蛟堂報復録

鈴木麻純

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4巻

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    地獄の沙汰も金次第――
    ごうを背負う覚悟と金があるのなら――
    その恨み、蛟堂みずちどうに預けてみませんか?
    悪いようには致しません。
    「一週間以内に、 」
    ――必ずや片を付けてみせましょう。

            蛟堂店主 三輪みわ辰史ときふみ



 第一話 サロメ


 緩急かんきゅうのある旋律せんりつが、丸く広がる天空の下に流れる。
 時に雷のように激しく、鋭く。
 時に波間へ揺蕩たゆたう小舟のように、ゆらり、ゆらりと。


 王の権力とおごりを示すかのように、宴会場よりも高くしつらえられた露台ろだいは、月明かりの下で何より白く輝いていた。
 瑠璃るり色の空に、星は見えない。
 ただうっすらと赤く見える月のみが静かな光を放ち、地上の狂宴きょうえんを見下ろしていた。
 地上では娘が一人、舞っている。
 七枚のヴェールに覆われて、顔は見えない。ただ、薄絹うすぎぬの下に透ける体のラインのみが、彼女が女であることを示していた。
 楽人がくじんらによってかなでられる心地よくもつやめいた音色は娘へまとわり付いては、ふわりと離れる。その様は、冷たい夜空の下で、踊る娘の不可視な共演者のようであった。
 小さな形の良い足が、血溜ちだまりの上で軽やかに舞い遊ぶ。腕がひるがえり、指先がそっと虚空こくうを撫でる度に、ほのかな光沢こうたくを持つヴェールがはらりと石畳の上へ落ちた。
 薄い布が足元の紅を吸う。それでもたっぷりとこぼれた飛沫しぶきが全て覆い隠されることはなく、娘の白い足先を赤く赤く染めていく。
 娘の細い足首を飾る金と銀の装飾がこすれ合って、しゃらんと涼やかな音を立てた。同時にまた一枚、ヴェールは落ちてついに娘が被るヴェールは一枚となる。
 ひらり、ひらりとちょうの羽よりも優雅に翻る白い薄絹は、仄かな月明かりに照らされてその下にある娘の姿を透かした。
 象牙ぞうげ色のきめ細かい肌。その背をゆるやかに流れる髪の色は、宵闇よいやみに覆われた森の影より濃いというのに金糸や銀糸よりも目映まばゆくしっとりときらめいて見える。そうしてその唇は――ふっくらとした小さな唇は、宮殿の庭を彩る薔薇ばらよりも赤く、あでやかであった。
 娘は舞い続ける。
 仄赤い月明かりの下で。
 白い石畳の上で。
 葡萄酒ぶどうしゅよりも暗い色をした血溜まりの中で。
 娘は舞い続ける。
 ――固唾かたずんで見守っていた人々の内の誰が知っていただろうか?
 弧を描くように腕でやんわりと宙を切り、たおやかに踊る娘がその薄絹の下で笑みを浮かべていたことを。
 長いまつげで影になり、更にヴェールで覆われた彼女の瞳は誰の目にも留まることがなかった。夜空に浮かぶ月すら、その瞳をうかがうことはできなかっただろう。ただ一人、自身が狂気の内にいることを自覚する娘は、瞳の内に炎を宿したまま笑んでいた。こみ上げる笑いを堪え、踊りにのみ神経を注いでいた。
 タン、タタン、タン
 楽の調べに合わせて、足が自然と跳躍する。もう幾度かそれを繰り返せば全てが終わる。――終わるのだ。
 娘は舞い続ける。
 ただひたすらに。終わりが来ぬことには気付かずに、狂気の中で踊り続ける。


    ***


 ふあ、あ
 男は猫がするように気怠けだるげな欠伸あくびをして、眠たげな半眼を擦った。
 歳の頃は二十代後半。黒髪を後ろへ撫でつけて――半眼である所為か――ひどく凶悪な目をしている。
 その手前には紅縞瑪瑙べにしまめのうの灰皿が置かれていたが、積もった灰と煙草の吸い殻がその美しい模様を覆い隠してしまっていた。

