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襲撃と説明と違和感
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「伯父様!」
「うむ!」
さっきから何だか…変よ。やはり怪しいわ!
よし! 隠し場所は……ドアの横に槍! 変わってないな! よく手入れされて光ってるわ!
それに、ドアもいつも通りね! 外でバタバタ……聞こえ、無い? 何時も伯爵家は足音がドタバタ喧しいのに。
「伯爵様! 侵入者は撃破致しました!」
「早!?」
「むむむ……」
え、嘘。この怪しい気配もやまぬ間に、撃破報告早くない? 怪しいわ。伯父様も余計に怖い顔になってるし……。不穏な空気はまだ消えてない。取り敢えずミシー様はご無事よね。良かったわ、不審そうに何故か私達をご覧になってるけど……。何故かしら。
「本日の合言葉は!」
「えっ……」
即答できないなんてやっぱり偽物!
「我らが悲願!」
「え、えーっと……」
「ふんぬ!!」
「わっ!?」
……あ、やだわもう。派手に木屑が飛んできたわ。伯父様ったら、本当に気が短いわねえ。ミシー様が居られるんだから、当主らしく家訓ルールをちゃんと守って欲しいわ。
「扉の木屑に当たっておられませんか? ミシー様」
「……っ、だい、じょうぶ……」
「んもう、伯父様ったら……! せめて3秒は待たないと。万が一、使用人を盾にされていたらどうするのよ」
「我が使用人なら避けられるから大丈夫だ」
「盾にされていたら、避けられないじゃないの」
「ジョーサイドは、槍で扉を、貫けるものなのか……。恐ろしい一族だ……」
ミシー様が絶句されておられるわ。
……流石に本当の硬い木製ドアなら、勢いが殺されて駄目だけど……砕けやすい木材を嵌め込んであるのよね。
まあ、それでもパフォーマンスにはなるからね。でも、2回目は使えないのよ。
まあ、この仕掛けを見た襲撃者は、残念ながら帰らせないもの! 大丈夫よ!
それに……あ、今人影が見えてるわね。見たことあるお仕着せだわ。ちゃんと伯爵家の使用人かしら。
「ねえ、本日の合言葉は何だったかしら?」
「本日の合言葉は、お家万歳安全! お館様! ルーキアお嬢様! ご無事ですか!?」
「うむ。直ぐに片付けよ」
「ははっ!」
あ、リアルに片付いたみたい。良かった良かった。
というか、さっきの……今日というか今週の合言葉よね。変えてないの? 伯父様ったら、実にテキトーでいい加減だわ。
「では、話に戻ろうか」
「……殺伐とし過ぎだろ。襲撃慣れしてるのか?」
「ティナー侯爵家に差し向けられる、王妃の執念には負ける」
あっ、王妃からの襲撃者……ミシー様へのストーカーの話も気になる!! ちゃんと聞かなきゃ!
「王妃も……王の浮気で参った最中、子供を一気に亡くして心を病んでしまわれたからな。
それでも『ソックリだった子供』を補充されて、持ち直した筈だが……。時々思い出されて取り乱す」
「補充って……あの方々は物ではないのに。王妃様もそりゃ参られますわよ」
……いやあ、改めて聞くと酷い。そりゃ王妃様のお心は病むわよ……。取り乱しもするわ。酷すぎるわ。
「王にとっては、孤児院から連れてきた今の王太子殿下を筆頭にした王子王女は、『王妃を宥めるモノ』に過ぎない」
そ、そんなことって……。宥めるモノ扱いされる子供達も、宥められると思われた王妃様も……。
人を何だと思っているの……!? 大声で叫びださないよう口を覆ってるからツッコミも出来やしない!
「王は、王妃が悲しんで取り乱すのが何よりもお嫌らしい。アレだけ庶子を拵えておいて」
「浮気野郎でどうしようもない屑野郎だが、王は王妃を王なりに愛しているらしい。愛妻家の儂には分からんな!」
あ、開いた口が塞がらない世界だわ。意味不明過ぎる。
え、愛してるのに浮気三昧? そのせいで妻が苦しんでるのに取り乱すなと? 余所から子供を拐ってきたから、機嫌治せって?
