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第一章 「村開拓とモブ対抗戦」
第44世 「地獄」
しおりを挟む昨日に続き、採掘まで順調に行き、創夢はついに"地獄"について話し始めた。
「分かった!本当にみんなありがとな!
だけど…むしろ本題はここからなんだ…今からここにゲートを作る!そのゲートはノネクサスと呼ばれる地獄に繋がってるんだ…」(創)
「待て創夢、暗くて、敵ばかりで、マグマが目の前にある!ここだって立派な地獄だ!
これ以上の地獄に行くのか?」(ソイド)
「あぁ、丁度今ソイドが言ってくれた、そんな感じだ!似ている!
だけど、ノネクサスはここより強力な敵ばかりで、マグマの海に、足元の悪い歩き辛い砂…とにかく地獄だ!」(創)
「そーか、つまりここより地獄だと?
そんな子供脅すための世界信じるわけ。
って言いたいけど、お前だもんな創夢…
嘘つくわけ無いし…なぁ明日じゃダメなのかぁ?」(マップ)
「おう、マップ、もちろん今日急に行くわけじゃ無い。
今日はゲートの型作っておくだけだ。
そして休んだら明日、火起こしで火を付ける事でゲートを開通させる!」(創)
そう言った後、創夢はベルミーから黒曜石を受け取ると、黒曜石でできた地面に立ち、縦に3マス、その上の4マス目に石ブロック、そこから横に2マス、そして横3マス目にまた石ブロックを置くと、そこから下にまた黒曜石を埋め、縦に長い長方形になるようブロックを置いた。間に3×2の空間ができていた。
「よしできた。」
「え?こんな簡単なのがゲート?ねぇ創夢ちゃん、ホノンら薬作りに来たんだよね?」
「おう、そうだ。
まず、ゾンビ化を治すにはゾンビになったあいつらに弱体化のポーションを飛ばさなきゃダメだ…
それで…それを作るには、醸造機を作らなきゃいけねぇ…」
今まで詳細を無理にでも黙って来た創夢はようやくゾンビ化の治療法について話すが、聞いていたベルミーは驚きながら言った。
「弱体化の薬?!もしかして!
それなら…」
きっとその薬、もしくはそれに近しい効果を持つ薬をすでに持っている。と言う事を話そうとするベルミーを察して止めた創夢は、なんとしてでも、自分達で治療をしたいという思いを改めて感じていた。
「分かってるベルミー!
それなら、後で話そう…
それで、それを作るには特殊なロッドが必要なんだ…敵がそれを持っているらしいが、俺の知ってるその敵は超手強い…」
「どのくらい必要なんだ?」
「3本!」
「つまりその強い敵を3体も倒さないとダメなのか!」
「あぁ!マップの言う通りだ!だからみんな、明日に備えて今からは休んでくれ!」
そう言うとみんな拠点へ帰るため、くだってきた岩場を登って行った。
1人話したくて見るからにむずむずしているベルミーとそれを察していた創夢は皆が拠点に帰るのを待っていた。
みなが帰るやいなやベルミーはすぐに話し始める。
「創夢さん!私、敵を弱らせる薬なら持っていますの!さっきそれを…」
「あぁ、分かってる。ありがとなベルミー…
お前の力を借りたいとか言ったのに話さなくて悪いが…
ベルミー、今日の朝、お前弓も薬も使わずに鉄の剣でゾンビを一撃していただろ?
あのレベルの剣なら普通は一撃なんて難しい…
お前の戦闘力がそこまで上がったのはどうしてだと思う?」
「それは…創夢さん、あなたに苦手な近接戦の訓練を特にやらされたからですわ?」
「そうだ、それが無けりゃお前は今日の朝も矢や薬で解決しようとしたが、それなら、拠点部屋の鉄の扉を開けるのを恐れたはず…扉の前にいる敵は必ず近接戦になってしまうからな…」
「何が言いたいのですか?」
「力っていうのは、なんでもかんでも使いまくっていれば良いというわけじゃ無いって事だ…
お前の敵を弱らせる薬が弱体化ポーションと同じ成分かも分からない…それにお前は矢で、もしくは自分も巻き込むリスクの高い液体瓶でしか薬を扱って無いだろう?
