異世界製作 〜転生しようと思ったら異世界作る側だった〜

寝占 羊

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第一章 「村開拓とモブ対抗戦」

第45世 「ノネクサス」

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 お父さんであるソイドがやられて、倒れ込んだ瞬間、ミオはチグリンをダイヤの剣で討伐した。
「ピギュゥール」

 そしてダイヤの剣をそこに捨てると、すぐソイドを抱え、ボタボタ血を落としながら不安な顔で部屋へ連れて行き、出来るだけ止血を進めた。
それを見ていたベルミーもすぐ部屋に行き、治療に使えそうな薬を探していた。

 「おいおい!マジかよ!」

 驚き、腰を抜かすも、ミオがチグリンを倒した瞬間、目の前に転がって来た金塊を無意識に握り締め、絶望するマップと、そのマップの後ろに隠れようとするホノン。

 「ねぇもう帰ろう…ホノンもう生きた気がしない…」

 「お前ら!あいつはトン!別名チグリンだ!俺達の世界では"猿"が進化して俺達人間、"ヒト"ができたと言われているが、
こちらの世界では"豚"がその対象!知能を持って俺達のように進化して、"トン"となった。それが奴らだ!」

 そして、ソイドがやられた場所の奥からさらに大量のチグリンがこちらにやって来ていた。

 「1人じゃ無い!ソイドの血の匂いを追ってこちらへ来るぞ!もう俺達全員バレてるんだ!」

 「じゃ、じゃあゲート通って帰れば勝ちじゃね?」

「ゲートを通っても、あいつらもゲートは通れる!
俺達の世界にまでやって来れるんだ!」

 「た、戦うしか無いのね!」

 「あぁ!だがホノン!奴らは強い!油断するな!」

 ホノンはミオが落としたダイヤの剣を拾い、
創夢は両手に剣を持つ。
その後ろでマップは弓を構え援護をする。
敵は9体程おり、左で創夢が2体と戦い、右でホノンは1体倒し、2体目と戦っていた。
真ん中、後ろの方に立つマップは弓で1体何とか倒し切ったが、数が多く、2体目がもう目の前に来ていた。すぐに剣に持ち帰るが、間に合いそうになく、また腰を抜かして床に伏せてしまった。

 「く、クソォー!俺もだ!
もうダメか!ごめん!ごめんグラン!」

 2体倒し、さらに2体を目の前にして、手が離せない創夢はマップがやられそうになるのを横目で見ていた。

 「おい!早く立て!立って戦え!マップ!!」

 2体目をとっくに倒し、3体目を倒したホノンはすぐマップの加勢に行こうとするが…

 「へ?!あ…あれ…?」

 マップの目の前まで歩いて来ていたチグリンはマップにはなんの興味も示さず部屋の方へ歩いて行った。

 「ど、どうして…?」

 もう2体も倒し切った創夢は、チグリン達を倒した床に、キラキラ光る金塊を見つける。
そしてハッとすぐマップの方を見ると、
安心して剣を離し、その手のひらに拾った金塊が乗っているマップを見た。

 「そうだ!お前ら!きっとこいつらはきんに全ての価値を見出している!
少しでもきんを身に付けろ!そしたら価値があるとして見逃してくれるんだ!
マップ!その持っている金塊を離すな!」

 「な、なるほど!分かった!だけど部屋の方に!」

 ホノンも創夢もチグリンからドロップした金塊を1つ拾うとすぐ部屋へ向かうチグリンを止めようと走り出すが、もう部屋の前に来ていた。すると…

 「ノックバックアロー!ハード!」

 部屋の中からする、ベルミーの声と共に、チグリンは後ろに吹っ飛び、そのまま下に落ちるとマグマに沈んで行った。
そうか、心配しなくてももうみんな戦えるんだ…ベルミー…頼もしい奴だ。

そんな事を思い、マグマに落ちて行くチグリンを見ていた創夢はたまたま少し先に要塞と思われるレンガのブロックを発見した。

 は!あれは、要塞…

 皆が部屋へ戻ると、意識を取り戻していたソイドがいた。

 「おい!どうなったんだ?治療ができてんのか?ベルミー。」

 「治っている訳じゃ無い…応急処置ですわ…
遅くする系統の薬を使い、症状を急激に遅らせ、一定時間は怪我の進行が無いようにしたまでです…」

 「そうか…分かった。
なら一旦冒険は中止だ!帰って…」

 創夢はノネクサス探索の中止を考え、提案しようとしたが言葉を遮るように弱々しい声でソイドが言った。

 「ダメだ!創夢!ここで止められ無いだろ!
俺の血は残っている…
仮に洞窟の拠点で休んだとして…
次にここに行こうという頃にはもう洞窟内にも
ここから来た敵がいっぱいだ…
気にしなくて良い…俺は死にはしないさ、早く冒険を続けて、帰ってこんなゲート壊そう…」

