敬語は使わなくていいよ。」

ギルはそう言いながら私の目の前に淹れたての紅茶のカップを置いてくれる。
その所作は優雅で美しくて見惚れてしまう。
それでも、ありがとうとお礼を言う事はできた。
初めは緊張していた私だけど、ギルが優しく話しかけてくれたから次第に緊張が解れ自然に話せる様になる。

「でも本当にフィアはオーウェン侯爵領から来ているんだね。突然現れたり消えたり本当に不思議だな。」

「えぇ私も今だに信じられないわ。なぜここに来られるのか分からないけど、ギルともう一度会えて良かったわ。」

「そういえばフィア、昨日行っていた私のトゲトゲは今はどう?まだそう思う?」

「ギル、昨日の事本当にごめんなさい。私ったら変なこと言ったわよね。」

「さっきも言ったけど私は感謝しているんだから謝らないで。それで、どう?」

「今日のギルは…何だか柔らかく見えるかな?」

「そう。それなら良かった。」

そんな他愛もない会話をしながら過ごした。
あっという間に時間は過ぎ陽が沈み始める。
私はそろそろ帰らなきゃいけない。

「また明日。」

そうギルが言ってくれたから私も明日会う約束をして帰った。





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