ダメだわ。国王陛下にはなんだけど、シンプルに頭がイカれてて、おかしい……。恐妻家の伯父様が、シンプルに偉く見えるわ。照明のせいかしら?
「だから、俺に兄弟の庶子を差し向けるのさ」
「え、何故ですの?」
あ、結構大声で喋っちゃった。話の腰は折れてないからいいかしら。
「王妃は、俺が王の庶子だと信じ込んでいるから、らしいけど」
「え」
お、王の……庶子!?
ミシー様が!? 嘘お!? ……国王陛下の肖像画に似てないわよ!? いや、他の庶子達とも似てないけど!
「じょ……冗談ですわよね?」
「俺は違う。俺の髪は親父と同じ色だ。金髪じゃないだろ」
「確かに……金髪ではない、ですわ。それに髪を染めたら……ガシゴリになりますものね」
「染めてもいいけど、無意味に傷めつけるのもな」
「止めた方が宜しいです」
ミシー様の銀髪は、今日も美しくサラサラだもの。染めた形跡すら感じられないわ。
しかし、知らなかったけどこの美しいお色味はお父様に似てらっしゃるのね……。ティナー侯爵は、文系イケメンなのかしら。ミシー様に似ておられるのか、地味に気になるわ。ゴツいオッサン騎士とかムサ系騎士に囲まれてると癒やしが欲しくて……。線の細い殿方、万歳三唱よ。プリーズ文系イケオジ! ノーモアゴツオジ!
じゃなかった。
ま、まあ侯爵家のスペシャルヘアケアとか有るならヘアカラーしてても分からないかもだけど……。其処まで疑うのもなあ。
「違うと言ってるのにな。
王妃が取り乱す度、俺に『兄弟の庶子』を送り込んで来させる。王の庶子と信じる俺と、自分の血縁との間に子を作らせて、王位に就けるのが幸せだと……信じ込んでいるみたいだ」
ほ、本当にそんな事があり得るもんなの?そんな下種い王様を、そんな複雑な形で愛するもんかしら。下種ってだけでかなりのマイナス要素よね? そんなに大恋愛なの……? そんな噂、巷には広がってないわよね……。
それに、愛する人との子供が欲しいったって……ねえ。差し向けてるとされる女性は兄弟の子供だし、そもそも浮気されまくっても愛は残ってるの?
なーんか、違う気がするのよ。そんなマニアックな愛は……マゾ変態が過ぎるわ。
下っ端な事務官の私じゃ、肖像画位しか王妃様を存じ上げないけど……。
て言うか、王妃様がマジドアマットヒロイン過ぎやしないかしら。高貴な身の上の方にそんな事思うの不敬だけど。
ヒロインは、何の苦労もせず今の所ジャージ氏略奪しかしてないものね。やだ! 悪女!
「そんな……。でも、王妃様が送り込んでいるという証拠は有りますの?」
「無い。でも、送り込まれてきた女共は、王妃の差し金だと言うもんだからね……」
「冤罪の可能性も有りますわよ……」
「ただ、実際怒り狂って正気を無くしている所を宮廷に仕える人間なら一度は見たことが有る。有名だからな」
「正気を……」
うーむむむむ。やったとも、やってないとも……判断がつきにくいってことね。
でもなあ……。不貞をやらかしまくった夫に対する正当な怒りをヒステリー扱いとか……どうなってんのよ。
王妃様のお味方はおられないの?
高貴な公爵令嬢なんでしょうに! お偉いさんには取り巻き山盛り盛りで庇いまくりじゃないの? なーんか腑に落ちないわねえ。
ミシー様も、この口調では八割方王妃様の差し金だと信じておられるみたいだし……。でも、違和感バリバリだわ。乙女ゲーム関係無いけど、私の勘が何かおかしいと告げているの。
「勿論、王妃は狂っていると認めない。正気に戻ると覚えていないらしいからな。冤罪の可能性も有るにはある。でも」
「そうだとしたら、王妃様の兄弟は何故止めませんの。
血を分けた子供でしょうに!」
「彼らは、何とも思わないな。
若い頃のやらかしが処理出来るからだろう。そもそもあいつらが黒幕だって可能性も、高い」
「あやつらも屑だからな」
「うおおあお、何てこと……」
お、思った以上に酷いお話だったわ。王妃の兄弟が、身分の低い女性達に産ませた子供がストーカー……になった女官達の正体。
でも、差し向けたのは王妃様じゃないのかも? って。
……謎が深まりすぎる……。
「兎に角、王太子ナッタート殿下があの騒ぎで国王を何とかしようとしてるその隙に、我が家に刺客が差し向けられているという訳だ。多分」
「多分って。
其処の裏取りは有りませんの? 余所からの刺客では?」
「これから吐かせる!」
ざ、雑なお仕事過ぎるわ。これからって……そんな雑で良い訳無いのに!