今回使いたいのはスモークポーション。投げて使える瓶だ。」
「力を不要に使うべきじゃ無い…
あなたが力を制御する理由もそれなのですか?
私は"本当の魔法"つまり"あなた"を目指しているのです…あなたがそういうのであれば分かりましたわ!
私はただ力になればと思っただけですし…
楽な道は考えず、地獄でさえも攻略して見せましょう!
ところでスモーク瓶とは?」
「あぁ、これもその醸造機で作れるみたいなんだ…だから…」
「なるほど、それから、あなたの力は薬由来では無いですわよね?一体何をどうして…」
そうしてキラキラした目で質問を止めないベルミーに適当に返事を返しながら拠点に戻りその日を終えた。
次の日、ゲート前に集まった皆の前で、創夢は火起こしを使いゲートを開通させた。
3×2の空いていた隙間には、黒曜石に似た黒紫のモヤモヤした膜が張り、邪悪な気を放っていた。
「うーわぁ!なんだこれ!」
「えぇ…私入るの嫌になって来た…」
「ですがホノン、あの膜透けて奥が見えますが、先に見えるのはただの洞窟ですわ!」
「確かに…そう見たら色の付いた窓から奥を眺めてるのと変わらん…」
「いや、ソイド、お前が見てる向こう側はただのこの洞窟だ。ノネクサス、そこに行くにはこの膜の間に数秒立つ!」
そう言うと創夢はミオとソイドの手を引き3人で膜に立つ。
「何も起こらないじゃ…」
「ちょ!創夢さん!急に手を引くのは…」
そしてしばらくすると膜の中に消えて行った。
それを見ていた他の3人は…
「おいおい!あいつら急に消えたぞ!?」
「ほ、ホノンらは…もう行かなくても…いんじゃ無い?」
「いやー、楽しみですわね!地獄なんて願っても行けない場所なんですから…ほら!行きますわよ!」
ベルミーに手を引かれて同じように入って行く。
「いやいや!俺は別にいつでも…」
「ちょ、待って!私は願ってなんか…」
そして皆ノネクサスの世界へ入ると、そこは暑苦しく、歩き辛く、見渡す限り地上では見たことの無いものしかない場所だった。
地面が塊で宙に浮いてるようにも見える立地は、落ちそうなハラハラ感を感じさせ。その下にはマグマの海が広がっていた。
「おぉ、お前らも来たか、
これは当たりだ!比較的この地獄の中でも安心なただの荒地だ!」
「荒地で安心なのかよ!暑いしなんか土が赤いし、もう帰りてぇよ」
「そうだ、帰れなくなる前に全員でこのゲートを守るぞ!
なるべく壊しにくいブロックで周りを囲んでくれ!そのままここを拠点にするぞ!」
「おいおい!どーゆことだよー、帰れなくなるのか?」
周りに敵が確認できない内に、皆でゲートを部屋のように囲った。そしてその部屋から出ると、落ちる事には十分注意を払い、探索を始める。
「敵の攻撃に当たればゲートが壊されたりするんだ!
それから、拠点とはいえその部屋の中にベッドは置くなよ!この世界ではベッドは置くと爆発するんだ!」
「はぁ?何それ?全部この世界に入る前に言えよ!」
「ベッドを持ってる奴がそもそもいないが…
それは確かにそうだ創夢…
分からない事しか無いからなぁ…例えばこの人型の豚はなんだ?」
そう言うソイドの方向を見ると、そこには人型の豚、チグリンが居た。
そしてそれを指差してこちらを見るソイド。
「おい!早く逃げろソイド!そいつは敵だ!」
創夢がそう叫ぶが間に合わず、チグリンの剣による攻撃はソイドの右肩から胸にかけて入り、ソイドは血を吐き倒れた。
「グハッ!」
「お父さん!」
▫︎第44話用語解説
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