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お父様がやらかされてました!?
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どうしましょう。
私はシェリカ・シュートック。
見知らぬお屋敷で目を覚ますという、とんでもない体験をした男爵家の三女。
モメてて貧乏な家が更に険悪になりましたから、合法的に出たくて勤めたお屋敷で勤労する、健気な17歳ですの。
そんな私の前には……髪も瞳も青い幼い女の子。
そしてお父様のカラバリが、いえ、激難間違い探しレベルで激似の方が居ますのよ……。
何でですの。
このお屋敷、お勤め先の侯爵家よりグレードが3ランク位上ですわよ……!! いえ、もっと⁉
ああ、混乱しか有りませんけれど!!
「私は君の父親カルバートの年子の弟、カーディフ。君の叔父に当たるんだ。
当主は私達の父で君の祖父カーソン。そして、この子は君の従妹アマリエだね」
「こんにゃちはー、シェリカしゃま」
「お、お人違いでは……」
そんな血縁関係聞いた事も、見たことも、妄想……はちょくちょくありますけれど!!ですけれど普通でしょう⁉ 手の届かない世界を夢想する位!
でも口に……高位貴族のご令嬢のドレスを友達と羨んで……。いいわねー、あんな素敵なドレス着たいわー! 位しか羨んでおりませんし!!
と言うかこのカラバリの方、年鑑の前の方に載ってるお方ですわよね!!
おそ、恐っれ多……! ああ!!
しかもこの小さなお嬢様のアマリエ様……何処と無く小さい頃の自分に似ているのに、お可愛らしい!
「カーディフ、遅れて悪かった」
「お父様⁉」
な、並ばれると更にカラバリ感が増しますわ……。これは他人の空似では済まされませんレベルです。
……そしてこの……馴れ馴れしい家族間の空気と言いますか……。
「シェリカ、大変だったみたいだね。……シェリーナは相変わらず厳しいな……。僕のせいか」
「兄さん……」
「おじちゃま?」
何で髪の色が違いますのよ、とか。侯爵家にクビにされた事を怒っていませんの? とか……。
色々と捲し立てたいのですけれど……。
心配そうに居られるお父様のカラバリ、いえカーディフ様とアマリエ様の前ではそんなみっとも無いことは出来ませんし。
「でも、此れで手続きが終われば……お前は良い所に住めて良い暮らしが出来るからね」
何て事。ボケッと色々考え込んで居たら、お父様が狂ってしまわれたんですの⁉
我が家の出稼ぎ系の大黒柱が!! 一体どうやって正気に戻したら宜しいの⁉
「目を覚まして有り得ないわ! お父様!! お医者様を!! そんなミラクル起こり得ないわ! 降って湧いた話は詐欺ですわよ⁉ 警備騎士を!!」
「ハハハ、しっかりしてるね」
「ハハハじゃ御座いませんわカラバ……」
「うん?」
「か、カーディフ様。こ、公爵令息様」
「こんなオジサンだから令息ってのも恥ずかしいね。
突然だが、僭称王女ペチャンカを知っているかな?」
……はい?本当に突然ですわね……。ペチャンコ?いえ、僭称王女?
……何のお話かしら。訳の分からない私を混乱させて秘密裏に処刑したいのかしら……。
もしかして、この目の前にいるお父様も、実はそっくりさん……⁉ ああ、どうやって此処から逃げましょう……。
どう頑張っても割れそうな窓では有りませんし!!
「き、聞いたことも御座いませんわ」
「兄上は丁度君くらいの歳にその女に騙されてね。
やらかしてしまったのさ」
「そのお陰でシェリーナと言う女神に出会えた訳だが……」
あの岩塩鉱と名高いお母様を女神呼ばわり……。
間違いなくお父様だわ。
でも……それならばおかしいわ。
「あの、少し宜しいでしょうか」
「何かな?」
……振り返り方迄そっくりですわね。まさしくカラバリ……。
「そもそも……やらかしが何かは存じませんが、名門公爵家では縁切りの上追放が常套手段では?
仮にお父様がやらかして公爵家を追い出されてお母様が拾ったのなら……。
何故、のうのうとお屋敷に入れて頂いておりますの?」
その手の追い出され話は、社交界の片隅でも垂れ流しですからよく伺いますわよ。
「流石、僕とシェリーナの娘。シェリカは賢いね」
「お母様アゲは宜しいですから、早く理由を仰って」
「兄上はやらかしが控え目だったのでね」
やらかしに控え目とか有るんですの? 言語の学者様では有りませんから私の主観ですが……。
普通、『やらかし』とは……どうしようもない取り返しのつかない行いなのでは?
「まあ、その僭称王女に騙されて兄上は長年の婚約者とお別れして、嫡子の座を退かれたのさ」
「一大事ですけれど⁉」
何やらかしてくれてますのよこのオッサン!!