「まあ、その気楽で苛烈なジョーサイドの気性は、陽動向きではあるよね……」
「何だと!?」
「お館様! 王太子殿下より書状が参りましたぞ!!」
え!? 王太子殿下から!? あんなにイガミ合ってたのに……。使用人から渡された手紙をお近くでオデコ突き合わせて見てるわ。
ミシー様と伯父様のノリが分からんわね。
「うむ! 知らせご苦労であった!」
「……残念ながら王は、痛ましい事故に遭われた、か」
「えっ、事故に!? そんな……この状況下で!?」
そんなタイムリーな事故有る? 怪しいなあ……。
「天井の照明が不幸にも落ちて来たらしい。
困ったことだな。王妃の兄弟達が、ちゃんと点検の仕事をさせていないばかりに」
「えっ……」
……王妃様の兄弟……照明の担当なの? 意外と地味なポジションなのね。
でも、照明に関する部署……正式名称は忘れたけど、滅茶苦茶高価な油や蝋燭の横流しが酷くて、って噂……。騎士団で本格調査が始まるかって、なってたわ。アレの事!?
それはそうとして……崩落事故に遭われた、本当の王子王女様がたと、似たシチュエーション……よね。
オマケに、取ってつけたような王妃様のご兄弟への責任問題。
此処で、陽動している内に……王太子殿下がやっちゃわれたとしたら。
コレって、やっぱり滅茶苦茶人為的……?
……倒れた私をダシにして、舞台裏で陽動してたってこと!?
……うう、事態が事態なだけに、抗議もしにくいわ!
「うむ!」
さっきから何だか…変よ。やはり怪しいわ!
よし! 隠し場所は……ドアの横に槍! 変わってないな! よく手入れされて光ってるわ!
それに、ドアもいつも通りね! 外でバタバタ……聞こえ、無い? 何時も伯爵家は足音がドタバタ喧しいのに。
「伯爵様! 侵入者は撃破致しました!」
「早!?」
「むむむ……」
え、嘘。この怪しい気配もやまぬ間に、撃破報告早くない? 怪しいわ。伯父様も余計に怖い顔になってるし……。不穏な空気はまだ消えてない。取り敢えずミシー様はご無事よね。良かったわ、不審そうに何故か私達をご覧になってるけど……。何故かしら。
「本日の合言葉は!」
「えっ……」
即答できないなんてやっぱり偽物!
「我らが悲願!」
「え、えーっと……」
「ふんぬ!!」
「わっ!?」
……あ、やだわもう。派手に木屑が飛んできたわ。伯父様ったら、本当に気が短いわねえ。ミシー様が居られるんだから、当主らしく家訓ルールをちゃんと守って欲しいわ。
「扉の木屑に当たっておられませんか? ミシー様」
「……っ、だい、じょうぶ……」
「んもう、伯父様ったら……! せめて3秒は待たないと。万が一、使用人を盾にされていたらどうするのよ」
「我が使用人なら避けられるから大丈夫だ」
「盾にされていたら、避けられないじゃないの」
「ジョーサイドは、槍で扉を、貫けるものなのか……。恐ろしい一族だ……」
ミシー様が絶句されておられるわ。
……流石に本当の硬い木製ドアなら、勢いが殺されて駄目だけど……砕けやすい木材を嵌め込んであるのよね。
まあ、それでもパフォーマンスにはなるからね。でも、2回目は使えないのよ。
まあ、この仕掛けを見た襲撃者は、残念ながら帰らせないもの! 大丈夫よ!
