40 / 47
第一章 「村開拓とモブ対抗戦」
第41世 「魔女と魔男」
しおりを挟む「ベルミー!何秒だ!」
その一見意味の分からない俺の質問に、敵がポーション使いである事を理解しているベルミーは、
すぐポーションの効果時間の話だと察して教えてくれた。
「通常なら約120秒ですわ!」
「長いなぁ…」
「ええ。それに追加分を持っているなら…」
「くそ!相手は盗みを働くくらいだ!
追加は無い!
いや、そうとも言い切れないが…
そのくらい貧乏である事を祈ろう…」
出せる手が無く、もたもたしている内に、気配も匂いも、徐々に薄れていく。
「ですわね…やはり待ってはられない!
私に任せて着いてきてください!」
そう言うとベルミーは突然走り出す。
みんなでその走り出したベルミーの後を追う。すると、また気配と匂いは強くなって行った。
するとすぐ、ベルミーが敵の事を言った。
「敵は見える数だと2人!ミオさん!1人右!あちらの奥に逃げるつもりですわ!」
「分かった!」
返事をすると、ミオはベルミーの指差した方向に、自分の感じる気配と勘を頼りに捕まえに行く。
2度失敗するも、目を瞑り、感覚を研ぎ澄ませ、透明の何かを捕まえる事に成功。
「ウォーン…」※くっ、なんて力の強いガキだ…
「ここだ!1人捕まえた!」
「本当だ!見ろマップ!」
「あぁ、分かった分かったソイド、また自慢のミオの手柄だろう?
ナイスだぞーミオー!」
「ミオ?違うこっちだこっち!」
「なんだ?おっさん!楽しそうに」
「ベルミーの追ってる方向!木の上だ、枝や草が揺れてる…
何かあるんだ…」
ベルミーは走りながら先が黒く光る矢を構えると、木の上に放った。
「トゥルーアロー!」
その瞬間、紫色の服を着て、黒く長い帽子を被る、鼻の長い老婆が、ベルミーの矢に足を打たれて落ちて来た。見るからに魔女だ。
「なぜ分かったんじゃ…」※ウォーン
その魔女の話す言葉は村人の言葉で、その時の俺には理解できなかったが、俺以外の全員がこう聞こえていた。
ベルミーは倒れ込む魔女の前に立ち、次の矢を構えた。
「それは打たれた人の本当の姿を写す薬。もう透明化はできないですわね!」
「そ、そんな薬どこで…」※ウォ…ウォーン
「私が調合しましたわ!それから…
トゥルーアイ…」
そう言い、後ろを振り返り、矢の狙いを変えたベルミー…
ベルミーの目も同じく黒い光を発していた。
この目で彼らを見極めたのだろう…。
その目で後ろ側少し先、ミオが押さえ込む魔女の仲間に対しても矢を放った。
「いっ、いってぇ!」※ウォーン!
その矢はミオがキャッチし、魔女の腕に突き刺せられた。
「は!見えた!
お前達!どうしてこんな事…」
その時、ソイドがミオの元へ走り始めた。
そしてそれを止めるマップ。
「おい待て!さっきからなんか変だぞソイド!お前。まだ敵は2人だけとは…」
マップの叫びを聞いていたベルミーは驚いた。
「はっ!」
そしてすぐミオに対して叫んだ。
「違う!ミオくん!」
そんな事にも気が付かず、魔女の腕を紐で縛り上げたミオは立ちあがろうとしていた。
「よし、話せる人ならちゃんと…」
「ミオくん!後ろ!」
「えっ?!」
ベルミーのその声がミオに届き、振り返ろうとする頃にはすでに後ろからの攻撃が始まっていた。
そこにはソイドの姿と別のおじさんが混じりあったような見た目の人が立っていた。
棒を本気でミオに振りかざす。その棒にも何か仕掛けがあるのか、見えないほど早く、そして強い衝撃波を出しながらミオを殴った。
ドゴォーーン!
「くっそ…効果がもう…」※ウォーン
「ミオくん!」
「あのおっさん!やっぱりソイドじゃなかった!
でも、な、何が起きたんだ?おれ、何も見えなかったぞ?」
「マップ、お前だけじゃ無いよ…私も見えなかった…」
「そ、うだね。お父さんにしてはさ…
力が弱いよ…
その薬達…いつ使ったのさ?」
「なに?確かにこの威力じゃ…死ぬとまでは思わなんだが、気絶さえしないだと?!」※ ウ!ウォヌ…ウォーン、、
ミオへのダメージは確かにあったものの、気絶していたのはミオの下敷きになった、仲間の魔女だった。そのおかげか、衝撃を全て受けず、まだ動けるミオは少しふらつきながらも立ち上がる。
一方、ミオを心配していたベルミーも、その間に片足で立ち上がった魔女に背後を狙われていた。
それに気がついた俺は、すぐに彼女のサポートに入る。
「ベルミー!後ろだ!」
「はっ!」
魔女は緑色の液体が入った瓶をベルミーにかけようとしていた。
俺はその手を振り払い、右手に持っていた瓶はそのまま創夢の左側少し先に飛んでいき割れた。
割れた場所では周りの草が枯れていた。
「あーぁ、はぁ…諦め諦め…」※ ウォーン
「ベルミー!ミオはミオに任せとけ!」
その声にはっとするベルミーと協力して、魔女を紐で縛った。
そして縛り終えてすぐミオの方を見ると、駆け付けたマップとホノンと3人で、ソイドに変身していた男の魔女も捕えられていた。
「おい、お前ら…しょうもないもん奪う為だけに…どんだけ手かけてんの?」
縛り、集めた3人の魔女の前でマップがそう言うと、1番右に座るソイドに変身していた男の魔女が言った。
「ほんとは、全て奪うはずだった!
