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第一章 「村開拓とモブ対抗戦」
第34世 「チェヴァップ・ケバブ」
しおりを挟む「あ、あぁ、すまねぇ、
いただきます。」
「まぁ、疲れてるじゃろ?話は別にまた今度でもいんじゃ無いか?」
「いや!気にするな!今話してくれ!
肉うめぇ…」
「分かったわい。んなら、食べながら聞いてくれ。」
そう言うと、ケバブはまだ話していない事、それから、自分の過去を話始めた。
「まずじゃが、あの日、乱闘の末、
朝方になると、7人ほどおった対戦党はレボリーとジョニーの兄弟2人だけになっておった。
死んだ7人の内、5人は対戦党の村人じゃったからなぁ。
そして、ソイドは村を危険に晒した対戦党のリーダー、レボリーを殺人者として、そして、その弟、ジョニーをその加担者として、村を出て行くよう命じたんじゃ。」
「そうか…」
「じゃが、外に村人2人で生きて行ける場所など無い。レボリーは
罪は全て自分にある。
そう言って、弟を村に残して欲しいとソイドに懇願したそうじゃ。
そうして、ジョニーを残して1人村を出たんじゃ。
その時のソイドは、「きっとあの兄はジョニーになにか計画を託して、村をさらにおとしいれる気だぞ。ジョニーを許すな。」と、ずっと言って回っとった。
じゃがしばらくしてレボリーが帰って来おってなぁ。
ソイドが言うには話を聞かないから、決闘で村に残る方を決めるしか無い。とその時は言っておった。
何やらよー分からんが、ソイドとレボリーはタイマンの決闘を始めて、ソイドは片目を無くしたが、レボリーは無傷で終わっていた。
そしたらレボリーは勝負がついてすぐ、「弟に手を出せば許さないからな!」そう言い残し、結局また村を出て行きおった。
どっちが勝者かよく分からん状態じゃったが、
それからソイドは、裏切り者を退治した村の英雄って自分を名乗って村に広めていた。」
「ジョニーが言うように、ソイドの行動も聞けば聞くほど分からない…。
けどジョニーはジョニーで何を考えているのかも分からない。」
「わしもなぜ早く気付いてやれなかったんじゃろうなぁ。飯にばっか気を取られて。
じゃが…今日の話を聞く限り、わしには分かった気がする。
ジョニーがあぁなるほど、
きっとレボリーは悪い奴では無いんじゃよ、決闘も、ソイドはどうせ村に残った弟のジョニーを暗殺する気でいたんじゃろうなぁ…
それを見抜いたレボリーは決闘を挑みに帰って来た。そんなところじゃろ。」
「暗殺?!ってそんな…」
「わしゃ、ほんとなぜ気付かなかったんじゃろう。
以前からおかしかったんじゃ奴は…
怖い事を言うが、この村…2人行方不明者を出してるんじゃ…
どちらも女性…消えてすぐ、ソイドはその消えた村人が他の村へ行ったって言うんじゃが、挨拶も無しに行くかのぉ?」
「じゃ…ソイドが…?!何かしてると…?
それが暗殺?
やっぱジョニーの言ってる事が正しいのか?
ソイドはまだ何か隠して?」
「ただの年寄りの勘じゃわい…
じゃが…変に探るより、情報が出るのを待つ方がええわい。」
「そうだな…」
「創夢様…話変わるんだけど、やはりあのレボリーって、あの時創夢様が倒した…」
「(あぁ、そうだよな…)
ケバブ!あと、そのレボリーって奴、きっと俺が村に来た頃に殺し…
ゾンビと戦って、もう感染してたから!だぞ?
それで、殺したんだよ!
でも、前ソイドと話した時、お前はそれでジョニーを救ったって…」
「あぁ?ほぉ…
殺した?(創夢が来る頃までレボリーが生きている方がおかしい…)
ちょっと何を言ってるのかは分からんが…
そうだと言うのなら、確かに、奴はよくジョニーにかかっているレボリーの洗脳をといてやりたいとか言っておったのぉ。
だから、奴のサイコパスな脳みそからすれば、お前さんの行動はジョニーを救う事になったのかも知れんなぁ…」
「(それなら、普通の脳からすれば俺は普通に殺人をしたって事か?)」
「創夢様、気にするべきじゃない。あれは正当防衛…」
「そうだ!旗!それから、ケバブはなんか、"旗"について知らないか?」
「旗?それが、もし、黒っぽい旗なら…
それは多分、略奪者軍団の証じゃ。
それがどうしたんじゃ?
