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心を塗り替えられた歌
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「うう、お労しい……」
遠回りして裏門からお出になるなんて……。
せめて、堂々と表からお出になれば宜しかったのに。血が足りなくて行倒れる前に、従僕達も止めて欲しかったわ……。
男の浪漫とか痩せ我慢とか、劇中だけで良いのよ。変なメンツとかよりも、命を大事にして欲しいのよ。
「う……」
夕陽が強く差し込んできて、ロベルト様を照らしている……。しまった、西日が強く照る部屋へ運ばせるするんじゃなかったわ。
でも、夕陽の映える赤毛の額も美しく、彫りの深いお顔ねえ……。睫毛は長いし、引き結ばれた唇も男らしいわ……。
だけれど、痛みで魘されておいでだからか凛々しい眉も眉間のシワが酷いし、頬も痩けてしまわれて……栄養状態が悪いわ。きっと今までメイクで誤魔化して舞台に立たれてきたのね。
あの劇団、本当に許せない。
私の差し入れさえ渡っていれば、少々マシだったかもしれないのに……。
いえ、お菓子ばっかりだったわ。栄養が偏ってるもの糖分に特化してもダメよね。
もっとお肉とかお野菜とかお魚とか栄養を……。
ああ、不謹慎だけれど推しのお食事を考えるって、ときめくわね。
あの婚約者の輩には雨樋か溝の水を植木鉢で出してやれば良かったわ……。
「……お嬢、さん?」
「ほはっ、ロベルト様! いえ、違うんです! ご尊顔をガン見してウヘヘいえ、観察していた訳では! さっき来たところで……!」
へ、変な顔してなかったわよね!? ああ、顔が燃えるかのように熱いわ!
金色の瞳が私を映している!
「……オレみたいなのなんかの何処が良いんだか……」
「よくぞ聞いてくださいましたわ! アレは私が15歳の砌!」
「え、いや、え?」
「今となっては敏腕と称される私、ドレニスですが。
お祖父様に当主教育をゴリゴリに課されて、ベコベコに凹んでいましたの!」
「……自分から敏腕か……。ちょっと天然なのか?」
「いいえ、天然では御座いませんわ! 素直なんですの!」
「……うん、まあ……落ち着け」
はっ、しまったわ。
天然とか言われると天然人でなしのお母様を彷彿とさせるからついムキになってしまって!
後、あの婚約者の輩! 早く元婚約者にしたいわ!
「ホホホ……すみません。天然ってあまり好みでは御座いませんの……。
天然を装った迷惑者だらけに囲まれて居ましたので……」
「……恵まれたお嬢様かと思ってたが、大変なんだな」
「まあ……。人にはそれぞれの苦難が有りますわね……。比べるべくも御座いませんが……」
「それぞれの苦難を比べるべくも、ない……」
む、難しいお顔で唸られてしまったわ。
そんな深い意味はないのですけれど。
勿論貴方の方がご苦労をされてますわっ! てのも取ってつけたようですしね……。
そもそも、どんなご苦労をされたか知りもしないのに……。知っていたとしても、そんな無礼は出来ませんし。
「ま、まあ……。兎に角。護衛込みで王都のタウンハウスから家出しましたの」
「ふーん……」
き、聞いてくださるみたいだわ。
私の話で傷の痛み……は無理でも、一時的に誤魔化せるといいのだけれど。
「苛々しながら、自分の境遇を呪いましたわ。怠け者の親のせいでお祖父様にスパルタ教育を受けたこととか。
令嬢らしく優雅にのんびり出来ないだとか……まあ、今からで思えば何とも無い不安なのですが。
当時は辛くて」
ロベルト様は、瞬きしながらじっと此方をご覧になっておられますわね……。
顔どころか全身熱くなるような視線ですわ……。て、照れないようにしないと。
「でも、そうしたら。
滅茶苦茶お上手で荘厳な貴方様のお歌が、裏通りから流れてきて心を塗り替えられましたの」
「……」
「薄汚れた裏通りが栄光溢れる道に早変わりした、貴方様の『英雄凱歌』でしたわ」
そう、あの時も燃えるような夕陽が裏通りとロベルト様のお姿がシルエットとなって、絵画のようだったの。
疲弊した張り詰めた現実に負けた幼い心が、美しく描き直されたわ。
あの凛々しくも荘厳で美しい声をもう一度聴くまで、くたばるものかと勇気が溢れんばかりに湧いてきたのよ。
「そんなの……昔はよく、悪辣な役以外貰えないのに歌ったな……」
……3年前ということは、ロベルト様も16歳くらい。
英雄の凱歌を歌える主役を夢見て頑張ってらしたのね……。
ん?悪辣な約以外貰えないですって?
「……悪辣な役以外貰えないって……」
「このツラだろ?」
「ですが、ボロッサム……ロベルト様のお歌は王都一ですわ! 他の役をお断りされてるとばかり……」
「いーや、違う。
オレが嫌われモンだから、劇団はオレよりドヘタでも主役を他に回す。オレのファンを自認するなら知ってるだろ?
悪役以外演じてない事を」
「……たし、かに……」
悪役は難しいから、ボロッサムが演じなきゃ! とは思っていたけれど。
凛々しい主役を張る事だって、出来るわよね。
だけれど、故意に遠ざけられていたら……。
「まさか、その傷は劇団に……」
「悪役以外を演りたいっつったら、問答無用でボコられた。
その裏のオート川に放り込まれる所だったから……助かった」
お、おおおお!
私の視力、見つけ出して本当に良かったわ!
だけど、何故其処まで嫌うの!? いえ、虐待に理由とかどうでもいいのよ。
傷つけた奴は、処罰いえ処分よ!
