異世界製作 〜転生しようと思ったら異世界作る側だった〜

寝占 羊

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第一章 「村開拓とモブ対抗戦」

第18世 「建築組」

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 一方、建築組では。

 「建築なんて何年ぶりだろうなぁ。カーター」

 「はて?建築なんてそもそもした事あったぁ?」

 「おいおい、しただろぉー、この村に最初に来た時だよ。」

 「あー、あれは2回目に来た時だよ」

 「なんだよ、覚えてるじゃないか。」

カンカンカンッ

 「そんな事より資材が全然足りないんだけど…運搬組何かあったのかしら…」

 作業しながら2人で話すソイドとカーター夫婦。

ミオが話しかける。
 「お母さん。なんか、運搬の人達がサボってるんだってぇ!」

 それを聞いて防具鍛冶、カーターは作業をやめて手をパッパと払いながらミオの方へ歩いてくる。
 「えぇ?ミオ。
ちょっと困ってるって言って来てよー」

 「えぇ、やだ、怖いんだもんお姉ちゃん達。」

 するとそれを見ていた子村人、アンが、カーターの頼みを引き受ける。
 「じゃあ僕行って来るよ!ミオママ。」

 「お?本当?
さすがアンちゃん!頼んだよ!
ありがとぉー!」

 まだ作業をしている武器鍛冶ソイドは息子であるミオに言う。
 「男がそれでどうするミオ…。
恥ずかしくないのか?
あいつ、アンとは同い年だろう?なぜこうも違う?

男は女をらってなんぼだ。女に怖気おじけいていたら何もできんぞ!」

カンカンッ

 「じゃあお父さんはお母さんをそう思ってるの?」

 怒らせるつもりはなく、単に疑問を問い投げたつもりだったミオは、少し先で木を打つソイドの顔、眉間が寄ったのを見て焦る。

 「ミオ!」

 案の定怒っているようで、ソイドが作業の手を止め大きな声を出した時、
たまたま農民グランマルが資材を運びやって来た。
 「あのぉ…荷物。置いときますね!
では…」

 グランマルは空気を察して静かに荷物を届けると背を向け帰って行く。

 「ありがとう!グラン!」
カーターはグランマルが持って来た荷物をあさり、建築に必要な資材を選び始めていた。

 人が来たおかげか、少し落ち着いたソイドが言う。
 「まぁ良い、お前も早く手伝えミオ。
運搬が人手不足ならお前も運搬組に加われ。」

 そう言い。ソイドは作業に戻った。

 「え?、あ、
は、はい…」

 チェストをあさりながら
小耳に聞いていたカーター。
なぜか気まずそうにしているソイドを見て言った。

 「さぁ?何ピリついてんの?
喰らう?
私はなんの事かちゃんとは分かんないな?
まぁそんなに気にしないでよ。
私が気にして無いんだしぃー」

 そう言い、いくつかブロックを持って最初に作業していた場所へ戻るカーター。

ソイドはまた手を止め、落ち込み気味の声で答える

 「思い出してしまってな…
俺が間違った事をして来たのは事実だ」

 「ちぇ
今も変わって無いんでしょ?」

ソイドの発言に舌打ちし、カーターはそう言う。

 「あ、あぁ、そうかもしれないなぁ、自分のよくには敵わない…」

ガコッガコガコッ
カーターは話しながらも作業を再開、ブロックを繋げていた。

 「ダメだよ、どんなに自分の行動や結果を疑って、それに罪悪感や後悔を感じたからと言って、
行動した時と同じように
今の感情にだけ任せて自分を変えようとするのは、」

 「そうか、すまない」

ガコガコッ

 「謝らないで。
変えたいなら言葉じゃなくて行動だーぞ!