なんかあったのか?」
「あぁそうだ!黒っぽかった!
で、略奪者軍団?」
「はぁ、まぁせっかくじゃ、少し思い出したく無いわしの昔話をしよう…
わしゃまぁ、こことはかけ離れて遠くにあるハンター村ってとこで生まれた。
昔から非力じゃったが、その分繊細な動きが得意でのぉ、剣を極めて達人になったわい。
大男や、怪物達との戦いでも、
大事なのは剣の軌道を見る事、相手の動きをしっかりと先読みし、少しのズレもなく弱点をひっかける。それだけで重症を負わせることもできる。」
「どうりで洞窟行った時強いと思った。」
「色んなところに色んなものを見つけに行く民族の血が流れるわしは、ある日トリゾン村に迷い込んだんじゃ…。」
「トリゾン村?」
「はぁ!お主トリゾン村も知らんのか?!
話にならんのぉ…。」
「すまん…じゃあ聞かせてくれ。」
「トリゾン村はのぉ、1人の男により統率される村じゃ。
"強さ"や、"決闘"により地位が決められ、"村人として、平和に暮らす"という事をはなから諦め、どんどん他のものを殺したり支配して村を成長させていく、野蛮な場所じゃ。
わしゃそんな、トリゾン村で雇われ、生活することになる。
じゃが、その平和とはかけ離れた生活はストレスがすごくてのぉ。
そんな過酷な生活の中での唯一の楽しみが、食事じゃったんじゃ。
お主が"料理"と呼ぶものを編み出し、グルメとして生きた。
そしたらじゃ…自然と出世してなぁ、
トリゾン村の中じゃあ珍しい"ある程度の自由"も得られたんじゃ。
そして、わしゃそれをチャンスじゃと思った…その自由を利用して、ここ、ハァーン村に逃げて来た。
そして今がある。」
そうか、この世界、料理って概念も弱かったんだな、それをおっさんが広めた…
食はやはり強いなぁ…
「はぁ…やっぱ年寄りは違う!
経験の数が桁違いだなぁ!
じゃなくて!で?それと旗になんの関わりが?」
「そのわしのいたトリゾン村…
そこが今の略奪者の軍団のアジトなんじゃ。」
「え?待て?
じゃあそんな危ない場所におっさんは…」
「トリゾン村の村人、彼らが"略奪者"と呼ばれるようになったのはわしからすれば最近の話で、詳しい略奪者の情報は知らん…
じゃが、トリゾン村だった頃から、怪物界との関わりは感じていた。」
「なに?怪物界と?
そしたら、村人の裏切り者って事か?
略奪して行くのか?」
怪物界と関わる村人達か…これは良い情報を得た。
「あぁまぁそうじゃな。彼らは村人でありながら、村人を敵としてみなし、一般村人を管理下、支配下に置いている。
そして、村としての情報や物資を怪物側に献上する代わりに、怪物側の情報提供も求めるという約束を交わしているんじゃろう。」
「怪物達と手を組んでるのか…
そんな事ができるなんて…
てか、そうなら、ジョニーの兄、レボリーはその略奪者になったって事か?」
「あぁ、その旗を持ってるって事はそう言う証じゃ。」
▫︎第34話用語解説
・イレジャー・レボリー♂
村を出た後、略奪者になったみたいだが…。
・ハァーン村2人の行方不明者
1人目、スクセブ・スレイ♀
2人目、チッビル・フモ♀
・チェヴァップ・ケバブ♂
剣の達人。
肉を削ぎ落とす事が得意な事から名も無き彼を皆ケバブと呼んだ。
器用で、強く、料理ができる。オールマイトな彼は自然と出世し、ある程度の自由も得られた。
その自由を利用して、ハァーン村に逃げて来た事から、ハァーン村での生活が始まる。
「いつものようにレア食材を取りに行く短い旅へ出た彼は、数日後村人ゾンビとなって実質死んだ状態で発見された。」
これがトリゾン村の皆が思っている彼の成れの果て。
実際は、それを装っていた。洞窟にて、自分の危険と引き換えに、ゾンビをブロックで囲い、その器用な手つきで
ゾンビ→村人ゾンビ
の容姿へと数日をかけ変装させていた。
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