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婚約者と対峙せよ
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ご機嫌最悪ですが、ご機嫌よう。
推しに出会えた光り輝く喜びから、浮気野郎婚約者とその父親という、邪悪野蛮な敵の前に放り出されたドレニスですわ。
この親子は訪問のマナー教本を百冊頭蓋骨に詰めてから来い! アポ無し訪問は本当に心から止めろおおおお! と叫び出したい気持ちで溢れています。それなのに、ボケボケした薄笑いでスルーされて、殺意マシマシというやつですわ。
ふざけんじゃないわよおおおお!
「だから、婚約破棄をしてくれないか? ドレニス。私は女神様を愛しているんだ」
よく親の前で私にこんな事言えるな、コイツ……。親も聞いててよく殴らないなコイツ……。
まあ、この親子は基本的にマイルールにて動くポンコツなので、驚きはしないのですが怒りはしますわね。
「そうですか、敬虔ですわね。
御本人がこう言ってお出でですわね、ヤヤッカラ伯爵様」
「いやあジョークジョーク女神ジョーク。
そうそう、敬虔な息子でねえ……。ドレニスちゃん、浮気なんてホラ、気のせいだろう?」
さっきのお前のボンクラ息子の科白を聞けえええ! 何を抜かしてくるんだ、このアホめ共!
知るか知るか知るか! 賠償金減額要素全くなし!!払え払え払え!! 時を戻せないなら、金で償え!!
……私があの去年の演目のように!
厳めしい髭と野太い声装備ならば……。メッタメタのギッタンギッタンですわよ! ええ! 求む我が腕っぷし!
あ、ロベルト様は髭アリでもナシでもどっちでも好きですわ。今日の髭ナシのお顔も大変素敵でしたもの。
……いけません。クールに振る舞わなければ。ロベルト様が我が家に居られる空気のお陰で少し落ち着きました。
熱くなっては慰謝料その他誤魔化されてしまいますわ。
政略とは言えど、無碍にされたら熱く憤るものです。
この見た目だけ飾った、薄汚くも能無しな敵共に負けてたまるものですか!
ボロッサム……お名前をお呼びするという僥倖に預かったロベルト様に恥じぬ戦いを!
不肖、ドレニス参りますわ! バッタバッタとブチのめしますわ!
「そう言えばドレニスちゃん。テキ川はザンネンだったけど、ニギリ橋の件はまだかなぁ~?」
被害を知っていても手土産とか復興の手助けとか、皆無なんですのよこのオッサン。常にノープラン手ぶら。
「こうなっては白紙のプロジェクトになりましたし、伯爵家から技師と資材を派遣しては?」
「出来る訳ないじゃないかー。意地悪さんだな~」
四の五の言う前に、やれや。
シンプルにそう思いますわね。
「大体、国家プロジェクトを投げ出すなんて良くないよー?」
「国家プロジェクトに則った橋はその内掛けます」
お前んちにメリット無いところにな! 大体ニギリ村とは書いてないんだよボケがあああ!
そんなに素早く欲しければ、お前ん家の柱でも外して転がしときゃ良いでしょうがよおおお!!
ああ苛つくううう! 息子は息子で、親も止めず話も聞かずに裏庭チラチラ見てるし!
まさか、ウチに愛人のひとりが!? ええー? アバンチュール好きな女神と讃えられるような美人メイドとか居たかしら……。
いや、女神に讃えられるような美人な従僕という可能性も……。
アバンチュール好きな使用人って、炙り出すのどうやるのかしら。嫌だわ、身内まで疑う事になるなんて……。
「ドレニスちゃん、ということで早まらないように」
何がどういう事でだ。お前が締めるな。そう言いたいのは山々ですがまあ、良いですわ。サッサとお帰り頂きましょう。家がヤヤッカラケチ臭くなりそう。
「何事もスピード感が大事ですわね」
「……ふはは」
「ふふふ」
この仕事が出来ない割に出来てるフリが上手くてサボりが得意な食えないオッサンのせいで! 事が上手く進まない……!
ああ、口惜しや!
貴様らの粗を絶対に見つけてみせるぞおおお!
推しの声ロベルト様ボイスでで再現バッチリですわね。勇壮ー。
「何だ二人共、顎でも痛いのか?」
ヤヤッカラ伯爵はこの息子が嫌にならないのかしら。
あ、脹脛蹴ってますわね。
推しに出会えた光り輝く喜びから、浮気野郎婚約者とその父親という、邪悪野蛮な敵の前に放り出されたドレニスですわ。
この親子は訪問のマナー教本を百冊頭蓋骨に詰めてから来い! アポ無し訪問は本当に心から止めろおおおお! と叫び出したい気持ちで溢れています。それなのに、ボケボケした薄笑いでスルーされて、殺意マシマシというやつですわ。
ふざけんじゃないわよおおおお!