それから…今までの事にはやむより責任を持ってつぐないなぁ
私もそーする」

ずっと作業を再開せずに立ちながら話すソイド。

 「ふん、なるほどなぁ…
やはり俺は俺みたいだ…
そんな面倒な事はできん。」

 「ほらね、最初から何も変えるつもりなんて無いんだよ、だからソイドさんはそのままのソイドさんで生きなよ。」

 「お前はそれで良いのか?」

 「良いのか…って、
じゃあ何?"私だけの王子様"にでもなってくれるの?」

ガコッ
 カーターは嫌味をむき出しにそう言うと、もう持って来た資材を全て使っていた。

 「それはぁ…」

 「ほらね…でも良んだよそれで、」

 カーターはまたグランマルが持って来た荷物に資材を取りに歩く。

 「でも!最近は…最近は何も、」

 「それは人がいないからでしょ?
それとも何?今のレイやベルミーも狙ってるの?」

 「…ちが…」

 そしてカーターは荷物の横に座り、言った。

 「ねぇ、そんな事もう良いからさ、資材が足りなさすぎるよ…どーする?」

 「…。
今日は、無理だろ、全ての骨組みだけにしよう…」
 そう言い、ソイドもこちらへ歩いてくる。

 建築は2人だけでは全てを進められず、骨組みだけを完成させる事になった。

 「じゃあ、資材揃うまで少し休憩にしよぉよ」

 「あ、あぁ、そうだな。」



 しばらくすると、休憩する2人の元に、パンパンに詰められたチェストを抱える、息子のミオが帰って来た。

 「お!ミオちゃんー、頑張ったねぇ!
あとちょっとだよー」

 「うん!お母さん、どこに置けば良い?」

 「はぁ、お前が甘やかすから弱く育つんだぞカーター。」

 「ミオちゃんは弱く無いもんねぇー」

 「えっと、だから、どこに…」

 その時、ミオはバランスを崩してチェストを落としてしまった。
その瞬間、中の資材が飛び散る。

 「うわぁ!あちゃあー」

 「あ!ご、ごめんなさい…」

 「良いのよ、ミオちゃんは頑張った。」
そう言い、カーターはすぐ下に落ちたものを拾い始めた。

 「そんな事は良いから早く拾え!
ものによってはすぐ消失するぞ…」

 ソイドもそう言いながら拾い集める。
すると同じように荷物を抱えたアンがやって来る。

 「おいミオ!お前先に行くなんて卑怯だぞ…」

 「待ってアン!下!足元ちゃんと見て歩い…」

 「はぁ?んな事言ったって荷物で見えねぇんだって…」

すると、散らばった物に足を取られて、アンも転んでしまう。

 「うわぁ!いってぇ、なんだこれ、」

 「はぁ、最悪だ、これじゃもう何がどこに行ったか分からんぞ。」

 一つ一つ拾って戻していくみんなだったが、集めてみれば最初に比べ、3割くらい集めた資材が消失していた。

 「はぁ、どうしてくれるんだこれは…
収集組に怒られても仕方ないぞ、」

 「ごめんなさい…」
 「ごめんなさい。」

 ソイドが怒り、カーターがなぐさめた。
 「まぁまぁ、どちらにしろ足りないんだし、これでできるところまでやろぉーよ」

 「はぁ、お前はとことん甘いなぁ…この量じゃ骨組み作りすらまともに…」

 その時、ベルミーとレイを連れてホノンが3人でやって来た。

 「なに吠えてんの?ソイドのおっさん!」

 「あ…やっぱり…帰ろうかな…
でも…ご飯…」

 「困ってるみたいね、
で、何をやれば薬を見せてくれるのかしら?」

 サボっていたみんなが動き出し、3人がそれぞれ運んできたチェストで資材不足は改善される。

 「わぁ!来てくれたんだぁ!ありがとう!」

 「お前ら…
そもそもお前らがサボるから苦労してんだぞこっちは!…」

 「はいはい、感謝もできないおっさんはほっとけー
次行くぞー…」

 「おい!ホノン!お前も同じ目にあいたいか!…」

 こうしてなんとかその日のノルマを達成できた建築組であった。



▫︎第18話用後解説



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