異世界製作 〜転生しようと思ったら異世界作る側だった〜

寝占 羊

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第一章 「村開拓とモブ対抗戦」

第31世 「集会」

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 次の日、みんなが起きて来る頃、
創夢は集会を行った。

 「みんなー!久しぶりの集会だ!」

 暗い顔で目も合わせないマップを見て言った。

 「まぁ…
あれから前向きに生きれてる人なんて居ないと思う。
俺もその内の1人だ。

だけど、進まなくちゃいけない。」

 その言葉が自分に対して言われている事に気付いたマップは答えた。

 「あぁ?俺か…
すまん。分かってるさ。
別に誰ももう振り返ろうともしていない。
創夢…変に気にかけないでくれ。」

 「あぁ…
そうか、分かった。マップ。

この先の話だが、あのゾンビになった3人。
みんなを、元の人間に戻す!」

 「え?戻せるの?
そうむ村長がやるの?」

 「あぁ、ホノン!できるさ、
ゾンビ化はウイルスの感染ってのが一般常識。つまり病気と同じ!治せるはずだ!
だから、俺の力の話じゃ無いんだよ。
治す薬を作る!」

 薬と聞いてすぐベルミーが話にくいつく。

 「薬?薬ですか?
ゾンビを人間に戻す薬など聞いたことが…

創夢様、それは何を調合するのかしら!」

 「あー、ベルミー!確か薬に詳しかったよな?
君の力も借りたい!」

 「もちろん力はお貸ししますが…
でも、そんな薬は聞いた事ないですわ!」

 「あぁ!そうか!
でもそこは俺に任せろ!
知っている限りの作り方やら何やらはまた説明する!が、
その前に、話す事はもう1つ!
みんなが怪物に対抗できるよう
"戦闘力"を付けてほしい!」

 力強い目をした創夢を見ながらソイドは何か言おうと口を少し開いた。そしてすぐ目線を落とすと何も言わずに口を閉じた。

 そんなソイドを見ながらジョニーが呟く。

「つまり外に出るという事ですか…」

 創夢の話は続けられた。

 「だから、薬の材料を集める為の冒険に出る!」

 「材料集めのぉ。
まぁ良い食材が見つかるかもしれんが…
冒険に出たからと言って戦闘力が付くわけじゃ無かろう?」

 「何言ってるケバブ。実際この村の戦闘役はみんな冒険経験者だろ?」

 「あぁ?そうとも限らんじゃろマップ。
わし。マップ。は良いとして、創夢も例外。
で?ソイドも冒険は経験者のはずじゃが?
あやつが戦っとるとこ見た事あるか?」

 「そりゃ平和主義者は…」

 創夢は、ざわざわと話し出すみんなの注目を切らさないよう少し大きな声で話を続けた。

「この先、いつか村には戻って来れない程の大冒険をする日も来るかもしれないし、戦闘力が付かなかろうが、冒険を知るのも大切。
それに、冒険だけじゃ無い!並行してみんな訓練もしてもらう!」

 「で、でもそれでまた死人が出たら…」

 グランマルが不安げな顔で、1番の問題点を言った。

 「グランマル…もう出さない!俺がいる!」

 「でも…」

 「待て待て、いつも反対してたのに、やけにおとなしいじゃねぇかよ。
ソイド!どうなんだ?なんか言えよ。」

 ジョニーはまた怒り気味にソイドを攻め立てる。

 「何がだ?カーターを治す為の冒険なんだぞ?
行くのが当然だ。賛成する。
俺も力を付けなくてはならない…」

 「はぁ、他人の気持ちは考えれねぇのに…
自分の身内に何かあればこれだ…
お前の意思はミジンコか?
今までのあれはどこにやったぁ?
絶対に怪物なんかとは戦うなぁー!戦闘はんたーい!みたいなよぉ、えぇ?」

 「…。」
 ソイドは黙り込む。

 「なんか言ったらどうなんだ?」

 「あぁ、分かっている…すまなかったよジョニー…
レボリーの事は悪いと思ってる…」

 また暗い空気の中、マップが眉を寄せて疑問を投げかける。

 「おいおい…
あのさぁ…まだわかんねぇんだが…
レボリーってのは、その…

村の反逆者で、村を危険に晒したから、ソイドのおっさんはそれを撃退して、
って話だろ?

ジョニーさぁ。レボリーはお前の兄だからってそれを恨む気持ちも分かるが…

あいつは7人も殺したんだぞ?
それに比べればソイドがした事は当然だろ…
そろそろ許してやれよ…」

 7人?!レボリーって奴はやっぱりこの村の人だったのか…
そりゃそんな人数殺せば追放されるだろうな…

ホノンは頭を抱えて小声で呟く。
 「(あぁ…この話は頭が痛い…)」

「これだからバカは嫌いだ…
オマエがいなくなったと思ったら…」

 「おい!なんて事を言ってんだ!ジョニー!
今からそのいなくなったオマエ達を取り戻そうって話なんだぞ?」

 オマエの事を言われ、創夢も珍しく感情的になる。

 「はぁ、別になんでも良いんだ私は。
誰も理解も信用もしてくれないこの場所で、大切な人なんていないんですよ…」

 「ジョニー…いや、お前ら全員もだ。
人は話さなきゃ分かり合えないんだよ!
一方的に理解してもらおうとしてできるわけないだろ…」

 「…」

 「だから、話してくれ、俺もこの村の詳しい事、レボリーの事を何も聞いてない。」

 その時、黙り込んでいたソイドが立ち上がりながら話し始めた。

 「ごもっともだ創夢。
だが全て俺に責任がある。
ジョニー。
それからマップ…いや、村のみんなも…
すまない…
レボリーが反逆者ってのは、俺の作った嘘なんだ…」

 マップはその言葉に驚き、体を前のめりにした。
一方で、ジョニーは少し呆れ顔をつくと、フンッと笑った。

 「なんだと?どういう事だ?」



▫︎第31話用語解説



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