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第一章 「村開拓とモブ対抗戦」
第43世 「渡り川を越ゆ」
しおりを挟む2日の休みを終え、軽傷のミオも、ソイドの腕も完治したところで、2回目の冒険に出ようと、また噴水周りに集まる。
「みんな!今回の冒険だが、メインは洞窟!
そこに拠点を作り、作業する!
だから、少しの間は村に戻れるかも分からない!」
噴水に近い家から出て来たケバブは、何日分かも分からない大量の肉や魚を箱に入れ持って来た。
「それが冒険ってもんじゃろう!
ほれ、食料追加じゃ!村はわしに任せて、行ってこい!」
「おぉ!ありがとよおっさん!」
マップやホノン、よく食べるみんなの感謝を聞きながらケバブは家へ帰って行った。
「(おっさん…分かってるみてぇだな…)
この食料が無くなっても帰れないほど長い冒険になるかもしれない…
それを覚悟してくれ!
本当は一度村に戻って来て、3回目の冒険で行こうと思っていたんだが…
超レアな素材を集めないとダメで、
状況によっては…俺達、帰る事なく地獄へ行く事になるかもしれん!」
「地獄!?」
「えぇ?死ぬのか?死ぬって事か?」
「あぁ…いや、死にはし無いが…
"地獄みたいなところ"だ。
まぁそれは行くことが確定してから話す!
とにかく!ソイド!この前みたいに居眠りするとか、そんな事がもう許され無い!覚悟してくれ!」
「あぁ!分かっておる!洞窟という時点でどれだけ危険な場所か…
俺からしたらそこが地獄だ。」
冒険に行くと聞いて、見送りに来たのか…
皆の前に久しぶりに顔を出したジョニー。
彼はいつもより優しめの声でソイドに言葉を残した。
「あんたはろくな洞窟も行った事が無いだろ?」
「あぁ、ジョニー。久しいなぁ…
だが、本当に今までの俺とは違う!
この冒険でお前にも見せてやる!」
「そうか…ならそのうざったい顔をまた見る事があったら俺もお前を驚かせてやろう…」
「そうか。村は任せたぞ…ジョニー。」
彼もまた、返事を無くして皆に背を向け帰って行った。
そして最後に、ずっとマップの横にいたグランマルもマップに話していた。
「あなた!私も!
やっぱり…やっぱり私も冒険に!」
それは見送りの言葉では無く、参加の意志であった。少し涙目で、声の震える彼女をみて、マップは息子の次に夫である自分を失う事が怖いのだろうと感じた。
「大丈夫だグラン!俺は大丈夫!
君も冒険に行くってたって、本当は怖いんだろ?
良いんだ、家で安心して待っててくれ!」
「違うの!あの日は本当に…
弱音をはいてしまって…
でも、私も…」
「大丈夫…大丈夫。
俺なんかよ!最近弓まで覚えて、今までなんか比べものになら無いくらい強いんだぞ?
だから、なぁ、信じてくれ。」
「違う…私が…
だけど…分かった…邪魔はできない…
愛してるわ。必ず帰って来て。」
「あぁ、俺もだグランマル!俺の今までの冒険に比べて見ろよ…今は仲間だっている!必ず、帰るさ。
じゃあな!」
そうしてみな村に一度別れを告げると、グランマル1人に見送られ、6人と(+ルプ)は2回目の冒険を始めた。
村を出てから歩きに歩き、砂漠や、ジャングル、河川地帯を超え、夜が来ると留まり、夜を明かす。
そしてまた歩き始め、森を1つ抜けたところ、石や岩ばかりの山岳地帯に辿り着く。
「おいおい!創夢!いつまで歩くんだよ!
もう丸2日だぞ!?材料なんてこの行きしなに全部集まったんじゃねぇの?」
「着いた!ここだ!
丸一日と半日だマップ。疲れただろ、少し休もう」
「す、少し?もう今日は休みたいんですけどぉ…」
「ホノン、それも分かるが、
創夢、俺が疑問なのは、なんで洞窟じゃ無いんだ?確かにここはいっぱい鉱石がありそうだが…」
歳の割には息切れもせず乗り気で質問するソイドは息子のミオに担がれていた。
「いや、息子におんぶされるあんたに分かられたくは無いです…」
その情けない姿は、ホノンにも真顔で否定されていた。
「父さん、ごもっともだよ、重すぎ…」
「あぁ、すまんすまん…また足をやってしまってなぁ…これは歳だな…」
ソイドの質問に遅れて答える創夢は昼食を準備していた。
「洞窟なら、これから入る!
