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当主継承は困難が多そうで
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「先ずは、お父様から当主権限を奪……譲渡して頂く事よね」
ロベルト様には、安らかな休息をして頂いて……勿論見張りと施錠は完璧よ!
今回も逃げられてたまるものですか。
「旦那様はアッサリとお渡しされそうですが、奥様がややこしいかと」
まあ、じいが意外なことを言い出したわね。あの両親が爵位譲渡を拒むかしら……。仕事と言えば逃げ出すか放り出す両親が……。
あの二人、本当に現代的な貴族教育受けてたのかしら?
父方はスパルタだし、母方も厳格なのに……。
何故あんなナチュラル怠け者が爆誕しているの。おかしいわ。
去年の歌劇のように、改造手術でも受けたのかしら。
だから一般的な貴族らしくなく、ややこしいのかしらね……。実にそう思いたいわ。
「お母様が拒むかしら……?
あの人、同世代から毛虫レベルで嫌われているから社交も無いじゃない。私が小さい頃から常に独りぼっちよね?
そのお陰で私も令嬢のお友達が殆ど居ないし……。
ナタ伯爵夫人であるメリットって、何か有ったかしら?」
領地を巡って慰安とか……見たことすら無いわね。
そう言うのは、昔は専らお祖母様任せだったもの。お祖母様も足がお悪くなられたから今は私が担ってるけれど……!
「商人を呼び寄せる時なんかは、ドヤ顔でお使いですね」
「使い方が間違ってるわね、相変わらず」
商人って……。
古風なメルヘンチックドレス購入か、大昔から集めてるメルへちゃん人形購入位しか呼んでないわよね……。
女児みたいな物しか欲しがらないから、ある意味安上がりな人なんだけどその辺りも同世代に嫌われてしまうのでしょうね……。
「そんなに『幼いお姫様』でいたいなら、お父様に張り付いていればいいのよ」
「旦那様は早……いえ、散歩のような乗馬に夢中ですからなあ……。
屋内でお人形と戯れる奥様をチヤホヤされるのは、無理かと」
「面倒な夫婦ねえええ!」
本人達曰く劇的に、包括的に迷惑千万結婚しといて!
バラけずに、くっついておいて欲しいわ!
「兎に角、お母様には新しいメルへちゃん人形でも同封しておきましょう。
新たな服が欲しければ、爵位を快く譲るようお父様にお願いして、とも書いておくわ」
「奥様の事をよくご存知ですな」
はあ……。親なのに世話の掛かる話だわ。
「後は大旦那様ですな……」
「未だ着かないのかしら。いい加減話を纏めたいわ……」
「急に爵位継承を決意されましたからな」
「き、聞こえづらいわねえ」
じいったら、意地悪じゃないかしら!
「それと、ロベルト・オヤブロー殿の方はどうなさいます?」
「暴行被害は届けたのよね? それと、劇団からの被害も」
「朝の内に」
「身の上話は御本人から聞かれるので?」
「そ、それがベストだけれど……。
やっぱり早く知りたいから、調べておいて!」
救ってくれた私に何らかの好意を抱いてくださって、身の上話を聞かせて頂いて……。
君は優しいな、なーんて! なーんて! そんな展開になれば良いのだけれど!
「只今そういう関係になられると、此方が不利ですよ。お嬢様」
「解ってるわよ!」
婚約者(直ぐ破棄予定)が居座っているのだから、手を握る事すら出来なかったんじゃない!
外聞があるから、夢の中でしか握手会にも行けてないのに! ううう、悲し過ぎるわ!
「ああ、腹の立つことね。
ヤヤッカラって、私に固執する程そんなにお金に困っているのかしら……。今からでも速やかに困り倒して自滅すればいいのに……」
「鳴かず飛ばずの財政では有りますな」
「中途半端ね……」
まあ、あの口が上手いだけの当主じゃ栄えそうにないものね……。
かと言って、大掛かりな悪事を働くまででも無いイラッとする一族だわ……。でも、自分も大して能力もなく、息子は顔は良いボンクラのやる気のない跡取りだし……。
……当主がイラッとする要素は山盛りね。でも、私に荷物を丸投げして良い訳ではないのよ。
「お嬢様、大旦那様が到着されました」
「まあ、やっとなのね!」
「ぎゃー!」
えっ、何!? ホッとした途端、急にお祖父様の叫び声が!!
「大旦那様がか、玄関ポーチの階段を踏み外されました!」
「3段しかないのに!?」
何なのよ、アクシデントばっかり!
ロベルト様には、安らかな休息をして頂いて……勿論見張りと施錠は完璧よ!
今回も逃げられてたまるものですか。
「旦那様はアッサリとお渡しされそうですが、奥様がややこしいかと」
まあ、じいが意外なことを言い出したわね。あの両親が爵位譲渡を拒むかしら……。仕事と言えば逃げ出すか放り出す両親が……。
あの二人、本当に現代的な貴族教育受けてたのかしら?