太郎たろうの奴め、人を容赦ようしゃなく起こしやがって……」

 と毒づいているのは三輪みわ辰史ときふみ。蛟堂十二代目店主である。
 普段は全く客の来ない蛟堂――漢方薬局を兼ねた雑貨屋というか、雑貨のついでに漢方を置いてあるというか、つまりは何を売りにしているのかよく分からないやる気のない店なのである――その店番と言えば日がな一日暇を持て余しているように思われるかも知れないが、男はこれでなかなか忙しい身であった。
 知る人ぞ知る、蛟堂の裏の顔。報復屋の依頼は表の雑貨屋と反比例するように、今の時代増加傾向にある。
 他者とのつながりは希薄きはくになりながらも、人間関係の摩擦まさつは絶え間なく生まれる現代においては、強者も弱者も等しく常に戦い続けなければならない。強者が弱者をしいたげる、弱者が強者を打ち負かす、或いは強者が強者を、弱者が弱者を食い潰そうとする――その過程において強行きょうこう手段という名の犯罪行為が行われることもしばしばで、負の連鎖れんさは重くなっていくばかりである。
 そんな時代であるからこそ、誰にも助けを求めることの出来ない人間を相手にした商売が繁盛はんじょうする。
 異能者――かつて、いにしえの時代には陰陽師おんみょうじやら巫女みこやらと呼ばれた一族は、現代においてすっかりすたれてしまったように思えるが、実のところはそういった独自の商売を成り立たせることで、より一層の繁栄はんえいを誇って〈非現実〉の社会を作り上げていた。


 その先駆さきがけとなったのが、蛟堂――いや、正しくは辰史の祖父であり、先代当主でもあった三輪みことである。
 彼は三輪家の歴代当主の中でもとりわけ異彩を放っていた。一芸に秀でることの多い異能者たちの中で、尊は何に於いても優れていた。その多才さに、人は羨望せんぼう畏怖いふを抱いたものである。
 そんな三輪家の先代当主――偉大なる異能者は、力を持つが故に世間に対して常にしゃに構えている風であった。義賊ぎぞくとして起こり、弱者の側に立って非道なる強者をくじくという蛟堂の当初の在り方に懐疑的かいぎてきでもあった。
 ――世の中は全て表裏一体である。表と裏を明確に分けることができないのと同様に、善と悪を完全に分けてしまうこともできない。弱者と強者の関係というのも、常に一定ではない。そんな曖昧な世界の中で、人とは違う力を掲げながら己に義があると叫ぶことは、傲慢ごうまんではないのか。
 若い当主は悩んだ。悩みながらも蛟堂を継ぎ、答えを探るように精力的に依頼をこなした。その中で、神山かみやま金融と繋がりを持ち、同じく狭間はざまの世界に生きる異能者たちとも横の繋がりを密にしていったのである。
 そうして、そんな尊の跡を継いだのが孫の辰史。
 尊が愛したりゅうの子は正しく祖父の跡を継ぎ、更には稲荷いなり運送という独自の運送会社を設立することで祖父の作り上げた〈非現実〉社会を更に深く、〈現実〉社会に寄り添わせた。
 心に闇を抱えた人間は、普段は何事もなく〈現実〉社会に溶け込んでいる同業者たちによって発見され、蛟堂へ導かれる。或いは、自分から蛟堂への連絡手段を求める。
 義賊として、または正義の味方として――ではなく、ビジネスとして現代の社会に蛟堂を存続させていく。それこそが尊が悩み抜いた末に辿り着いた決断であった。
 尊の改革の後、新たなる土台の固まった蛟堂は今が最盛期である。稼げるときは稼いでおきたい。金と力への信奉もまた、祖父の遺したものである。人からは横暴と言われる当代の蛟堂店主も、偉大な先代の名に恥じないよう日々苦心をしている。もっとも、それは決して人から認められる類の努力ではなかったが。
 ――ゆっくりと店番をするのも、これが久々だ。

(ま、どうせ客も来ねえし一日くらい店を閉めても良かったかもしれんが……)

 どうせ臨時休業にしたところで、恋人は今日も仕事なのである。
 一人で暇を潰すくらいなら、店番をしていても同じだろう。ぼんやりと店を開けていて、一人でも客が来たのならもうけものではないか、と――。そう、思い直したのだった。


