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暴れお嬢様と懲りない侯爵
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「そもそも、ご家族とロイド様に暴言を吐き、ご実家をお棄てになられたのはそちらですわよね?」
「他人が口出しすんな!! アチシは跡継ぎ様だぞ!!」
「そのお立場を嫌がって出ていかれて、冒険者になられる夢を叶えられたのでは?」
「ちょ、ちょっと……それは、ムズかったよ!! 金が要るの!!」
……そりゃそうで御座いましょうね。
冒険者のように方々を旅してる方を、小銭を持った素人がフラフラと気軽に探せる訳が有りませんわ。
「アチシ……わたし、苦労したのよお父様!ひとりで着替えて、ひとりで庶民の店でご飯を食べて……!!お金を払わないってだけで庶民の宿に追い出されたの!可哀想でしょ!?」
「当たり前で普通ですわね……」
「当たり前で普通だね」
鼻息荒く実の父親に意味不明な『アチシ可哀想』を訴えてらっしゃいますが、呆れますわね。
本当に短い間でも冒険者に連れて貰ってましたの?庶民の暮らしを体験したとは思えない
思わずお父様と声がダブってしまいましたわ……。
「メリリーン、苦労して……」
「カワイソーでしょ、お父様!!」
いや、其処で何故涙ぐみますの侯爵様⁉
この方、本当に激甘で駄目親ですわね!! 思わずロイド様と顔を見合わせてしまいましたわよ。
「ズガタカ侯爵?
勘当した子供にもお情けですか。流石未来ある若者の素晴らしい時間を無駄にしてきただけの事はある」
「ヒッ、いえ、あの……」
……お父様があの……武に秀でてもらっしゃらないモヤシなお父様が……。軍人であられるズガタカ侯爵を一睨みで黙らせてしまわれました。
……案外迫力有りますのね。本当に元々公爵令息でいらっしゃったようですわ。今も6割がた信じられませんもの。
「何なんだよ地味オッサン! すっこんでろ!」
……何と言うか、物怖じされないのは凄いですわよね。全く空気を読まれないと言うか。
あの方のお立場なら、今はかなりの神経を使う正念場でしょうに。
「ハハハ、侯爵。縁を切っただけの事はある素晴らしい教育ですな。これからズガタカ子育て流とお呼びせねば」
「もももももも申し訳無い!!
本当にもう、この子とは縁を切っているので!!
だ、黙りなさいメリリーン!! お前にはもう、我が家に立ち入る事は出来んのだ!!」
実のお父様に断られたお嬢様、いえメリリーンさんは私をギラギラした目で睨まれました。
……いや、今はご自身のお父様を睨むシーンでは? 私のターンでは無かったですわよ。
「ロイド! ロイド助けてよ!」
「……メリリーン、もう無理だ」
「オマエ、アチシの子分……婚約者だろ!! ゆー事聞けよ! 役立たず!!」
何ですって⁉
金切り声で叫ばれたその言葉が、怒りとなって……私の脳に染み渡りました。
「散々ご迷惑を掛けたのは貴女でしょうが!! ロイド様は役立たず等では有りません!」
「シェ、シェリカ……」
「うるさいうるさい!! オマエなんか汚い庶民モドキの癖に!! ロイドもアチシが拾わなきゃゴミ決定っ子の癖に!
ナマイキ!!ウザい! 失せろ!」
滅茶苦茶に両手を振り回し、掴みかかって来たメリリーンさんを、ロイド様が止めてくださろうとして!
血が……⁉
……まさか、メリリーンさんに引っ掛かれてしまわれましたの!!
「ちょっと、ロイド様に何をしますの!! お退きなさい!!」
「シェリカ、来るんじゃない!!」
「ロイド様!!」
いや、こんなにテンヤワンヤしてるのに、止める手は⁉
護衛の方は⁉
あっ、お父様の横に居ますけど微動だにしないのは何故⁉ 止めなさいよ!! 侯爵家の人々も全く役に立たないんですが⁉ いえ、執事さんや侍女さんに力仕事は無理でも、護衛の方々!!
「……ロイド様!!」
「メリリーン、止めろ!! くっ!! 女性を殴る訳には……」
「グハと結婚してラブラブに侯爵家を継ぐのはアチシなんだーーー!!」
「させる訳なかろう!! もう堪忍ならん! お前のような女性を決して復帰させんぞ!!」
メリリーンさんの仰ることは滅茶苦茶勝手ですわね⁉ 何故、侯爵様もお止めにならずにボケッとオロオロしてますのよ!!
ああもう、私が殴れば宜しいんですの⁉でも、婚約式で人を殴っては流石に立場が……!!
「って、言ってるけどどうする? ボルグハース」
「御免ですね」
「え」
……え? 誰?
「ぐ、グハ? ぎゃうん⁉」
「偽名です」
「シュートックの名に於いて宣言しよう。不合格だね、ズガタカ家」
「はっ、えっ⁉」
……あっという間に、メリリーンさんの腕を捻り上げて床に沈めておしまいに……。
いや……えええ?強⁉ あのお父様の影に控えてた護衛、強い!