私はシェリカ・シュートック。
見知らぬお屋敷で目を覚ますという、とんでもない体験をした男爵家の三女。
モメてて貧乏な家が更に険悪になりましたから、合法的に出たくて勤めたお屋敷で勤労する、健気な17歳ですの。
そんな私の前には……髪も瞳も青い幼い女の子。
そしてお父様のカラバリが、いえ、激難間違い探しレベルで激似の方が居ますのよ……。
何でですの。
このお屋敷、お勤め先の侯爵家よりグレードが3ランク位上ですわよ……!! いえ、もっと⁉
ああ、混乱しか有りませんけれど!!
「私は君の父親カルバートの年子の弟、カーディフ。君の叔父に当たるんだ。
当主は私達の父で君の祖父カーソン。そして、この子は君の従妹アマリエだね」
「こんにゃちはー、シェリカしゃま」
「お、お人違いでは……」
そんな血縁関係聞いた事も、見たことも、妄想……はちょくちょくありますけれど!!ですけれど普通でしょう⁉ 手の届かない世界を夢想する位!
でも口に……高位貴族のご令嬢のドレスを友達と羨んで……。いいわねー、あんな素敵なドレス着たいわー! 位しか羨んでおりませんし!!
と言うかこのカラバリの方、年鑑の前の方に載ってるお方ですわよね!!
おそ、恐っれ多……! ああ!!
しかもこの小さなお嬢様のアマリエ様……何処と無く小さい頃の自分に似ているのに、お可愛らしい!
「カーディフ、遅れて悪かった」
「お父様⁉」
な、並ばれると更にカラバリ感が増しますわ……。これは他人の空似では済まされませんレベルです。
……そしてこの……馴れ馴れしい家族間の空気と言いますか……。
「シェリカ、大変だったみたいだね。……シェリーナは相変わらず厳しいな……。僕のせいか」
「兄さん……」
「おじちゃま?」
何で髪の色が違いますのよ、とか。侯爵家にクビにされた事を怒っていませんの? とか……。
色々と捲し立てたいのですけれど……。
心配そうに居られるお父様のカラバリ、いえカーディフ様とアマリエ様の前ではそんなみっとも無いことは出来ませんし。
「でも、此れで手続きが終われば……お前は良い所に住めて良い暮らしが出来るからね」
何て事。ボケッと色々考え込んで居たら、お父様が狂ってしまわれたんですの⁉
我が家の出稼ぎ系の大黒柱が!! 一体どうやって正気に戻したら宜しいの⁉
「目を覚まして有り得ないわ! お父様!! お医者様を!! そんなミラクル起こり得ないわ! 降って湧いた話は詐欺ですわよ⁉ 警備騎士を!!」
「ハハハ、しっかりしてるね」
「ハハハじゃ御座いませんわカラバ……」
「うん?」
「か、カーディフ様。こ、公爵令息様」
「こんなオジサンだから令息ってのも恥ずかしいね。
突然だが、僭称王女ペチャンカを知っているかな?」
……はい?本当に突然ですわね……。ペチャンコ?いえ、僭称王女?
……何のお話かしら。訳の分からない私を混乱させて秘密裏に処刑したいのかしら……。
もしかして、この目の前にいるお父様も、実はそっくりさん……⁉ ああ、どうやって此処から逃げましょう……。
どう頑張っても割れそうな窓では有りませんし!!
「き、聞いたことも御座いませんわ」
「兄上は丁度君くらいの歳にその女に騙されてね。
やらかしてしまったのさ」
「そのお陰でシェリーナと言う女神に出会えた訳だが……」
あの岩塩鉱と名高いお母様を女神呼ばわり……。
間違いなくお父様だわ。
でも……それならばおかしいわ。
「あの、少し宜しいでしょうか」
「何かな?」
……振り返り方迄そっくりですわね。まさしくカラバリ……。
「そもそも……やらかしが何かは存じませんが、名門公爵家では縁切りの上追放が常套手段では?
仮にお父様がやらかして公爵家を追い出されてお母様が拾ったのなら……。
何故、のうのうとお屋敷に入れて頂いておりますの?」
その手の追い出され話は、社交界の片隅でも垂れ流しですからよく伺いますわよ。
「流石、僕とシェリーナの娘。シェリカは賢いね」
「お母様アゲは宜しいですから、早く理由を仰って」
「兄上はやらかしが控え目だったのでね」
やらかしに控え目とか有るんですの? 言語の学者様では有りませんから私の主観ですが……。
普通、『やらかし』とは……どうしようもない取り返しのつかない行いなのでは?
「まあ、その僭称王女に騙されて兄上は長年の婚約者とお別れして、嫡子の座を退かれたのさ」
「一大事ですけれど⁉」
何やらかしてくれてますのよこのオッサン!!
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