「こんにちは。様子はどうだい、三輪君」

 がらがらと引き戸の開いていく音に、辰史は「いらっしゃい」と口の間から顔を出し、珍しくその顔へ若干の親しみを込めた笑みを浮かべた。

「久しぶりだな、じいさん」
「ああ。二月ぶりかな」

 と答えたのは顎髭あごひげたくわえた老人だ。
 見事なまでに真っ白な髪を短く整えた男は、蛟堂とも馴染みの深い真田骨董さなだこっとう店の店主である。趣味は旅行と温泉巡り、そして水泳というだけあって、もう七十を過ぎたというのに背筋はしゃんと伸びて筋肉のおとろえも見られない。
 真田老人はたくましい体つきには不似合いの柔和な顔をにこりと微笑ませた。

「久しぶりにいつものやつを頼むよ」

 いつものやつ――というのは勿論、報復の依頼ではない。表向きに漢方薬局兼雑貨屋としての顔を持つ蛟堂では、その名の通り少し変わった漢方薬や香を取り扱っている。それらを卸しているのは辰史の兄、三輪秋寅あきとら。一見ちゃらんぽらんで何も考えていないように思われる三輪家の長兄は、しかし調薬士としては一級で上海に店を構えていた。
 その実力は、渋々ながら辰史も認めるところである。

「はいはい、いつものやつね」

 背後の薬棚を探る。
 薄いフィルムに包まれた薬を数包、紙袋に入れて手渡せば、真田老人は代わりに代金を寄越よこしながら問うてくる。

「どうだい? お兄さんとは最近」
「どうもこうもないぜ。あいつが帰って来るとろくなことが起こらないからな」
「と言いつつも、薬はちゃんと仕入れてあげているみたいじゃないか」

 顔を微笑ませたままで、かさかさと薬の入った袋を振る真田老人に、辰史は顔をしかめてやった。
 ――どうにもこの爺さんはやりにくい。
 真田老人は辰史の今は亡き祖父――三輪尊の友人である。
 仕事上の友人、というよりはプライベートにおいての親友であったようだ。尊の遺したアルバムを紐解ひもとけば、若かりし頃からの二人を探ることができる――という事実からも、付き合いの深さが窺える。
 だから、というわけでもないだろうが――

「兄弟仲が良いのはいいことだ。尊も安心しているだろうね」
「……俺の話聞いてたか?」
「聞いていたとも。ちょくちょく様子を見に来てくれるんだろう? 遠い上海からわざわざ。良いお兄さんじゃないか」
「あのなァ……。アイツは別に俺の様子見に帰って来るわけじゃねえぞ。いつものあれだ。女にふられて傷心帰郷しょうしんききょうってやつ」
「そうかもしれない。けど、そうじゃないかもしれないよ。あの子は照れ屋だからね」

 暖簾のれんに腕押し。ぬかくぎ
 何を言っても、さらりと受け流されて良い方に良い方にと解釈されるのだから堪ったものではない。

(あの阿呆寅が、照れ屋だって?)

 好々爺こうこうやの言葉に、辰史はうげえと顔を顰めた。

「それより――」

 ――一族の話題は早く逸らしてしまうに限る。
 でないと、やれ「君だってお兄さんのことが好きなんだろう?」だの「丹塗矢にぬりやの子とはもう仲直りしたのかい?」だの「天月あまつきのお嬢ちゃんとのことはいつご両親に言うんだい?」といったような、面倒くさい話にまで発展しかねない。
 にこにこと笑う老人の言葉を、辰史は半ば強引に中断させる。

「今日は連れがいるようだが……。奥さんすら連れ歩かない爺さんが、珍しいじゃないか」

 そうして、無理矢理話題を変えるように老人の後ろへ視線を投じれば――老人の後ろでつまらなそうに腕を組んでいた少女がパァッと顔を輝かせた。

「誰だ? まさか爺さんのガールフレンドってわけでもないだろう?」

 恐らくは孫だろう。と見当をつけつつ、冗談めかして問う。真田老人はそのしわだらけの顔へ苦笑を浮かべ、

「孫だよ。三輪君、老人にそういう冗談は無理があるだろう」
「じゃあ隠し子の方が良かったか?」
「どっちもいまいちだね。尊なら、『援助交際は止めておいた方がいい』くらいは言っただろうな」
「そっちの方が際どいじゃねえかよ」

 ――と、また話があらぬ方へ逸れるところだった。
 辰史は、真田老人の後ろで少女が憮然ぶぜんとした顔をしていることに気付いて、続く軽口を飲み込んだ。
 高校生だろうか?
 ミルクティ色に染めた長い髪を巻いた――ファッション雑誌などで見かけそうな少女だ。マスカラをたっぷり塗った、長い睫毛まつげふち取られた瞳。細い眉。いかにも、今時の美少女といった感じだ。つん、と澄ました顔に真田老人の面影は見当たらない。

「孫の優香ゆうかだ。私に似ていなくて、可愛いだろう? 雑誌のモデルもやっているんだよ」
「へえ、成程なるほど。道理で――」

 ――雑誌でよく見るような顔だと思った。
 後半は声に出さずに、辰史はうなずく。
 すぐに紹介されなかったことが気に入らなかったのだろうか。
 少女は不機嫌そうに片手で短いスカートのすそを伸ばしていたが、祖父の言葉にようやく顔をほころばせた。

「こんにちは、辰史さん」

 親しげに名前を呼ばれて、辰史は困惑する。
 目の前の少女が自分の名を知っていることは――まあ、祖父から聞いたのだろうから、不思議ではない。けれど、必要以上の愛想で装飾された笑みの理由は?

「ああ。どーも、初めまして。真田のお嬢ちゃん」

 迷った末に――その隣に真田老人がいることも考慮に入れて――やや遠慮がちに返せば、美少女は形の良い唇をつんととがらせた。
 何かが不満だったらしい。辰史はその反応に、更に困惑して真田老人へ視線を向ける。

「うちの優香は三輪君のファンでね」
「はあ……」

 何と答えて良いのか分からずに、辰史は気の抜けたような相槌あいづちを返した。その言葉を受けるようにして、優香は尖らせていた唇を開いた。

「そうなの。だから、お嬢ちゃんじゃなくて優香って呼んでね。辰史さん」

 ねたように見上げる視線は、可愛らしいのだろう。多分。
 そういった感覚が多少欠落していることを自覚している辰史は、客観的にそう思いながら少女の続く言葉を待った。

「おじいちゃんがね、よく辰史さんの話をしてくれるの」
「はあ……」
「顔は悪くないのに、口の方が滅法めっぽう悪くて、性格もそんなに良くない。だけど陰陽道おんみょうどうに明るくて、他の人じゃあ十年かかってもできないようなことを一年で習得しちゃった嫌味いやみな天才だって――」
「おい、爺さん。孫になんつうこと吹き込んでんだ」

 辰史は少女の横で素知らぬ顔をしている真田老人をじとりと睨み付ける。優香はそんな辰史と祖父のやり取りを気にする様子も見せずに、続けた。

「それで、ずっと会ってみたいって思ってたんだ」
「はあ?」
「どんな人だろうって――だって普通じゃないじゃない? 陰陽道とか意味分からないし、話聞いただけだととにかくすごい人だってことしか分からないから」
「……それは、めているのか? それともけなしてんのか?」

 瞳を輝かせているあたり、本人に貶しているつもりはないらしい。辰史は頬を引きらせながらもそう問うに止める――これがじまあたりであれば、即座に殴り倒しているところだが。

「褒めてるの! 顔も合格。すごく私の好みだよ、辰史さん」
「そりゃ、どうも」

 ――何なんだ、この少女は。
 思わず体を後方に引く辰史に、優香は更にずいっと詰め寄った。

「今はね、彼氏いないんだ。だからこれ――」

 差し出された紙切れ――ピンク色の、ハートが散りばめられたメモだ――を、押しつけられて、辰史は訳も分からぬままに受け取る。
 ――何なんだ。
 と、何度目になるか分からぬ疑問を呟きながら真田老人へ視線で助けを求めると、老人はようやく孫の背をとんと叩き、

「さ、優香。今日はその辺にしておきなさい。三輪君が困っているだろう?」
「ええー。せっかく辰史さんに会えたのに。つまらない」

 祖父に促されて、優香は唇を尖らせた。
 それでも――渋々という風ではあったが――彼女は真田老人の後に続いて大人しく帰ったのである。その日は。


    ***

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