それに……あ、今人影が見えてるわね。見たことあるお仕着せだわ。ちゃんと伯爵家の使用人かしら。
「ねえ、本日の合言葉は何だったかしら?」
「本日の合言葉は、お家万歳安全! お館様! ルーキアお嬢様! ご無事ですか!?」
「うむ。直ぐに片付けよ」
「ははっ!」
あ、リアルに片付いたみたい。良かった良かった。
というか、さっきの……今日というか今週の合言葉よね。変えてないの? 伯父様ったら、実にテキトーでいい加減だわ。
「では、話に戻ろうか」
「……殺伐とし過ぎだろ。襲撃慣れしてるのか?」
「ティナー侯爵家に差し向けられる、王妃の執念には負ける」
あっ、王妃からの襲撃者……ミシー様へのストーカーの話も気になる!! ちゃんと聞かなきゃ!
「王妃も……王の浮気で参った最中、子供を一気に亡くして心を病んでしまわれたからな。
それでも『ソックリだった子供』を補充されて、持ち直した筈だが……。時々思い出されて取り乱す」
「補充って……あの方々は物ではないのに。王妃様もそりゃ参られますわよ」
……いやあ、改めて聞くと酷い。そりゃ王妃様のお心は病むわよ……。取り乱しもするわ。酷すぎるわ。
「王にとっては、孤児院から連れてきた今の王太子殿下を筆頭にした王子王女は、『王妃を宥めるモノ』に過ぎない」
そ、そんなことって……。宥めるモノ扱いされる子供達も、宥められると思われた王妃様も……。
人を何だと思っているの……!? 大声で叫びださないよう口を覆ってるからツッコミも出来やしない!
「王は、王妃が悲しんで取り乱すのが何よりもお嫌らしい。アレだけ庶子を拵えておいて」
「浮気野郎でどうしようもない屑野郎だが、王は王妃を王なりに愛しているらしい。愛妻家の儂には分からんな!」
あ、開いた口が塞がらない世界だわ。意味不明過ぎる。
え、愛してるのに浮気三昧? そのせいで妻が苦しんでるのに取り乱すなと? 余所から子供を拐ってきたから、機嫌治せって?
ダメだわ。国王陛下にはなんだけど、シンプルに頭がイカれてて、おかしい……。恐妻家の伯父様が、シンプルに偉く見えるわ。照明のせいかしら?
「だから、俺に兄弟の庶子を差し向けるのさ」
「え、何故ですの?」
あ、結構大声で喋っちゃった。話の腰は折れてないからいいかしら。
「王妃は、俺が王の庶子だと信じ込んでいるから、らしいけど」
「え」
お、王の……庶子!?
ミシー様が!? 嘘お!? ……国王陛下の肖像画に似てないわよ!? いや、他の庶子達とも似てないけど!
「じょ……冗談ですわよね?」
「俺は違う。俺の髪は親父と同じ色だ。金髪じゃないだろ」
「確かに……金髪ではない、ですわ。それに髪を染めたら……ガシゴリになりますものね」
「染めてもいいけど、無意味に傷めつけるのもな」
「止めた方が宜しいです」
ミシー様の銀髪は、今日も美しくサラサラだもの。染めた形跡すら感じられないわ。
しかし、知らなかったけどこの美しいお色味はお父様に似てらっしゃるのね……。ティナー侯爵は、文系イケメンなのかしら。ミシー様に似ておられるのか、地味に気になるわ。ゴツいオッサン騎士とかムサ系騎士に囲まれてると癒やしが欲しくて……。線の細い殿方、万歳三唱よ。プリーズ文系イケオジ! ノーモアゴツオジ!
じゃなかった。
ま、まあ侯爵家のスペシャルヘアケアとか有るならヘアカラーしてても分からないかもだけど……。其処まで疑うのもなあ。
「違うと言ってるのにな。
王妃が取り乱す度、俺に『兄弟の庶子』を送り込んで来させる。王の庶子と信じる俺と、自分の血縁との間に子を作らせて、王位に就けるのが幸せだと……信じ込んでいるみたいだ」
ほ、本当にそんな事があり得るもんなの?そんな下種い王様を、そんな複雑な形で愛するもんかしら。下種ってだけでかなりのマイナス要素よね? そんなに大恋愛なの……? そんな噂、巷には広がってないわよね……。
それに、愛する人との子供が欲しいったって……ねえ。差し向けてるとされる女性は兄弟の子供だし、そもそも浮気されまくっても愛は残ってるの?