命もなぁ!気付く方が変なんだよ…だが…」※ウォーン!
すると真ん中の魔女が言う。
「おい!変な事を喋るで無い!我々はただ、女神ソフィアの為に…」※ウォーンア!
その時、ベルミーがマップをのけて、さっきとは反対に先が白く光る矢を構えて言った。
「どいて!私がやるわ?自白剤となりえる薬…」
その矢を魔女に撃とうとした時、
「では、我々は自爆剤じゃなぁ…」※ハァーン
カリンッ!
そう言うと魔女の口の中で瓶の割れたような音がした。
「まさか!」
ベルミーはすぐに矢を撃ち込む。
「いいかい?我々魔法を扱う者はねぇ、こうやって己を守るんじゃよ…」※ウォーン…
ドゴォーーン!
魔女がそう言った瞬間、3人の魔女は同時に内側から大爆発し、消え去った。
幸い怪我人は出ず、彼らが盗んだ物が、彼らの爆発した場所にドロップしていた。それらを取り返し、ソイドの行方を探した。
「結局何がしたかったんだろうなぁ…」
「マップ…あいつら何を話してたんだ?」
「そうか、創夢、わかんねんだったな…」
俺は魔女達が話していた事をマップに聞きながら、みんなでソイドを探し歩いた。
夕方も来て、暗くなって来たし、せめてこの森は抜けて、村に近い森へ行こうと言う話になり、皆で向かった。
今の森を抜け、ソイドが最初に木こりをしていた森に着くと、森の中、ソイドが切ったのであろう木が無い空間を見つけ、そこに一度皆で腰を下ろした。
「ひゃー、疲れたぁー!てかさ、元気そうでスルーしてたけど、血だらけなってたじゃん?
ミオちゃんは大丈夫なの?」
ホノンが聞く。
「うん!僕回復が早いみたいなんだ!」
グゥー
その時、ミオのお腹が鳴る
「ま、まぁ、お腹は空いたけどね…」
「あ!私肉取り返したし!食べる?」
ホノンとミオのやりとりを見ながらマップが呟く。
「お前もあのおっさんに似て丈夫なんだなぁ。」
マップがそう言った瞬間、
「やっと帰って来たと思ったら、最初に聞くのがお前のいやみだとは…」
そう言い森の中からソイドが出て来た。
「おぉ!生きてたのか!いやてかお前本物?」
「なんだよその質問は!」
ソイドの話によれば、迷子になり、急な眠気に耐えられず寝た後、何事も無く起きて、この森に帰って来ていたらしい。
「眠気の薬と変身の薬…
あれは、普通の魔女なのかしら…」
ソイドの話を聞きながら小さい声で考え事をするベルミーだった。
▫︎第41話用語解説
・
2
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
トレジャーキッズ
著:剣 恵真/絵・編集:猫宮 りぃ
ファンタジー
だらだらと自堕落な生活から抜け出すきっかけをどこかで望んでいた。
ただ、それだけだったのに……
自分の存在は何のため?
何のために生きているのか?
世界はどうしてこんなにも理不尽にあふれているのか?
苦悩する子どもと親の物語です。
非日常を体験した、命のやり取りをした、乗り越える困難の中で築かれてゆくのは友情と絆。
まだ見えない『何か』が大切なものだと気づけた。
※更新は週一・日曜日公開を目標
何かございましたら、Twitterにて問い合わせください。
【1】のみ自費出版販売をしております。
追加で修正しているため、全く同じではありません。
できるだけ剣恵真さんの原文と世界観を崩さないように直しておりますが、もう少しうまいやり方があるようでしたら教えていただけるとありがたいです。(担当:猫宮りぃ)
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……


元チート大賢者の転生幼女物語
こずえ
ファンタジー
(※不定期更新なので、毎回忘れた頃に更新すると思います。)
とある孤児院で私は暮らしていた。
ある日、いつものように孤児院の畑に水を撒き、孤児院の中で掃除をしていた。
そして、そんないつも通りの日々を過ごすはずだった私は目が覚めると前世の記憶を思い出していた。
「あれ?私って…」
そんな前世で最強だった小さな少女の気ままな冒険のお話である。

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
転生幼女の異世界冒険記〜自重?なにそれおいしいの?〜
MINAMI
ファンタジー
神の喧嘩に巻き込まれて死んでしまった
お詫びということで沢山の
チートをつけてもらってチートの塊になってしまう。
自重を知らない幼女は持ち前のハイスペックさで二度目の人生を謳歌する。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる