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第一章:迫る評価、危ういボーナス

2:俺の星の現状

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ウェルナーの星から自室に戻って、ベッドに横になる。
そして目を閉じて、アースの花火大会のことを思い出す。

あの大会にいた人たちは…楽しそうだったなぁ…。
それにウェルナーはなんていうか…神っぽかった。こんな怠惰な俺とは違って…。
あの星があんなに素敵な星になったのは、ウェルナーの努力の賜物なんだろう。

俺も昔は、いい神様になれるように頑張ろうとした。
ウェルナーには悪いが、ウェルナーに勝ちたくて努力した。
でも…ウェルナーには敵わなかった。そこで俺の中で何かが壊れてしまったんだと思う。
眠っているのは楽だし、なにも辛いことはない。
でも…楽しいこともない。

俺の星…イノスは今どうなってるんだ…。

俺はベットから立ち上がり、部屋を出た。
イノスに降りると、2000年も放っておいたせいで、アースに比べて建物や食べ物なんかのレベルも低い。
一応俺はこの星で一番発展しているであろう街?におりたつもりだったが…これは街というよりもちょっと大きいだけの村だ…。

ちなみに俺は人の姿ではなく犬の姿に擬態している。
人の姿を保つより、他の動物の方が楽なのだ。
この犬はたしか…コーギーとか言ったかな?
ちょっと足が短い気もするが…のんびり歩くにはいいだろう。

村は騒がしくなく、のんびりと時が流れていた。
大人は日々を生きるために仕事をし、子供は駆け回り遊んでいる。
これはこれでいいのかもしれないが…アースを見た後だと物足りなさを感じる。

「あぁ!わんちゃんだぁ!」

一人の女の子が俺を指差していうと、子供たちが俺にわらわらと寄って撫でられまくった。

「わんちゃんどっから来たの?」

「可愛い~もふもふ~」

「このわんちゃん足短ーい」

俺はその後ずっと子供達にもみくちゃにされ、日が暮れ始めて子供たちが離れていくまで撫でられ続けた。
そして、やっと子供たちが少なくなっていき、最後に先ほど俺を見つけて声をあげた女の子が残った。

「私も帰らなきゃ。わんちゃん、自分のお家わかる?」

「くぅ~ん?」

犬だから話すわけにもいかないし、とりあえず適当に返事する。

「もしかしてわからないの?綺麗な毛並みをしてたから誰かのわんちゃんかと思ってたのに…よかったら、うちくる?パパとママに言えば一日くらいなら泊めてもらえるかも」

「わんっ」

これはこの星の人たちの生活を知ることができる貴重なチャンスだ。
俺はそのまま女の子について行った。
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