「そして、ロイド殿、合格ラインだね」
お父様のドヤ顔を……はたきたいのですが!!
「他人が口出しすんな!! アチシは跡継ぎ様だぞ!!」
「そのお立場を嫌がって出ていかれて、冒険者になられる夢を叶えられたのでは?」
「ちょ、ちょっと……それは、ムズかったよ!! 金が要るの!!」
……そりゃそうで御座いましょうね。
冒険者のように方々を旅してる方を、小銭を持った素人がフラフラと気軽に探せる訳が有りませんわ。
「アチシ……わたし、苦労したのよお父様!ひとりで着替えて、ひとりで庶民の店でご飯を食べて……!!お金を払わないってだけで庶民の宿に追い出されたの!可哀想でしょ!?」
「当たり前で普通ですわね……」
「当たり前で普通だね」
鼻息荒く実の父親に意味不明な『アチシ可哀想』を訴えてらっしゃいますが、呆れますわね。
本当に短い間でも冒険者に連れて貰ってましたの?庶民の暮らしを体験したとは思えない
思わずお父様と声がダブってしまいましたわ……。
「メリリーン、苦労して……」
「カワイソーでしょ、お父様!!」
いや、其処で何故涙ぐみますの侯爵様⁉
この方、本当に激甘で駄目親ですわね!! 思わずロイド様と顔を見合わせてしまいましたわよ。
「ズガタカ侯爵?
勘当した子供にもお情けですか。流石未来ある若者の素晴らしい時間を無駄にしてきただけの事はある」
「ヒッ、いえ、あの……」
……お父様があの……武に秀でてもらっしゃらないモヤシなお父様が……。軍人であられるズガタカ侯爵を一睨みで黙らせてしまわれました。
……案外迫力有りますのね。本当に元々公爵令息でいらっしゃったようですわ。今も6割がた信じられませんもの。
「何なんだよ地味オッサン! すっこんでろ!」
……何と言うか、物怖じされないのは凄いですわよね。全く空気を読まれないと言うか。
あの方のお立場なら、今はかなりの神経を使う正念場でしょうに。
「ハハハ、侯爵。縁を切っただけの事はある素晴らしい教育ですな。これからズガタカ子育て流とお呼びせねば」
「もももももも申し訳無い!!
本当にもう、この子とは縁を切っているので!!
だ、黙りなさいメリリーン!! お前にはもう、我が家に立ち入る事は出来んのだ!!」
実のお父様に断られたお嬢様、いえメリリーンさんは私をギラギラした目で睨まれました。
……いや、今はご自身のお父様を睨むシーンでは? 私のターンでは無かったですわよ。
「ロイド! ロイド助けてよ!」
「……メリリーン、もう無理だ」
「オマエ、アチシの子分……婚約者だろ!! ゆー事聞けよ! 役立たず!!」
何ですって⁉
金切り声で叫ばれたその言葉が、怒りとなって……私の脳に染み渡りました。
「散々ご迷惑を掛けたのは貴女でしょうが!! ロイド様は役立たず等では有りません!」
「シェ、シェリカ……」
「うるさいうるさい!! オマエなんか汚い庶民モドキの癖に!! ロイドもアチシが拾わなきゃゴミ決定っ子の癖に!
ナマイキ!!ウザい! 失せろ!」
滅茶苦茶に両手を振り回し、掴みかかって来たメリリーンさんを、ロイド様が止めてくださろうとして!
血が……⁉
……まさか、メリリーンさんに引っ掛かれてしまわれましたの!!
「ちょっと、ロイド様に何をしますの!! お退きなさい!!」
「シェリカ、来るんじゃない!!」
「ロイド様!!」
いや、こんなにテンヤワンヤしてるのに、止める手は⁉
護衛の方は⁉
あっ、お父様の横に居ますけど微動だにしないのは何故⁉ 止めなさいよ!! 侯爵家の人々も全く役に立たないんですが⁉ いえ、執事さんや侍女さんに力仕事は無理でも、護衛の方々!!
「……ロイド様!!」
「メリリーン、止めろ!! くっ!! 女性を殴る訳には……」
「グハと結婚してラブラブに侯爵家を継ぐのはアチシなんだーーー!!」
「させる訳なかろう!! もう堪忍ならん! お前のような女性を決して復帰させんぞ!!」
メリリーンさんの仰ることは滅茶苦茶勝手ですわね⁉ 何故、侯爵様もお止めにならずにボケッとオロオロしてますのよ!!
ああもう、私が殴れば宜しいんですの⁉でも、婚約式で人を殴っては流石に立場が……!!
「って、言ってるけどどうする? ボルグハース」
「御免ですね」
「え」
……え? 誰?
「ぐ、グハ? ぎゃうん⁉」
「偽名です」
「シュートックの名に於いて宣言しよう。不合格だね、ズガタカ家」
「はっ、えっ⁉」
……あっという間に、メリリーンさんの腕を捻り上げて床に沈めておしまいに……。
いや……えええ?強⁉ あのお父様の影に控えてた護衛、強い!
「そして、ロイド殿、合格ラインだね」
お父様のドヤ顔を……はたきたいのですが!!
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