ドリーム”R”プロジェクト

夢

３

「車を一から作るって？」

車の整備をしていた父親の手が止まり、それは大層驚いた表情でこちらを向く。

「父さんに総合監督になって欲しくて」

「お前、それ本気で言ってるのか。金はどうするんだ」

蓮は父にクラファンの画面を見せた。気が付いたときには目標額の５００万円に達していた。父以外、全員高校生チームということもあり、世間からは大注目された。一部ＳＮＳ上でも、拡散され、そのおかげもあって、あっという間に資金は集まった。父はまた驚いた表情でこう言い放つ。

「そうなれば話は別だな。わかった俺もできる範囲で協力する」

父親は、意外にも協力的な姿勢を見せてくれた。蓮は、この父の反応には少し驚いた。整備士経験の長い父の事なので、絶対に反対されると思っていたからだ。父は、昔、トヨタの整備士として長いこと勤務していた。その為、トヨタ関連の車全般に精通していた。

「ボデイーやミッション、エンジンはどうするんだ」

「まだ決まってない。エンジンは２ＪＺの新品が手に入れば、それが良いと思ってる」

２ＪＺエンジンとは、トヨタのスープラやアリストといった名車にかつて搭載されたエンジンのことだ。チューニングベースのエンジンで、コンピュータのセッティングを少し触れば、並外れたエンジンパワーを発揮できるといった優れモノである。

「２ＪＺは、手に入るけど、高いぞ。新品だと猶更高い。中古で買ってきて、俺がオーバーホールしてやるから、金は後からきちんと払えよ」

父は、早速、中古のエンジンを発注してくれた。蓮はその旨を、ライングループで報告した。