休憩が終わったらすぐ洞窟探しだから、よろしくな、みんな!」
疲れ果て、返事も無いみんなだが、探さずとも洞窟ならすぐ見つかった。
休憩終わり、皆で洞窟に入り、外が暗くなる頃まで下へ下へと探索を進め、拠点を設ける。
敵に苦戦もせず、その日は眠りにつくまで全てが順調に進んだ。
そして次の日、ゾンビの声に起こされ、朝から戦闘をして皆集まった。
「はぁ、村にいる夢を見てたわ…
グランマルとキスしてた…」(マップ)
「不愉快…朝のゾンビと同じくらい不愉快な発言ですわ!」(ベルミー)
「はぁ、でもマップの気持ちも分かるよ…もう今が朝なのか昼なのかも分からないし…」(ホノン)
「おいミオ!怪我は無いか?飯は足りてるか?」(ソイド)
「お父さん!大丈夫だって!ゾンビよりうるさい声出さないでよ…」(ミオ)
「みんなうるさいけど、もうゾンビなんかじゃ何も気にしないくらいには強くなってるね、創夢様…」(ルプ)
「そうだなぁ…
よし!みんな!今日は鉱石集めだ。狙いとしては、黒曜石8個、金鉱石最低でも24個!そして、ダイヤをできるだけ多く集めてくれ!」(創夢)
「おうよ!」 「了解!」
「まぁ楽勝っしょ!」
そして皆手持ちがいっぱいになるまで採掘を続けた。
創夢は拠点から急な坂をえてさらに下に光っているマグマに来ていた。
そこの近くにはここのマグマが固まってできたのであろう黒曜石もいっぱいあり、床が黒っぽく見えるほどだった。
「これほどあれば大丈夫か…」
1人でそこに立ち、呟く創夢に、今までより小さい体で宙に浮くルプが話しかける。
どうやらルプの体は変幻自在のようだ。
「創夢様は黒曜石を?」
「いや、この地面の黒曜石はそのまま利用したい。」
「いったいそれでなにができるの?」
「ゲートを作るんだ。それは地獄に繋がっていて、ゲームではそこをノネクサスと呼んでいた…」
「地獄?ノネクサス?そんな危なそうな場所…大丈夫なの?」
「あぁ、行くしか無い…もう神の力は封印したんだ…ゾンビ化を治すのはちゃんと自力でやりたい…」
「そうですか…
でもなぜ村からこんなに離れてまで?
洞窟なら他にもあったはず…」
「ゲートを作ってしまえば、ノネクサス…向こうの住人も、こちら側の世界にやって来れる…
そんなものを村の近くや、村人の過去に出て来た略奪者達の手の届く場所に展開してしまえば、大きい問題が必ず起きる気がするんだ…」
「なるほど…
確かにその地獄と略奪者が手を組めば、それこそこの世界が終わりそう」
そうルプと話していた時、ソイドの呼ぶ声がした。
「創夢ー!」
「おう!どうしたソイド!」
「お!そこか!みんな!下に居たぞー!」
そう言いながらソイドはこちらに駆け降りて来ていた。そのソイドを追って、他の3人も駆け降りてくる。みな表情は少し明るかった。
「あら、創夢さんがすでに黒曜石を?
こんな場所にもあったのですね…」(ベル)
「いや…ここを使おうと思ってな…」(創)
「使う?」(ベル)
「あぁ、それよりお前ら揃ってどうした?」(創)
「いや…お前が言ってた鉱石は全てもう集めたし、手持ちもいっぱい…
もういんじゃねぇか?って言うこった。」(ソイド)
「おい!本当か?!」(創)
「おう!俺が金全部みっけたし…まぁ宝よりは簡単なもんよ!」(マップ)
「やるな!マップ!」(創)
「ホノンはさ!黒曜石見つけたんだけど、これ…マジ取れなくてさ…
超かってぇの!」(ホノン)
「そうですわ!なので、私の薬を使ってツルハシを強化いたしまして…なんと10個も集めてしまいましたわ…」(ベル)
「おぉ!そ、そうか!じゃあダイヤは…別に…」(創)
「そうなのか…俺もミオとダイヤを見つけた。
だが…5個だけしか見つからんかった…すまない」(ソイド)
「いや、黒曜石が取れたなら十分だ!ソイド!ミオ!」(創)
▫︎第43話用語解説
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