「だから、婚約破棄をしてくれないか? ドレニス。私は女神様を愛しているんだ」
よく親の前で私にこんな事言えるな、コイツ……。親も聞いててよく殴らないなコイツ……。
まあ、この親子は基本的にマイルールにて動くポンコツなので、驚きはしないのですが怒りはしますわね。
「そうですか、敬虔ですわね。
御本人がこう言ってお出でですわね、ヤヤッカラ伯爵様」
「いやあジョークジョーク女神ジョーク。
そうそう、敬虔な息子でねえ……。ドレニスちゃん、浮気なんてホラ、気のせいだろう?」
さっきのお前のボンクラ息子の科白を聞けえええ! 何を抜かしてくるんだ、このアホめ共!
知るか知るか知るか! 賠償金減額要素全くなし!!払え払え払え!! 時を戻せないなら、金で償え!!
……私があの去年の演目のように!
厳めしい髭と野太い声装備ならば……。メッタメタのギッタンギッタンですわよ! ええ! 求む我が腕っぷし!
あ、ロベルト様は髭アリでもナシでもどっちでも好きですわ。今日の髭ナシのお顔も大変素敵でしたもの。
……いけません。クールに振る舞わなければ。ロベルト様が我が家に居られる空気のお陰で少し落ち着きました。
熱くなっては慰謝料その他誤魔化されてしまいますわ。
政略とは言えど、無碍にされたら熱く憤るものです。
この見た目だけ飾った、薄汚くも能無しな敵共に負けてたまるものですか!
ボロッサム……お名前をお呼びするという僥倖に預かったロベルト様に恥じぬ戦いを!
不肖、ドレニス参りますわ! バッタバッタとブチのめしますわ!
「そう言えばドレニスちゃん。テキ川はザンネンだったけど、ニギリ橋の件はまだかなぁ~?」
被害を知っていても手土産とか復興の手助けとか、皆無なんですのよこのオッサン。常にノープラン手ぶら。
「こうなっては白紙のプロジェクトになりましたし、伯爵家から技師と資材を派遣しては?」
「出来る訳ないじゃないかー。意地悪さんだな~」
四の五の言う前に、やれや。
シンプルにそう思いますわね。
「大体、国家プロジェクトを投げ出すなんて良くないよー?」
「国家プロジェクトに則った橋はその内掛けます」
お前んちにメリット無いところにな! 大体ニギリ村とは書いてないんだよボケがあああ!
そんなに素早く欲しければ、お前ん家の柱でも外して転がしときゃ良いでしょうがよおおお!!
ああ苛つくううう! 息子は息子で、親も止めず話も聞かずに裏庭チラチラ見てるし!
まさか、ウチに愛人のひとりが!? ええー? アバンチュール好きな女神と讃えられるような美人メイドとか居たかしら……。
いや、女神に讃えられるような美人な従僕という可能性も……。
アバンチュール好きな使用人って、炙り出すのどうやるのかしら。嫌だわ、身内まで疑う事になるなんて……。
「ドレニスちゃん、ということで早まらないように」
何がどういう事でだ。お前が締めるな。そう言いたいのは山々ですがまあ、良いですわ。サッサとお帰り頂きましょう。家がヤヤッカラケチ臭くなりそう。
「何事もスピード感が大事ですわね」
「……ふはは」
「ふふふ」
この仕事が出来ない割に出来てるフリが上手くてサボりが得意な食えないオッサンのせいで! 事が上手く進まない……!
ああ、口惜しや!
貴様らの粗を絶対に見つけてみせるぞおおお!
推しの声ロベルト様ボイスでで再現バッチリですわね。勇壮ー。
「何だ二人共、顎でも痛いのか?」
ヤヤッカラ伯爵はこの息子が嫌にならないのかしら。
あ、脹脛蹴ってますわね。
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登場人物紹介です。ドレニス・ナタ−母親似でお芝居好きな敏腕伯爵令嬢。推し俳優はボロッサム。最近大衆演劇のせいかガラが悪い。ボロッサム(ロベルト)−ドレニスの推し俳優。実年齢より老けている?トミー・ヤヤッカラ−ドレニスの今にも別れたい婚約者。信心深い。ヤヤッカラ伯爵−婚約者の父親。取り留めがない。ドレニスの父親−乗馬を愛するサボり魔。脳筋気味だが人好きされる性格。ドレニスの母親−幼い令嬢のようなフワフワした美女。甞て王都を揺るがす婚約破棄をやってのけた。ドレニスの祖父(父方)−甞てはスパルタだが、今はそうでもない。有能だが、おっちょこちょい。マーシャル侯爵−甞て、ドレニスの母親に婚約破棄されたにも関わらず許してくれた良い人らしい。
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