なーんか、違う気がするのよ。そんなマニアックな愛は……マゾ変態が過ぎるわ。
下っ端な事務官の私じゃ、肖像画位しか王妃様を存じ上げないけど……。
て言うか、王妃様がマジドアマットヒロイン過ぎやしないかしら。高貴な身の上の方にそんな事思うの不敬だけど。
ヒロインは、何の苦労もせず今の所ジャージ氏略奪しかしてないものね。やだ! 悪女!
「そんな……。でも、王妃様が送り込んでいるという証拠は有りますの?」
「無い。でも、送り込まれてきた女共は、王妃の差し金だと言うもんだからね……」
「冤罪の可能性も有りますわよ……」
「ただ、実際怒り狂って正気を無くしている所を宮廷に仕える人間なら一度は見たことが有る。有名だからな」
「正気を……」
うーむむむむ。やったとも、やってないとも……判断がつきにくいってことね。
でもなあ……。不貞をやらかしまくった夫に対する正当な怒りをヒステリー扱いとか……どうなってんのよ。
王妃様のお味方はおられないの?
高貴な公爵令嬢なんでしょうに! お偉いさんには取り巻き山盛り盛りで庇いまくりじゃないの? なーんか腑に落ちないわねえ。
ミシー様も、この口調では八割方王妃様の差し金だと信じておられるみたいだし……。でも、違和感バリバリだわ。乙女ゲーム関係無いけど、私の勘が何かおかしいと告げているの。
「勿論、王妃は狂っていると認めない。正気に戻ると覚えていないらしいからな。冤罪の可能性も有るにはある。でも」
「そうだとしたら、王妃様の兄弟は何故止めませんの。
血を分けた子供でしょうに!」
「彼らは、何とも思わないな。
若い頃のやらかしが処理出来るからだろう。そもそもあいつらが黒幕だって可能性も、高い」
「あやつらも屑だからな」
「うおおあお、何てこと……」
お、思った以上に酷いお話だったわ。王妃の兄弟が、身分の低い女性達に産ませた子供がストーカー……になった女官達の正体。
でも、差し向けたのは王妃様じゃないのかも? って。
……謎が深まりすぎる……。
「兎に角、王太子ナッタート殿下があの騒ぎで国王を何とかしようとしてるその隙に、我が家に刺客が差し向けられているという訳だ。多分」
「多分って。
其処の裏取りは有りませんの? 余所からの刺客では?」
「これから吐かせる!」
ざ、雑なお仕事過ぎるわ。これからって……そんな雑で良い訳無いのに!
「まあ、その気楽で苛烈なジョーサイドの気性は、陽動向きではあるよね……」
「何だと!?」
「お館様! 王太子殿下より書状が参りましたぞ!!」
え!? 王太子殿下から!? あんなにイガミ合ってたのに……。使用人から渡された手紙をお近くでオデコ突き合わせて見てるわ。
ミシー様と伯父様のノリが分からんわね。
「うむ! 知らせご苦労であった!」
「……残念ながら王は、痛ましい事故に遭われた、か」
「えっ、事故に!? そんな……この状況下で!?」
そんなタイムリーな事故有る? 怪しいなあ……。
「天井の照明が不幸にも落ちて来たらしい。
困ったことだな。王妃の兄弟達が、ちゃんと点検の仕事をさせていないばかりに」
「えっ……」
……王妃様の兄弟……照明の担当なの? 意外と地味なポジションなのね。
でも、照明に関する部署……正式名称は忘れたけど、滅茶苦茶高価な油や蝋燭の横流しが酷くて、って噂……。騎士団で本格調査が始まるかって、なってたわ。アレの事!?
それはそうとして……崩落事故に遭われた、本当の王子王女様がたと、似たシチュエーション……よね。
オマケに、取ってつけたような王妃様のご兄弟への責任問題。
此処で、陽動している内に……王太子殿下がやっちゃわれたとしたら。
コレって、やっぱり滅茶苦茶人為的……?
……倒れた私をダシにして、舞台裏で陽動してたってこと!?
……うう、事態が事態なだけに、抗議もしにくいわ!
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