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ドジな兵士、復帰する
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「ルーキア、ジドが復帰したぞ」
「ん? ま、まあ、良かったですわね」
騎士団事務官のゆったりした上着に、タイトなスカートを装備し!キチンと机に向かって羽ペンを優雅に動かす!!
本来のルーキア、此処に推参!! ビシッ!!
とか椅子の上に片足上げてポーズ付けてたら後ろから声が!!
うう、見られたかしら。マッケイさん(同じ事務官員男性)が昼休憩で居ないから、気が抜けてた!!
「ルーキア、何か……滅茶苦茶世話になったみたいで」
「え!! え、ええ、ええとも! 滅茶苦茶大変でしたわ」
「ええとも?」
そうよ、うら若きコスプレ趣味皆無の乙女にあんなバイザー付き兜に板金鎧フル装備のイレギュラーな格好なんてさせて!!
偶々、兜の在庫が有って良かったわ! 他の兵士の使用済みは恐ろしい臭いだったもの。
鎧兜は何を置いても早く洗って!! って啓蒙活動しなきゃならないわね。チラシを作って、給料明細に挟もうかしら。許可を取らなきゃなー。
「そこは……大丈夫でしたよとかは言わないんだ……」
「大人しいだけでは駄目だと、キリエの件で自覚致しました」
これからちゃんと自立した事務でいなきゃね! キリッ! としてみせるわよ。さっきはちょっと油断しただけよ! そうよさっきのポージング姿は忘れろ!!
「それであの……何でオレの鎧が……? 何で訓練所の……真っ黒な大鍋の中に?」
「ああ、アレですか。あまりにも不潔な臭いだったので、廃棄予定の柑橘の皮と炭の粉を混ぜたお湯で煮てます」
「……」
そうなのよね。
あの時は色々有って気づかなかったけど、あの着せられてた板金鎧、ジドのらしかったのよ。背格好が似てるからって、似てないわ!! 失礼な!!
でもまあ、体型的に着れたから着てたけど。
しかし何と! 手入れされていたのは、表側のみ!!
……アドレナリンが切れて正気に戻ったら、臭うの何のって。鼻が曲がるかと思ったわ。
臭いを落とすのに、宿舎のお湯を使いすぎだって怒られた位にね。
だから、訓練場に置き去りにしてあった古い鍋で、つい! 憎き悍ましい臭いの鎧……食堂から貰ったミカンの皮込みを煮ちゃってたわ。ええ、許可も兵士長に頂いたし、ちゃんと焚き火の消火もしたわよ! 今は浸け置き中なだけ!
「あの臭いのせいで石鹸が2個消え失せましたの。弁償して頂けます?」
「……こ、こんな子……だっけ? ……ええと、石鹸……。さっき買ってきたから、あげるよ……」
「……」
冗談だけど、言ってみるもんね。ちょっと申し訳無かったかしら。
でも、どデカいお鍋で消臭するのも大変だったんだから!!
「あの、でも、キリエを蹴飛ばしたのは良くないよ……。アイツも苦労していて」
「黙らんか部外者が。お前は職務中に不埒な手を伸ばしてきたキリエを! 庇うというのか!? 下郎!!」
「ヒッ!?」
あらしまったわ。この間の余波(伯父様を意識した殺気)が漏れちゃったかしら。んもう! ジドったら変な事ばっか言うんだから!
「ル、ルーキア! 病み上がり! ジドは病み上がりだから!!」
「でも兵士長!正当防衛なのにジドったら、酷いですわ」
「さ、さっきの……殺気……」
「シッ!! 馬鹿!! キリエの二の舞いに……」
兵士長がジドを連れて行ってしまったわ。やれやれよ。何だったのかしら。まーた事務室が静かになっちゃったわ。
「ん? ま、まあ、良かったですわね」
騎士団事務官のゆったりした上着に、タイトなスカートを装備し!キチンと机に向かって羽ペンを優雅に動かす!!
本来のルーキア、此処に推参!! ビシッ!!
とか椅子の上に片足上げてポーズ付けてたら後ろから声が!!
うう、見られたかしら。マッケイさん(同じ事務官員男性)が昼休憩で居ないから、気が抜けてた!!
「ルーキア、何か……滅茶苦茶世話になったみたいで」
「え!! え、ええ、ええとも! 滅茶苦茶大変でしたわ」
「ええとも?」
そうよ、うら若きコスプレ趣味皆無の乙女にあんなバイザー付き兜に板金鎧フル装備のイレギュラーな格好なんてさせて!!
偶々、兜の在庫が有って良かったわ! 他の兵士の使用済みは恐ろしい臭いだったもの。
鎧兜は何を置いても早く洗って!! って啓蒙活動しなきゃならないわね。チラシを作って、給料明細に挟もうかしら。許可を取らなきゃなー。
「そこは……大丈夫でしたよとかは言わないんだ……」
「大人しいだけでは駄目だと、キリエの件で自覚致しました」
これからちゃんと自立した事務でいなきゃね! キリッ! としてみせるわよ。さっきはちょっと油断しただけよ! そうよさっきのポージング姿は忘れろ!!
「それであの……何でオレの鎧が……? 何で訓練所の……真っ黒な大鍋の中に?」
「ああ、アレですか。あまりにも不潔な臭いだったので、廃棄予定の柑橘の皮と炭の粉を混ぜたお湯で煮てます」
「……」
そうなのよね。
あの時は色々有って気づかなかったけど、あの着せられてた板金鎧、ジドのらしかったのよ。背格好が似てるからって、似てないわ!! 失礼な!!
でもまあ、体型的に着れたから着てたけど。
しかし何と! 手入れされていたのは、表側のみ!!
……アドレナリンが切れて正気に戻ったら、臭うの何のって。鼻が曲がるかと思ったわ。
臭いを落とすのに、宿舎のお湯を使いすぎだって怒られた位にね。
だから、訓練場に置き去りにしてあった古い鍋で、つい! 憎き悍ましい臭いの鎧……食堂から貰ったミカンの皮込みを煮ちゃってたわ。ええ、許可も兵士長に頂いたし、ちゃんと焚き火の消火もしたわよ! 今は浸け置き中なだけ!
「あの臭いのせいで石鹸が2個消え失せましたの。弁償して頂けます?」
「……こ、こんな子……だっけ? ……ええと、石鹸……。さっき買ってきたから、あげるよ……」
「……」
冗談だけど、言ってみるもんね。ちょっと申し訳無かったかしら。
でも、どデカいお鍋で消臭するのも大変だったんだから!!
「あの、でも、キリエを蹴飛ばしたのは良くないよ……。アイツも苦労していて」
「黙らんか部外者が。お前は職務中に不埒な手を伸ばしてきたキリエを! 庇うというのか!? 下郎!!」
「ヒッ!?」
あらしまったわ。この間の余波(伯父様を意識した殺気)が漏れちゃったかしら。んもう! ジドったら変な事ばっか言うんだから!
「ル、ルーキア! 病み上がり! ジドは病み上がりだから!!」
「でも兵士長!正当防衛なのにジドったら、酷いですわ」
「さ、さっきの……殺気……」
「シッ!! 馬鹿!! キリエの二の舞いに……」
兵士長がジドを連れて行ってしまったわ。やれやれよ。何だったのかしら。まーた事務室が静かになっちゃったわ。
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