父方はスパルタだし、母方も厳格なのに……。
何故あんなナチュラル怠け者が爆誕しているの。おかしいわ。
去年の歌劇のように、改造手術でも受けたのかしら。
だから一般的な貴族らしくなく、ややこしいのかしらね……。実にそう思いたいわ。
「お母様が拒むかしら……?
あの人、同世代から毛虫レベルで嫌われているから社交も無いじゃない。私が小さい頃から常に独りぼっちよね?
そのお陰で私も令嬢のお友達が殆ど居ないし……。
ナタ伯爵夫人であるメリットって、何か有ったかしら?」
領地を巡って慰安とか……見たことすら無いわね。
そう言うのは、昔は専らお祖母様任せだったもの。お祖母様も足がお悪くなられたから今は私が担ってるけれど……!
「商人を呼び寄せる時なんかは、ドヤ顔でお使いですね」
「使い方が間違ってるわね、相変わらず」
商人って……。
古風なメルヘンチックドレス購入か、大昔から集めてるメルへちゃん人形購入位しか呼んでないわよね……。
女児みたいな物しか欲しがらないから、ある意味安上がりな人なんだけどその辺りも同世代に嫌われてしまうのでしょうね……。
「そんなに『幼いお姫様』でいたいなら、お父様に張り付いていればいいのよ」
「旦那様は早……いえ、散歩のような乗馬に夢中ですからなあ……。
屋内でお人形と戯れる奥様をチヤホヤされるのは、無理かと」
「面倒な夫婦ねえええ!」
本人達曰く劇的に、包括的に迷惑千万結婚しといて!
バラけずに、くっついておいて欲しいわ!
「兎に角、お母様には新しいメルへちゃん人形でも同封しておきましょう。
新たな服が欲しければ、爵位を快く譲るようお父様にお願いして、とも書いておくわ」
「奥様の事をよくご存知ですな」
はあ……。親なのに世話の掛かる話だわ。
「後は大旦那様ですな……」
「未だ着かないのかしら。いい加減話を纏めたいわ……」
「急に爵位継承を決意されましたからな」
「き、聞こえづらいわねえ」
じいったら、意地悪じゃないかしら!
「それと、ロベルト・オヤブロー殿の方はどうなさいます?」
「暴行被害は届けたのよね? それと、劇団からの被害も」
「朝の内に」
「身の上話は御本人から聞かれるので?」
「そ、それがベストだけれど……。
やっぱり早く知りたいから、調べておいて!」
救ってくれた私に何らかの好意を抱いてくださって、身の上話を聞かせて頂いて……。
君は優しいな、なーんて! なーんて! そんな展開になれば良いのだけれど!
「只今そういう関係になられると、此方が不利ですよ。お嬢様」
「解ってるわよ!」
婚約者(直ぐ破棄予定)が居座っているのだから、手を握る事すら出来なかったんじゃない!
外聞があるから、夢の中でしか握手会にも行けてないのに! ううう、悲し過ぎるわ!
「ああ、腹の立つことね。
ヤヤッカラって、私に固執する程そんなにお金に困っているのかしら……。今からでも速やかに困り倒して自滅すればいいのに……」
「鳴かず飛ばずの財政では有りますな」
「中途半端ね……」
まあ、あの口が上手いだけの当主じゃ栄えそうにないものね……。
かと言って、大掛かりな悪事を働くまででも無いイラッとする一族だわ……。でも、自分も大して能力もなく、息子は顔は良いボンクラのやる気のない跡取りだし……。
……当主がイラッとする要素は山盛りね。でも、私に荷物を丸投げして良い訳ではないのよ。
「お嬢様、大旦那様が到着されました」
「まあ、やっとなのね!」
「ぎゃー!」
えっ、何!? ホッとした途端、急にお祖父様の叫び声が!!
「大旦那様がか、玄関ポーチの階段を踏み外されました!」
「3段しかないのに!?」
何なのよ、アクシデントばっかり!
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登場人物紹介です。ドレニス・ナタ−母親似でお芝居好きな敏腕伯爵令嬢。推し俳優はボロッサム。最近大衆演劇のせいかガラが悪い。ボロッサム(ロベルト)−ドレニスの推し俳優。実年齢より老けている?トミー・ヤヤッカラ−ドレニスの今にも別れたい婚約者。信心深い。ヤヤッカラ伯爵−婚約者の父親。取り留めがない。ドレニスの父親−乗馬を愛するサボり魔。脳筋気味だが人好きされる性格。ドレニスの母親−幼い令嬢のようなフワフワした美女。甞て王都を揺るがす婚約破棄をやってのけた。ドレニスの祖父(父方)−甞てはスパルタだが、今はそうでもない。有能だが、おっちょこちょい。マーシャル侯爵−甞て、ドレニスの母親に婚約破棄されたにも関わらず許してくれた良い人らしい。
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