遠回りして裏門からお出になるなんて……。
せめて、堂々と表からお出になれば宜しかったのに。血が足りなくて行倒れる前に、従僕達も止めて欲しかったわ……。
男の浪漫とか痩せ我慢とか、劇中だけで良いのよ。変なメンツとかよりも、命を大事にして欲しいのよ。
「う……」
夕陽が強く差し込んできて、ロベルト様を照らしている……。しまった、西日が強く照る部屋へ運ばせるするんじゃなかったわ。
でも、夕陽の映える赤毛の額も美しく、彫りの深いお顔ねえ……。睫毛は長いし、引き結ばれた唇も男らしいわ……。
だけれど、痛みで魘されておいでだからか凛々しい眉も眉間のシワが酷いし、頬も痩けてしまわれて……栄養状態が悪いわ。きっと今までメイクで誤魔化して舞台に立たれてきたのね。
あの劇団、本当に許せない。
私の差し入れさえ渡っていれば、少々マシだったかもしれないのに……。
いえ、お菓子ばっかりだったわ。栄養が偏ってるもの糖分に特化してもダメよね。
もっとお肉とかお野菜とかお魚とか栄養を……。
ああ、不謹慎だけれど推しのお食事を考えるって、ときめくわね。
あの婚約者の輩には雨樋か溝の水を植木鉢で出してやれば良かったわ……。
「……お嬢、さん?」
「ほはっ、ロベルト様! いえ、違うんです! ご尊顔をガン見してウヘヘいえ、観察していた訳では! さっき来たところで……!」
へ、変な顔してなかったわよね!? ああ、顔が燃えるかのように熱いわ!
金色の瞳が私を映している!
「……オレみたいなのなんかの何処が良いんだか……」
「よくぞ聞いてくださいましたわ! アレは私が15歳の砌!」
「え、いや、え?」
「今となっては敏腕と称される私、ドレニスですが。
お祖父様に当主教育をゴリゴリに課されて、ベコベコに凹んでいましたの!」
「……自分から敏腕か……。ちょっと天然なのか?」
「いいえ、天然では御座いませんわ! 素直なんですの!」
「……うん、まあ……落ち着け」
はっ、しまったわ。
天然とか言われると天然人でなしのお母様を彷彿とさせるからついムキになってしまって!
後、あの婚約者の輩! 早く元婚約者にしたいわ!
「ホホホ……すみません。天然ってあまり好みでは御座いませんの……。
天然を装った迷惑者だらけに囲まれて居ましたので……」
「……恵まれたお嬢様かと思ってたが、大変なんだな」
「まあ……。人にはそれぞれの苦難が有りますわね……。比べるべくも御座いませんが……」
「それぞれの苦難を比べるべくも、ない……」
む、難しいお顔で唸られてしまったわ。
そんな深い意味はないのですけれど。
勿論貴方の方がご苦労をされてますわっ! てのも取ってつけたようですしね……。
そもそも、どんなご苦労をされたか知りもしないのに……。知っていたとしても、そんな無礼は出来ませんし。
「ま、まあ……。兎に角。護衛込みで王都のタウンハウスから家出しましたの」
「ふーん……」
き、聞いてくださるみたいだわ。
私の話で傷の痛み……は無理でも、一時的に誤魔化せるといいのだけれど。
「苛々しながら、自分の境遇を呪いましたわ。怠け者の親のせいでお祖父様にスパルタ教育を受けたこととか。
令嬢らしく優雅にのんびり出来ないだとか……まあ、今からで思えば何とも無い不安なのですが。
当時は辛くて」
ロベルト様は、瞬きしながらじっと此方をご覧になっておられますわね……。
顔どころか全身熱くなるような視線ですわ……。て、照れないようにしないと。
「でも、そうしたら。
滅茶苦茶お上手で荘厳な貴方様のお歌が、裏通りから流れてきて心を塗り替えられましたの」
「……」
「薄汚れた裏通りが栄光溢れる道に早変わりした、貴方様の『英雄凱歌』でしたわ」
そう、あの時も燃えるような夕陽が裏通りとロベルト様のお姿がシルエットとなって、絵画のようだったの。
疲弊した張り詰めた現実に負けた幼い心が、美しく描き直されたわ。
あの凛々しくも荘厳で美しい声をもう一度聴くまで、くたばるものかと勇気が溢れんばかりに湧いてきたのよ。
「そんなの……昔はよく、悪辣な役以外貰えないのに歌ったな……」
……3年前ということは、ロベルト様も16歳くらい。
英雄の凱歌を歌える主役を夢見て頑張ってらしたのね……。
ん?悪辣な約以外貰えないですって?
「……悪辣な役以外貰えないって……」
「このツラだろ?」
「ですが、ボロッサム……ロベルト様のお歌は王都一ですわ! 他の役をお断りされてるとばかり……」
「いーや、違う。
オレが嫌われモンだから、劇団はオレよりドヘタでも主役を他に回す。オレのファンを自認するなら知ってるだろ?
悪役以外演じてない事を」
「……たし、かに……」
悪役は難しいから、ボロッサムが演じなきゃ! とは思っていたけれど。
凛々しい主役を張る事だって、出来るわよね。
だけれど、故意に遠ざけられていたら……。
「まさか、その傷は劇団に……」
「悪役以外を演りたいっつったら、問答無用でボコられた。
その裏のオート川に放り込まれる所だったから……助かった」
お、おおおお!
私の視力、見つけ出して本当に良かったわ!
だけど、何故其処まで嫌うの!? いえ、虐待に理由とかどうでもいいのよ。
傷つけた奴は、処罰いえ処分よ!
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