【完】太陽の王が愛する妖精王の寵児

奏直

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7.優しさに触れて

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翌日、ベッドから起き上がると目は泣いたため重かったが、妙にスッキリした気分だった。

ー今日もフィアに会えるだろうか…

そ思うと口元が緩む。
部屋を出るとダニーが待っていた。

「おはよう、ジーク。あぁ、顔色は…少し良くなったな。良かった。眠れる様になったんだな。体調はどうだ?」

ダニーは私よりも5つ年上で今は16歳。
本来なら王立学園に通っているのだが、恐らく今は私のために公爵邸に戻って来ているのだろうと思う。
この邸に来ても寝られていなかった事も、昨日私が泣いていたことも知っているのだろう。
本当の兄の様なダニーの優しさに、こと時初めて気がついたのは言うまでもない。
自然と笑みを浮かべダニーに答える。

「あぁ、昨日はよく眠れたから気分は良いよ。……ダニー、私は何を焦っていたんだろうな。早く大人にならなくてはと思っていた。皆の優しさに気づかずに心配ばかりかけて。2人を亡くして辛いのは私だけではないのにね。」

「ジーク…。ジークが辛い思いをしていることを、仲の良い親子だったからこそジークが辛い思いをしていることを皆も分かっている。だから今は甘えて良いんだ。」

ーいずれジークはこの国を治めていく。そうなればいくら辛くてもその責任と、皆の生活を…この国を背負って生きていかなくてはらならない。俺もその時はジークを…陛下を支えられる臣下になるから。だから今だけは…。

「ありがとう。皆の好意に甘えてもう少し子供でいようかな。あぁ、お腹すいたなぁ。早く朝食を食べに行こう。」

そうふざけ気味に話しながら食堂に向かう。
不思議な気分だった。
今日はダニーの優しさを素直に受け入れることが出来る。
視界が晴れた気分だった。
両親の事はまだ悲しいし辛い…けれど少しづつ受け入れられる様な気がしていた。

食堂にはマレリア夫人とフロリスとゼノンがいた。
皆と食事をとったのは、マーキス公爵邸に来て初めての事だった。
朝食の席で私はマレリア夫人に願い出る。

「王になるために必要なことを学びたいんです。叔父に貴重な時間を頂いたんです。王都に戻るまでに少しでも力をつけたいんです。叔父の期待に応えられる様に。」

「無理はしていない?」

「えぇ。やっと前を向ける気がするんです。マレリア夫人、本当にご心配おかけしました。」

「いいのよ。それに、ジークが望むならそうしましょう。ダニー、相談に乗ってもらえる?」

「はい。ジーク、無理はするなよ。」

「分かっている。ありがとう。」

朝食後は今後の学習計画を立てて過ごした。

ーフィアに今日も会えるかな?会えたら感謝を伝えたい。

そう思う気持ちを抑えながら過ごす。
そして夕刻前の陽が傾き始めた頃にいつもの庭に来ていた。
2人分の紅茶を用意し待つ。
庭の草が不自然に揺れるとフィアが現れる。
本当に不思議だ。
フィアは私を見ると嬉しそうに笑ってくれた。

ー綺麗だ。

ただ、そう思い私も笑顔でフィアを迎えた。
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