 「父さん…」

 「でも、置いて行けないだろ?怪我人のお前をどう連れて行くって言うんだ…」

 「お前らが帰るまでここの地下にでも埋めておけ…1番安全、俺の昔の技だ…暗闇は慣れてる…」

 「分かった…お前が言うならそうする!
なるべく早く帰るぞ!」

 その会話通りに、創夢達はソイドを部屋のすぐ下に掘り埋め、ベルミーの薬を2本残して閉じるとロッドを取りに要塞へ向かった。

 「ソイド爺さん!聞こえますか?薬!危ないと感じれば惜しみ無く使って下さいね!」

 「ぁぁ!」

 「お前ら急ぐぞ!不幸中の幸いにも、要塞は近くにある!」

 「あのレンガブロックのやつか!
そこにそのロッドを落とす強敵がいるのか?
あの豚より強けりゃ俺らやべぇぞ!」

 「あぁ、そうだ!名前は確か…マグイズ…みたいなやつだ!
別名フレイム!火を吐いて攻撃してくる!」

 「えぇー!聞くからにやばいじゃん…」

 「3体ですわよね?
でしたら創夢さんが一体、私が一体、それからミオさんが一体倒せば怖がっている2人は援護で良いのでは?」

 「そうだな!実力を考えてもそれが最善だ!」

 「でしたら、"無限矢"の力がある私の弓も
ストックが丁度2つあるのでお貸ししますわ!」

 「ありがとうベルミー!」

 「俺もぉ!助かったぁー。てか…無限矢?つっよ!どおりでお前あんなポンポン矢打ってても減らないわけか!」

 そんな会話をしている内に、要塞に着き、要塞の大きな柱、その1つの内部を上に掘り進め、要塞通路まで登って来た。
登り切って出たところ、通路は、右、前、左の3つの道に分かれていた。
一番最初に出た創夢は怪物が来るより先に通路を右から塞いでいた。
右をすぐ閉じきり、
前の通路には黒くて見えずらい何かが沢山こっちに向かって来ており、左の通路には金色のロッドを回す燃えた怪物がいた。
その怪物がマグイズだと察した創夢はすぐ前の通路も塞ぎ、左を向く。
他のみんなも柱から出て来て、武器を構えた。

 「ねぇ創夢…あれがマグイズ?、一体しか居ないけど…」

 「あぁミオ…時間はかかるが3体同時に来たりしちゃそれこそマップの言う通り俺らは終わる。」

 その間も徐々にこちらに近づいて来ていた。

「この通路にこいつ1人ってだけでありがてぇ事なんだ…残り2体はこいつを倒してから探すぞ!」

 「分かった!」

 そして目の前に来た瞬間…

 「キンッ!カカッ!
ダァーダァー」

 機械が故障したような音を立て、さらに燃え始めた。
 「ダァ!ズゲェー!」
ギリュゥーーン
ガランカランカランッ!

 そしてその音は大きくなり、マグイズは攻撃すらせず、その場で崩れる様に壊れ、3本のマグイズロッドを残して、蒸気、いや、結晶のようになり消えていった。

 「あ?おい!なんだったんだよ!なんも攻撃せず消えたぞ!?」

 「それに、ロッドも3本だね…」

 「あ、あぁ…そうだな…」

驚く創夢を見て、それにみんな驚いていた。

 「創夢さんも驚く事があるのですね…」

 「はぁ…暑いのに怖さで寒い…
創夢ちゃんが驚く程の場所って…やっぱここ無理!」



 その時、掘って上がって来た柱の穴から、チグリンが上がって来た。
 「ピギューン!」

 「うわぁ!びっくりした!下からあの豚!」

 「うわ!なに?驚かすなよホノン!
ってうわ!本当だ!なんでこいつまだ?」

 「追って来た訳じゃ無い!自由なんだろう…
お前らきん持ってるな?絶対に離すなよ!」

 「えぇ!ですが…帰る道が…」

 くそ、詰みだ。せっかく戦闘無しで欲しい物は手に入ったのに…結局は怪物大量の道を選ばなきゃ行けなさそうだ。
美味しい話は無いって事だな。

 「とりあえずマグイズが来た道を進むぞ!誰も居ないんだ!進んでる間に帰る方法を考えるぞ!」

 そう言い皆は俺の合図で開けていた左の通路を走った。

 しかし、通路へ出てすぐ、黒い爆弾が右から飛んで来て創夢らを襲った。

 「うおー!あっぶねぇ!橋壊れてんぞ!何が!」

 「あれのせいだよ!白いデカ顔が何かしたんだ!」

 ミオの指を指す方向には宙に浮く、謎の怪物がいた。



▫︎第45話用語解説



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